(1 / 15) 4話 (1)

小春が入院した。



あれから名取と別れた後、夏目は小春を背負い家に帰った。
家に帰ればまだ塔子は帰って来ていないようで、小春を布団に寝かせた。
着替える前に帰ってきてしまった塔子が傷はなくても服がボロボロの夏目に驚く。
だが転んだと笑う夏目の言葉を信じ苦笑いを浮かべてくれた。

しかし、次の日…

小春の調子が悪くなり滋に連れられ病院に向かう。
医師からは疲れが溜まったのだろう、と言われ夏目も滋も塔子も安堵の息をつく。
しかし小春の体は普通の人よりも弱く少しの疲れでも寝込む為、入院となってしまった。



―――それから数日、小春は相変わらず病院のベットで横になって一日を過ごしていた。


「『夏目さん、空気入れ替えのために窓を開けるので寒かったらナースコールを押してくださいね?』」


若いナースがベットに大人しく横になる小春の手の平に文字を書く。
小春はコクリと頷き、その頷きを見てナースはすぐに姿を消した。
1人になった小春はいつも以上の静けさにギュッとシーツを握る。
耳が聞こえなくても空気を感じ、寂しさが積もっていく。
綾部はいない。
風邪で休んでいると先ほどのナースが言っていたのだ。
小春はそれを聞き表情には出さなかったが落胆した。
話し相手が居ない為、小春は段々と眠気に襲われ重たい目蓋を閉じていく。


「よし、お前にしよう」


深くなる眠りの寸前に、男の声が聞こえた。

1 / 15
× | back |

しおりを挟む