朝方、雪は自然に目を覚ました。
(え、神楽ちゃん…?)
目を覚ましてまず見たのは橙色。
驚いて起き上がろうとしたが、それが神楽だと分かり雪は起こさないように腕枕をしていた腕を引き抜き起き上がった。
夏と言っても朝方は少し冷える。
神楽に布団を被せ直し、雪は障子をあけて外に出た。
まだ空は薄暗く、太陽の光と月の光が丁度真ん中で分かれていた。
「早えお目覚めだな、オイ」
「銀さん」
何もやることもなく、しかし布団の中で横になる気分でもなかった雪はとりあえず縁側に座った。
投げ出された足をブラブラとさせて朝と夜のコントラストを見上げていると銀時の声が雪の耳に届き、声のした方へ顔を上げればやはりそこには銀時がいた。
銀時は雪の姿を見て目を細める。
雪の姿はとても艶めかしかった。
泊まる予定ではなかったため寝間着は男性物しかなく、年が近い沖田のを雪は着ている。
年が近いと言えど男女の体つきはすでに差があり、先ほど寝ていたこともあってかきっちり合わさっていない前が豊満な胸の谷間を露わにさせ、夏と寝間着というのもあり薄い布が体の線をくっきりとさせ、着崩れしている寝間着の隙間からは雪の細い脚が見え隠れしていた。
しかし、谷間が見える絶景には"あるもの"がチラリと見え、銀時はふと笑みを消す。
「お前、その傷…」
「え?――、!」
銀時が指さした場所、雪の谷間には…傷の痕があった。
それも最近ついたような傷痕ではなく、古い傷痕。
そしてそれは刀傷だった。
銀時に指摘された雪は指差しに視線を辿り、傷が銀時から見えることが分かると慌てて服を正して隠した。
それを勿体ないと思いながらも銀時は雪の隣に腰を下ろしながら眉間にしわを寄せ険しい表情で雪を見つめる。
「それどうした」
「別に…小さい頃に転んで…それが残ってるだけです…」
前をギュッと握って自分から顔を逸らす雪に銀時は表情を変えずただ見下ろしていただけだった。
その雪の傷は肩にかけて斜めに切られており、豊満な胸と服で見えないが恐らく銀時の予想では腹まで続いてるのだろう。
素人ならそれが刀傷だと思うことはないだろう。
それほど今の時代は昔と違いすぎた。
でも銀時は違う。
多分真選組の連中も雪の嘘を見抜くはずである。
しかし銀時は隠し通すつもりの雪に合わすように『そうか』とだけ呟き雪の隣に座り空を見上げた。
雪がどうして刀傷を作ったか…気にならないと言ったら嘘になるだろう。
好きな相手なら尚の事。
しかし雪が隠し通すつもりなら話してくれるまで待つのが男というものである。
雪は銀時が追及しなかったのが驚いたのかキョトンとさせ、その表情に銀時は小さく笑い雪の頭を撫でてやる。
乱暴だが優しいその手に雪は何だか照れてしまい、その場の空気を変えるように話題を移した。
「ぎ、銀さんも朝早くにどうしたんですか?怖い夢でも見ました?」
「ばーか。俺ァトイレだよ、トイレ。」
「へえ…でもまだ早いですし寝てた方がいいんじゃないですか?朝になったらここを出ていかなきゃいけないし。」
「お前は」
「私はいつもこの時間に起きてますから慣れてます…今日も体が勝手に起きちゃったんだと思います。」
「…お前いつもこんな早い時間に起きてんの?」
「あはは…朝食とか色々忙しいんですよ?」
「へえ…かーちゃんはすげえな…」
「かーちゃんって…」
『怖い夢』と子供扱いする雪に銀時はムッとさせ軽く頭を叩く。
叩かれたところを手で撫でながら雪は笑って誤魔化し、笑って誤魔化す雪に銀時は『ったく…』と笑う。
どうやら銀時はトイレに起きてきたようで、逆に問われた雪はこの時間には起きていると返した。
朝食の準備やら色々終わらせてから仕事に行った方が楽だから雪は朝早く起きていた。
それを苦に思ったことはあまりない。
全然ないとは言わないが、朝が苦手でもない雪は平気だった。
それを言えば銀時から帰ってきた言葉に雪は複雑そうな顔を銀時に向ける。
「私まだ16歳ですけど…」
「でもなァ、お前どう見たって立派な神楽の母ちゃんよ?」
「え…そうなんですか?」
「そうそう。んで、どう見ても立派な銀さんの幼な妻。」
16歳にして恋するよりも前に母と呼ばれ、雪は複雑だった。
世話を焼くのはどちらと言えば好きだから別にそこは構わないが、思春期ゆえちょっぴり複雑なのだろう。
