小屋に逃げ込んでどれくらい経ったのか。
水城はいつの間にか眠っていたらしく、チカパシと寄り添いながら寝ていると漁師の一人に起こされた。
「おい、兄ちゃんたち、起きろ…もうバッタはいなくなったぞ」
その言葉に水城は目を覚ませば、言葉通り窓にはバッタがあれほどこびりついていたというのに今や一匹もいなかった。
漁師は水城が起きたのを見て小屋を出ていき、水城もチカパシを起こして外に出る。
「俺、インカラマッと谷垣ニシパを探してみるよ!」
チカパシは外にバッタの大群がいないのを見て二人を探しに行った。
それを見送った後水城もアシリパと白石を探しに向かう。
◇◇◇◇◇◇◇
水城は白石と別れた番屋にまず向かおうと歩いていた。
しかし途中、前方から尾形が歩いてきているのに気づく。
「あ、尾形…白石とアシリパさん知らない?」
尾形の姿に白石とアシリパの事を聞くが、尾形はなぜか答えず水城の腕を掴んでそのまま足を止めず歩く。
水城は突然腕を掴まれ目を丸くした。
「ち、ちょっと!なに!?どうしたの!?」
「いいからついてこい」
尾形にしては珍しい行動に水城は驚いていたが、その声はどこか焦っているようにも切羽詰まっているようにも聞こえた。
いつも冷静を保っていた尾形の焦りに水城は何かあったのかと不安になる。
尾形はそのまま近くにあった水城達が避難していた小屋へ駆け込むように水城を連れ込み、扉を閉めた後鍵を掛けた。
水城は不安に思いつつ『鍵なんてあったんだ』と他人事のように思う。
「ちょっと…どうしたの?何か問題でも起きた?」
なにか問題があって隠れなければいけないのなら、水城はアシリパを探しに行こうと思った。
何があったかは分からないが、彼女を一人にするのは不安だった。
しかしそんな水城の言葉を無視し、尾形は掴んだままだったその手の力をグッと入れ…
「ヤらせろ」
と言ってきた。
その言葉に水城は目が点となる。
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