チチチ、と小鳥の声に小春は目を覚ます。
閉じていた瞳を静かに開け、薄暗い天井を見つめていた。
「さむい…」
小春はぽつりと呟いた。
今の時期は冬本番となり寒い事は寒いが、今日のように凍えるような寒さは感じたことはなかった。
そしてゆっくりと横を見れば少し離れているが隣にはクラスメイトの奈々がこちらを向いて眠っており、小春は少し驚き目を見張る。
(あ…そっか…今日から修学旅行…だっけ…)
なぜ奈々が自分の部屋にいるのだろうか、と小春は驚いていたが自分や奈々達がいる部屋が自分の和風の部屋ではなく、ホテルの一室なのと昨日の事を思い出し納得したのか驚いて止めていた息を静かに吐いた。
昨日から小春は北海道へ修学旅行に来ていた。
流石北海道だと小春は北海道に来て白い雪に覆われているのを見てそう思う。
流石、と言っても小春の場合パンフレットや奈々や塔子達の話しだけでしか北海道を知らず、流石も何もないが雪深いその土地に本当に日本なのかとは思ったという。
「さむい…」
まだ雪は降り続いているのか部屋は静かで音という音がない。
小春が起き上がればその掛け布団の擦れる音が大きく響いて聞こえていた。
それと同時に起き上がったために冷たい空気がベットの中で暖まっていた小春の身体を容赦なく刺し、小春はつい身が縮こませる。
腕を擦る小春だったが一向に暖かくならず、しかしそれでも擦らずにはいられず小春は外を見ようとするも早朝なのだろう、やはり厚い斜光カーテンが閉められ外の様子は見えない。
小春は仕方なくベットの隣に設置してあるデジタル時計に目を移すと時刻は朝の4時と表示されていた。
(4時って…いくらなんでも早すぎ…)
藤原家に居させてもらっている小春だが、流石に4時に起床なんてした事はない。
寝坊するほどではないが、大体6時か7時に目を覚まし兄である夏目と並び歯磨きや顔を洗い塔子の食事をして着替え学校へ行っている。
寒さで目を覚ましたとは言えまだ10代である普通の高校生が起きる時間ではないのは確かだろう。
小春は藤原家の事を思い出し『あ、塔子さんの朝ごはんが食べたい…』と何故かそう思いながらベットから降りる。
母の味はもう思い出せないが、塔子の朝食をはじめとする料理は小春にも夏目にも滋にも評判で、とても美味しい。
あの味に煩い斑も塔子の料理を甚く気に入っているくらいである。
(やっぱり、いっぱい降ってる…)
ベットから降りた小春は奈々やリン、薫を起こさないように静かにベランダへと向かい、カーテンを少し捲る。
そのベランダから見る景色は昨日の景色よりも更に真っ白となりどこに何があるかさえ分からないほどだった。
小春は見る前に静かだったため降っているだろうとは予測はしていたのだが、この猛吹雪になるであろう降り方は予想外だったのか小さく目を丸くさせていた。
(これじゃぁ…今日は外には出れないだろうなぁ…)
そう小春が残念そうに溜息を小さくついたその時、吹雪く雪の隙間から微かに見える森の奥がキラン、と光った気がし、小春は下げていた目線を上げる。
「あれ…なにもない…」
しかし小春が目線を上げるもそこには何もなくただ視界一面が白く、微かに森の緑色が見えるだけで光るものなどなかった。
もう一度光る事もなくベランダからの景色はどんなに見ても変らない。
「なんだったんだろう…」
小春は首をかしげながら目も覚めてしまったので奈々達が目を覚ますまで何をしようかと悩みながらカーテンから手を離した。
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