でも傍から見たら神楽と母と娘と間違えられるほど仲がいいと思われていると知り雪は嬉しそうに笑った。
その笑みを見て調子に乗った銀時は自分を指差しいつもの言葉を吐く。
そんな銀時に雪は何も言わず銀時を見上げてニコーッ!と笑い、銀時はその笑みに『あ、あははー』と引きつった笑みを返した。
「銀さんも、ちゃんと奥さん探した方がいいですよ」
「え、ちょっと待ってよ雪ちゃん…え……え?今の流れでそれ言う?銀さん今も昔も雪ちゃんがいいって言ってるじゃん」
「何言ってるですか。あんたがそんな冗談ばっかり言うから彼女どころか女の人に縁がなくてさっちゃんさんみたいな人しか寄り付かないですよ」
「ちょ、おま…今グサッて来た…主に前半にグサッてきた……あいつは人間じゃねえからいいんだよ」
「さっちゃんが人間じゃなかったら何ですか?」
「メス豚」
「…………あんた最低だなおい。」
突然奥さんトークが始まり、銀時は目が点となった。
そして銀時に言い寄る女の代表として猿飛あやめが出されたのだが、彼女は銀時のストーカーなため銀時はそれはもう嫌な顔を雪に見せる。
人間じゃないという銀時に不快な顔を見せながらも問えば返ってきた言葉に呆れてしまう。
しかし確かに猿飛あやめは『メス豚』と言われた方が喜ぶドMなため、雪は強く反論はできないし彼女とは極力関わり合いになりたくはない。
ため息をつく雪に銀時はにやりと笑い、雪の後ろに片手を置き体重を前に掛け、もう片手を膝の上に置かれている雪の手に重ねた。
女の子らしい小さな手は銀時の大きな片手でも余るほどで、それがまた可愛いと銀時は思う。
銀時の行動に怪訝とさせた雪が顔を上げれば意外と銀時との距離が近く雪は思わず後ろに引いてしまう。
しかし雪が顔を引かせれば銀時は追いかけ、体ごと引こうとすると置かれていた手が雪の手を握りしめた。
「ぎ、銀さん?」
手を握られてしまい雪は体を動かすことができなくなった。
戸惑いながら銀時に声をかければ銀時は笑みを深めるだけ。
その笑みはとても妖艶で大人の男の雰囲気に雪は思わずドキリとさせた。
顔に熱が籠るのを感じ、雪は赤い顔を見られたくなくて銀時から顔を逸らした。
耳まで真っ赤にさせる雪に銀時は目を細め、チラリと見える雪の耳に口を近づける。
「お前、俺のモノになれよ」
銀時の言葉に雪の心臓の鼓動は更に強くなる。
耳の赤みが増したのを見て銀時は何はともあれ照れてくれたことが嬉しくて笑みを深め雪の耳に口づけを落とした。
耳に触れる銀時の唇に雪はビクリと体を揺らし、耳を銀時から遠ざけようと俯かせる。
それもまた可愛くて思わず銀時はクツクツと喉を鳴らしてしまう。
「雪、こっち向け」
「………」
反応は可愛いが、雪の可愛い顔が見られないと銀時は雪の手を握っていた手を放し指の背で俯かせている雪の顎のラインをなぞった後顎に指を掛け顔を上げさせた。
力は入れず抵抗したければ出来るように銀時は雪に逃げ場を与える。
しかし意外と雪は逃げ出すことせず銀時の手に顔を上げさせられた。
だが雪の目は伏せられたままで、銀時はもう一度雪の名を呼ぶ。
するとおずおずと言った風に雪は銀時の望む通り雪の黒く愛嬌のある目の中に銀時を映す。
雪の目に自分だけが映っていると思うとたまらくなり、そして嬉しくなり、銀時は妖艶な笑みからいつもの嬉しそうな笑みへと変え、銀時はまた雪に顔を近づける。
顔が近づいてくる銀時に雪は『待って』と言いかけた。
しかしそれを言う前に、そして雪が抵抗するよりも前に、雪の唇と銀時の唇が重なる。
雪は銀時の口づけに目を見張り息を呑む。
しかし銀時は触れるだけの口づけをするだけで、すぐに雪から離れる。
「本気だから。」
雪から離れた銀時はそう雪に言った。
雪はいつもだらけている雰囲気ではなく、大人の色気を出し愛しげに自分を見つめてくる銀時の姿に思わず見惚れてしまう。
銀時は言葉を失くしている雪に笑みを深めた後、チラリと後ろにある障子へと目線を送る。
「こいつはやらねえよ
そして、銀時は障子の奥に向かって何かを呟く。
その言葉に障子の奥から殺気に似た空気が流れ、銀時は愉快そうに目を細めた。
→あとがき 2014/1/25(修正&追加)
(え、神楽ちゃん…?)
