がやがやと騒がしい放課後。
生徒たちは帰ったり部活へ向かったり友達としゃべっていたりとそれぞれ過ごしていた。
巳弥がいなくなったその日、心配性の塔子達から小春は一日休みを取らされた。
その次の日から小春は学校に顔を出し、今日は奈々達と帰ろうと別クラスのリンを迎えに行こうとした。
リンのクラスの出入り口に立ちリンを呼ぼうとしたその時、音羽と顔を合わせ、奈々は嫌な顔を隠さず、小春は『あ、小野寺さん』と言おうとした。
しかし、その前に音羽に遮られたのだ。
「なに、あんた、生きてたの」
と、いう言葉に。
一瞬その場が凍り付いたのを小春は感じた。
「あんたねぇ!!―――」
音羽の冷たく聞こえるその言葉に小春、というよりは奈々が頭に血を登らせたらしく、相変わらずの毛嫌いさで音羽に突っかかっていた。
しかし音羽は鬱陶しいと思ったのか端から奈々の相手などせずずっと小春へ目を向けている。
「あんた、やっぱり強運の持ち主ね」
「あはは…ちょっとギリギリだったけど……だけど、良かったって思ってる」
「……自己犠牲は自己満足にすぎないわよ」
「それでも私は嬉しいよ?」
「偽善ね」
「そうだね…偽善かもしれないけど…でも私嬉しいな」
「何がよ」
「小野寺さんが心配してくれたことが」
無視された事が余計腹が立ったのか喚く奈々を薫が抑える。
それを見ながら音羽は漸く邪魔されず話せると小春と向き合う。
どうも奈々とは気が合わないようだ。
奈々など元からいなかったように音羽は小春に声をかけた。
小春は音羽の気難しい性格をこの中の誰よりも知っており慣れているため苦笑いを浮かべるだけで留まる。
そこが小春と奈々やリンの違いだろう。
淡々と話す音羽だったが、小春の言葉に目を見張る反応を見せた。
「いつ私があんたの心配したわけ?」
「してくれたよ?私が休む前の日に、小野寺さんが『死ぬかも』って忠告してくれたじゃない」
「何度も言わせないで。あれは別に心配してるわけじゃないわ…要が悲しむのが嫌なだけ」
「うん、そうかもしれない…でも私は嬉しかったな、小野寺さんが忠告してくれたこと」
「………好きにしなさい…」
にこにこと笑う小春に音羽は呆れたような目で見つめていたが、相手にしてられないと思ったのかため息をつき小春の横を通り過ぎる。
挨拶もなくそのまま背を向ける音羽に小春は笑みを深めた。
その背後には暴れるリンと奈々を必死に抑える薫とリンのクラスメイトがいたという。
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