(103 / 158) 浦原娘主 (103)

夜一様が救いに来たのに一護様はまだ戦う気でいた。
まだ自分は白哉様に勝てると思い込んでいるのだろう。
その傲慢で命を落とす前に夜一様に気絶させられ二人は去っていった。


「逃げられちまったか…」


浮竹隊長は二人がいた場所を見上げる。


「真由美、行くぞ」

「…………」


私も夜一様が居られた場所を見つめ、白哉様が声をかけられても気付かなかった…


「…真由美」

「え、あ…はいっ」


二度目の呼びかけで白哉様に気付き私は浮竹隊長に頭を下げ、白哉様を追いかける。
浮竹隊長は私に手を振ってくださった。


****************


「…真由美、まだ理由を聞いてはおらぬ。」


黙って二人で歩いていたとき、白哉様が口を開いた。
私は俯いていた顔を上げる。
すると白哉様がこちらを見ていた。


「私は…あの方の傷を癒しておりました…」

「何故だ…」

「………あの方は…夜一様の…」

「真由美」


喋っている途中、無意識に顔がつい下を向いて白哉様の目線から逸らそうとする
私は動けなかった…白哉様がそれを許してはくれない。
白哉様はゆっくりと私に近づく。


「あやつはお前を捨てたのだぞ…お前の父と一緒に…」

「いいえ!!」


捨てた、との言葉に私は反応してしまう。
私は弾けるように顔を上げ白哉様を見る。


「いいえ…お父様も…夜一様も……私を捨ててはいません…仕方なかったのだと…思っております……」


言葉にすればするほど私は打ち沈む。
本当のところは知らないのだ。
夜一様に聞くこともできた。
でももし違っていたら…
それが怖くて私は聞けなかった…


「………お前は、処刑が始まり私が迎えに来るまで十二番隊から出ることは許さない……よいな?」

「白哉様…私は…」

よいな、真由美

「……はい」


私は白哉様に逆らえず頷く。
まだ自宅待機とか自室待機ではないからいいか、と自分を納得させる。


「……お前が旅禍についていた時…どんなに心配したことか…」


白哉様は私の頬に手をやり、見つめる。


「…頼むから…お前も…私の前から消えないでくれ…」

「………はい…」


白哉様は私を抱き締める。

"お前も"

その言葉に私は白哉様の奥方様とルキアを思い浮かべた。
ルキアはこのまま処刑されればこの方は一人になってしまう…
やっと奥方様のいない寂しさから解放されたのだと思ったら今度は妹を失う悲しみを白哉様が襲う…

なぜ、この人だけが大切な者を奪われなければならないのか…
神様がいたのなら…神様は、意地悪な方なのだろう…

私はそう思いながら白哉様の背中に腕を回す

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