(5 / 42) 一護夢 (5)

「ふあぁぁ…」


一護は父、一心の鬱陶しいスキンジップをされずに目覚める。
貴重な爽やかな目覚めに疑問を持ったがまぁいいかと自己完結する。
階段を下りていくと香ばしい匂いが漂う。


「お早う、一兄」

「ああ、おはよう…」

「おーお早う!!一護!」

「…相変わらずうるせぇな…」

「おはよう!お兄ちゃん!」

「おはよ」

「お、おはようございます…」

「ああ、おは……」

「……………」

「……………」


一護は固まるが次にはガタンと音をさせ立ち上がり、何故か此処にいるあかりを見る。


「な、な…なんでここにいるんだよ!!?」

「す、すみません…!!」


あかりは反射条件で謝ってしまう。


「ちょっと一兄!あかり姉を怯えさせんなよ!!」

「す、すまん…ってあかり姉!?」


目を丸くし、あかりを見てしまう。
見た目ヤンキーな一護にあかりはビクっとまた怯える素振りを見せる。
それに一護は頬をかく。


「で、なんでこいつがいるんだ?」

「そりゃ朝食を食べに来たにきまってるだろ?」

「あの…」

「あぁ?だからなんでだっつってんだろ!」

「朝あったから声をかけたからに決まってるだろ!!!」

「あの…」

「はl!?朝から何してんだよ!!」

「ナンパだ!!ごふァ!!」

「あ……」


あかりが何か言いたそうにしているが一心も一護も言い合いで気付かない。
というか声が小さくて聞こえないのだ。
言い合いも殴りあいになってきてしまった。


「気にする事ないよあかり姉。いつものことだし。」

「え、そう…?」

「あれがお父さんたちのコミュニケーションだし」

「そ、そうなんだ…」


ところで、なんであかりがここに来て、朝食を食べて、夏梨に姉と呼ばれているかというと…
それは数分前の事。


(あ〜どうしよう…)


あかりは黒崎家の玄関前でウジウジと悩んでいた。



(あーもー…なんで昨日お父さん達を忘れたりするかなぁ?)



そう、昨日引越しの挨拶の時バタバタしてしまい父と母の骨を入れたものを忘れてしまったのだ。

父と母にはお墓がない。
葬儀もお墓も親戚が出してくれなかったのだ。
せめて、と密かに業者にお願いして骨だけ貰ったのだ。
その業者が善人の人で、入れる袋も用意してくれたのだ。


(それを忘れるって…私ってドジっ子属性?)


うっうっと泣いていたらドアが開いた。
ゴンッと音をさせそのドアはあかりのおデコに当たる。


「ーーーーっっ!!!」

「おー!すまん!!大丈夫か!?」

「は、はい…」


出てきたのは一心で、どうやらあかりに気付いて出てきてくれたらしい。


「で、どうしたんだ?気分でも悪くなったか?」

「いえ…あの…」

「そうか!健康が一番だ!」

「は、はぁ…あの…」

「そうだ!朝食食べたかい?」

「いえ…あの…」

「なら食べていきなさい!!」

「え、あ…えぇ!?」


再び手を引かれ朝食を食べる事になった。


「あれ、昨日のお姉さん」

「どうしたの?」

「一緒に朝食を食べる事になった!」

「あの、話しを…」

「は?なんで。」

「そりゃ玄関の前にいたからで……あ、そうだ、なんで家の前にいたんだい?何か用事でもあるのかな?」


やっと気付く一心にあかりはホッと息をつく。
一心は娘に呆れられていた。


「は、あの…私昨日忘れ物をしていませんでしたか?」

「忘れ物?」

「あ、これですか?」

「それです!ありがとうございます!!」


あかりは遊子の手元にあるものに駆け寄り、胸に大事そうに手で覆う。


「ごめんね…お父さん、お母さん」

「お父さん?お母さん?」

「あ、えっと…これ…お父さん達の骨が入ってて…ごめんね、気持ち悪いよね…」


照れるように笑うあかりだがちょっと悲しそうな顔もしていた。
遊子達は慌てて否定する。
そんな三人に苦笑いする。


「気にしてないから構いませんよ。…墓がないから持ってるしかないし…」

「墓がない…?」

「…えっと…」


あかりは誤魔化せる器用な人間ではないためついポロっと話してしまった。


「なんだそれは!許せんな!!」

「そうだよ!ひどいよ!!」

「え、じゃぁあの家で一人ってこと?」


三人は怒ってくれる。
夏梨の言葉にあかりは頷く。
それを見て一心はあかりの両手を握る。


「今日から君はうちの子だ!!!」

「………は?」

「え!?じゃぁお姉ちゃんが出来るの!?」

「あぁ!!お姉ちゃんだよ〜!!」

「あ、あの…」


やったー!と喜ぶ遊子に一緒に喜ぶ一心。
あかりとしては主人公達とは関わりたくなかったので止めたいのだが止めれない。
このハイテンションには付いていけないのだ。
そんな時夏梨が止めてくれる。


「何言ってんだ!あかりさんの了承も聞いてないのに勝手に言うなよ!」

「そうだったな!さすが夏梨!!あかりちゃん!!」

「…う…」


名前を呼ばれ期待したような二人の目にあかりはタジタジ。
つい頷いてしまった。
それにまた大喜びの二人。
夏梨も冷静にしているが心なしか嬉しそうだった。
お姉ちゃんが欲しかったらしい。

そして今に至る。

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