(34 / 42) 一護夢 (34)

「ん…こ、ここは…いっ!!」

起きようとしたら体の節々が痛く、顔が歪む。


「大丈夫か?まだ寝てた方がいい…」

「え、」


声が聞こえ、横を向くと白い髪の見たことある顔がこちらを心配そうに見ていた。


「う、きたけ…じゅうしろう…」

「俺を…知っているのか?」

「ぁ、いや…敵の本拠地に侵入するからそれぐらいは……ってここどこ!?…ぁいっっ!!」


つい名前を呼んでしまい驚かれたが何とか誤魔化せた。
だが急に起き上がり大声を上げたせいか頭痛がする。
痛がる私に浮竹さんは慌てる。


「大丈夫か!?何処が痛い!?頭か!?」

「だ、いじょうぶ…です…」

「あぁ!やはり卯ノ花隊長に言ったほうがよかっただろうか!!」


え、何この人…ウザイんだけど…
私はちょっと引いてしまい浮竹さんをちょっと白い目で見ていた。
ちょっと幻滅する。
ちょっと…


「お、落ち着いてください!隊長!」

「清音!だがもしものことがあったら俺はっ…!」

「大丈夫ですって!俺と清音が治療しましたから!!」

「仙太郎…だが…」

「あ、あの……」

「どうした!!やっぱりどっか痛いのか!!?」

「え、いや…その…何で私ここに…?」


生でも二人の部下に愛されてる浮竹さんとその浮竹さんがなんでか混乱している最中、取り残された私は勇気をだして声をかける。
私の言葉に皆我に返ったのか…というか我に返ったのは浮竹さんだけだけど。
浮竹さんはわざとらしく咳払いをする。


「あー…君は倒れててそれを俺が見つけて保護した。……以上!」

「以上って…」


唖然としていたら浮竹さんと三席たちはまた私を置いて固まる。


(ちょっと隊長!そんなんで納得するわけないでしょう!)

(だ、だがな…あの子にあまり嘘を言って嫌われたくないんだ…)

(大丈夫です!隊長を嫌うだなんてそんな人誰にもいませんって!!私隊長が大好きですから!!)

(あ!てめ…清音!!お前ドサクサに紛れて何言ってやがる!!隊長!俺も隊長のこと尊敬してます!!)

(あんたこそ行ってるじゃない!!)


三人があれこれ言っている間に誰かが着たのか廊下を歩く音が聞こえる。
段々近くなっていき、私は慌てて回りを見て立ち上がり逆の方から逃亡しようとするが目眩がして倒れる。


「う…」

「!!どうしたんだ!?気分が悪いのか!?どこか痛いのか!?仙太郎!清音!!」

「そう慌てなさんなって」


浮竹さんの声しか聞こえなかったが渋い、あの蛇の名前の人の声がした。
す…す、す…


「スネーク!!!?」


私は貧血の目眩もなんのその。
ガバっと起き上がり声の主を見る。


「元気そうで何よりだ」

「……ちっ!」

「…なんでそこで舌打ちなのかな…?」


おじさん傷ついちゃう。とまったく傷ついた感ではないおっさん…京楽がいた。
なんでこの人がいるの…という事は…


「……茶渡くん…」


やられたのか…
それも予想済み…というか予想でもないが彼らは無事であろう。
治療され、牢に入れられているが十一番隊の隊長が助け…助け?…あの隊長が…?……まぁいいや。隊長が助けるからいい方に転がるはず…


「とりあえず…」


考えことしていたら京楽が口を開いた。


「君の名前とここに来た理由、教えてくれるかい?」

「……………」

「き、京楽…!」

「なに、知りたがってたの浮竹、君じゃない?」

「そうだが…あ!君を怪しんでるわけじゃないぞ!?ただ名前をだな!!」


何故か慌て弁解する浮竹さんを無視し、私は京楽を睨む。


「…斎藤あかり…ここに来た理由はもう知っているでしょ?」

「知ってるね、朽木ルキア女史かい?だが君達は…」

「付き合いが短すぎるからと命を懸けることが可笑しいと言いたいの?」

「…まぁ、そうだね。薄い友情だ。」

「……関わってしまっては、無視は出来ないからよ」


私は溜息をついて仕方なく言う。
この人はちょっと苦手だ。
私の言葉に京楽はきょとんとしていた。
その顔が可笑しくてつい噴出してしまった。


「プッ!!何その顔!!アッハハ!!」

「ア、ハハ。楽しんでくれて結構…で、関わっただけで命かけるのかい?君は。そっちの方が可笑しいと思うがね」

「ハハ…あー、笑った。……貴方達には理解できない。絶対に。」

「……………」

「もう、いいだろう京楽…あかりは怪我をしているんだ。止めてくれ…」

「……―――馬鹿

「え、なに?」

「京楽っ!!!」


京楽が何か呟いたが私には聞こえなかった。
だけど私以外には聞こえていたらしく、浮竹さんが京楽に怒鳴り、その後ろで控えていた三席たちが頷いていた。
…ん?


「あかり…?」

「どうしたの?」


呟く私に清音さんが顔を覗き込んできた。


「あ、いや…初対面で名前呼びされたの初めてで…」

「え!?イヤだったかい!!?」

「あ、いや…ちょっと違和感が……あぁ!!気にしてないから!!名前よんでもいいから!そんなに落ち込まれると私が悪いみたいでしょ!!」


浮竹さんは背中に黒いモヤモヤを背負い落ち込む。
別にイヤとはいってないでしょ!!
なんで落ち込むんだ!!


「あかりちゃん、あかりちゃん」

「あんたは名前呼ぶな!!気色悪い!!」


京楽が私の名前を手招きをするが、正直ってこの人は苦手なので名前を呼ばれると鳥肌が立ち悪寒する。
しかも浮竹さんったら自分に言われたように聞こえたのか落ち込み度が半端ねぇぇ!


「いいから、"―――"っていってごらん?」

「えーー」

「そんな膨れっ面しないの、可愛い顔が台無しだぞ☆」

「途中で笑わないといいなぁ…」

「あれ?無視?ボク無視されてる?」

「しょうがないか…」


落ち込む浮竹さんの肩を叩き顔を向けさせる。
私は目に涙を溜め、顔を斜め横に傾かせ目を伏せる。


「あの…ごめんなさい…」

「え?」

「私、恥ずかしくて…本当は名前呼んで欲しかったの…」

「…いいのかい!?」

「えぇ!」

「そうか!ありがとう!!」

(うわー、単純な人がいるー…)


大喜びする浮竹さんを余所に京楽が私に向かって親指を立ててくる。
当然私は無視するが。

あぁ、そういえば…

一護君たちは無事だろうか…

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