次の日、小春は自然と目を覚ました。
目を覚ませばまだ部屋は薄暗く、しかし鳥の声からして朝方なのが分かった。
起き上がると不思議と熱もダルさもなかった。
起き上がって横を見ればいつも一緒に寝ている兄の姿はない。
いくら一緒に寝ようとしたが夏目は塔子の『貴志くんも風邪ひいて、小春ちゃんが風邪を移したって悲しむわ』、という言葉で泣く泣く小春の部屋で眠る事になったのだ。
久々に一人で眠り小春も夏目も寂しさを覚えたという。
だからこそ、夏目はいつもより小春に甘かった。
そんな兄がいない事に小春も無性に胸に穴が開いた様な感覚に襲われてしまい思わず胸元のパジャマを握る。
ふと、小春は枝が伸びていた絵の事を思い出し、小春は後ろの絵へと振り返った。
「何もない…」
絵を見れば小春は驚いたように目を丸くした。
そこには絵から伸びていた枝も、巳弥と夏目と斑と自分とで描いた桜の花びらも消えていたのだ。
小春は首を傾げ立ち上がり絵へと手を伸ばす。
すると絵はすぐに外れた。
普通に飾った絵のように、カタリと音をさせて壁から外れた。
「……やっと、会えたんだね…巳弥」
すぐに外れ手の中にある絵を見下ろしていた小春は小さくそう呟いた。
誰もいなかったその場に小春の呟きはすぐに消える。
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