「てめぇーなんで付いてきてんだよ!!」
一護くんの声で沈みかけてた意識が蘇る。
「たわけ。私が居らねば虚が出たときどうするのだ?それにあかりをいい加減離してやれ、苦しそうだぞ」
「うお!ごめん、あかり!」
「…別に…いいよ…」
やっと手を離してくれて私は新鮮な空気を吸う。
二人の話しが終わるまで私は木影で休憩する。
言い合いを続ける二人を交互に見つめる私。
だけど一護くんは去っていった。
私を置いて行くとかあんた…
私はしょうがないからルキアちゃんに一声かけ、肩に手を置いてから一護くんを追いかける。
何か言ったほうがいいのだろうが、何分私は部外者。
二人の中には入れない…
ちょっと、胸が痛いな…
****************
一家揃ってやっと手を合わせる。
私は夏梨ちゃん達の後に手を合わせる。
言いたいことは一杯ある。
だけどありすぎて分からない…
だから今年は挨拶だけ。
来年から言いたいことを整えてから来ますね、と真咲さんに言ってから一護くんに代わる。
****************
一心さんは住職と、一護くんは多分ルキアちゃんと。
そろそろ虚が出る頃だ。
私はどうしたらここから夏梨ちゃん達を離すことが出来るか考えていた。
だから
虚が来た事に気付かなかった。
「どうしたの?夏梨ちゃん?」
遊子ちゃんの言葉に我に帰る。
私は二人の前に立ち、虚を睨む。
「あかり姉!!」
「お姉ちゃん!?」
「に、逃げなさい!二人とも!!一心さんのところに行くのよ!!」
「何言って…」
「早く!!!」
私の大声で二人は肩を揺らす。
そして夏梨ちゃんが遊子ちゃんの手をとって走っていく。
≪させるか!!≫
「それは…!こっちのセリフ!!!」
私はそこら辺にあった石を虚に投げつける。
バチ当たりなのは分かっているが夏梨ちゃんたちの、ましてや自分の命がかかってるんだからそんなこと言っていられない。
≪このアマ…!!≫
「ぐっ!!」
虚に蹴られて私は飛ばされる。
後ろに飛ばされてしまったため夏梨ちゃん達の側に転がり意識が遠のいていく。
「お姉ちゃん!!!」
「遊…あぐ!!」
遊子ちゃんが気絶している私に駆けつけ、それを止めようとした夏梨ちゃんが虚に踏まれてしまった。
それを見た遊子ちゃんが見えないが虚の足を退かそうと懸命になっていた。
私はもう、意識が保てなくなり気絶してしまった…
なんでこんなにも無力なのだろうか…
二人を守れない私なんていっそこの虚に食べられればいいのに…
****************
「ん…」
「あかりちゃん、起きたかい?」
「一心さん…私…」
「日射病だろう。今夜はここに泊めてもらうからゆっくり眠りなさい」
目が覚めるとそこは自分の家でも黒崎家でもない。
お寺の一室だった。
一心さんは目覚めた私に気付き笑顔を向けてくれる。
逆の方を見ると夏梨ちゃんと遊子ちゃんが眠っていた。
それを見つめていると間に合ったのかと安心し、守れなかったと後悔で涙が出た。
「あかりちゃん!?どっか痛いのか!?」
「…守れなくてごめんなさい…」
「あかりちゃん?」
「私、守れなかった…夏梨ちゃん達を守れなかった…私に力がないから…あの子達を…」
目を瞑っても涙は止まらなかった。
ふと頭を撫でられる感覚があった。
私は目を開けると一心さんが私の頭を撫でてくれた。
「…君は守ってくれたじゃないか」
「守れなかったですよ…結局虚にあの子達を襲わせてしまった……私も、一護くんや一心さんみたいに力があれば守れました…」
「!あかりちゃん……知っていたのか…俺が死神だと…」
多分一護くんやルキアちゃんのことも知っているなら私が虚や死神が見えたり、知ってしまったことは分かっているのだろう。
だけどこの時点で原作にもアニメにも一心さんのことは触れていなかった。
だから驚くのも当たり前である。
私は静かに頷く。
「そうか…」
「……………」
「だが、あかりちゃんは遊子達を守ろうとしてくれた。それだけでいいんだ…」
「……………」
「…ただ…もう自分を犠牲にするだなんて止めてくれ…君も俺と真咲の娘なんだから…」
「…………はい…」
私はそのまま眠る。
一心さんの笑顔と手がとても懐かしくて、気持ちよくて…
その夜、私は久々に両親の夢を見た。
15 / 42
← | back | →