目を覚ましてまず見たのは橙色。
驚いて起き上がろうとしたが、それが神楽だと分かり雪は起こさないように腕枕をしていた腕を引き抜き起き上がった。
夏と言っても朝方は少し冷える。
神楽に布団を被せ直し、雪は障子をあけて外に出た。
まだ空は薄暗く、太陽の光と月の光が丁度真ん中で分かれていた。
「早えお目覚めだな、オイ」
「銀さん」
何もやることもなく、しかし布団の中で横になる気分でもなかった雪はとりあえず縁側に座った。
投げ出された足をブラブラとさせて朝と夜のコントラストを見上げていると銀時の声が雪の耳に届き、声のした方へ顔を上げればやはりそこには銀時がいた。
銀時は雪の姿を見て目を細める。
雪の姿はとても艶めかしかった。
泊まる予定ではなかったため寝間着は男性物しかなく、年が近い沖田のを雪は着ている。
年が近いと言えど男女の体つきはすでに差があり、先ほど寝ていたこともあってかきっちり合わさっていない前が豊満な胸の谷間を露わにさせ、夏と寝間着というのもあり薄い布が体の線をくっきりとさせ、着崩れしている寝間着の隙間からは雪の細い脚が見え隠れしていた。
しかし、谷間が見える絶景には"あるもの"がチラリと見え、銀時はふと笑みを消す。
「お前、その傷…」
「え?――、!」
銀時が指さした場所、雪の谷間には…傷の痕があった。
それも最近ついたような傷痕ではなく、古い傷痕。
そしてそれは刀傷だった。
銀時に指摘された雪は指差しに視線を辿り、傷が銀時から見えることが分かると慌てて服を正して隠した。
それを勿体ないと思いながらも銀時は雪の隣に腰を下ろしながら眉間にしわを寄せ険しい表情で雪を見つめる。
「それどうした」
「別に…小さい頃に転んで…それが残ってるだけです…」
前をギュッと握って自分から顔を逸らす雪に銀時は表情を変えずただ見下ろしていただけだった。
その雪の傷は肩にかけて斜めに切られており、豊満な胸と服で見えないが恐らく銀時の予想では腹まで続いてるのだろう。
素人ならそれが刀傷だと思うことはないだろう。
それほど今の時代は昔と違いすぎた。
でも銀時は違う。
多分真選組の連中も雪の嘘を見抜くはずである。
しかし銀時は隠し通すつもりの雪に合わすように『そうか』とだけ呟き雪の隣に座り空を見上げた。
雪がどうして刀傷を作ったか…気にならないと言ったら嘘になるだろう。
好きな相手なら尚の事。
しかし雪が隠し通すつもりなら話してくれるまで待つのが男というものである。
雪は銀時が追及しなかったのが驚いたのかキョトンとさせ、その表情に銀時は小さく笑い雪の頭を撫でてやる。
乱暴だが優しいその手に雪は何だか照れてしまい、その場の空気を変えるように話題を移した。
「ぎ、銀さんも朝早くにどうしたんですか?怖い夢でも見ました?」
「ばーか。俺ァトイレだよ、トイレ。」
「へえ…でもまだ早いですし寝てた方がいいんじゃないですか?朝になったらここを出ていかなきゃいけないし。」
「お前は」
「私はいつもこの時間に起きてますから慣れてます…今日も体が勝手に起きちゃったんだと思います。」
「…お前いつもこんな早い時間に起きてんの?」
「あはは…朝食とか色々忙しいんですよ?」
「へえ…かーちゃんはすげえな…」
「かーちゃんって…」
『怖い夢』と子供扱いする雪に銀時はムッとさせ軽く頭を叩く。
叩かれたところを手で撫でながら雪は笑って誤魔化し、笑って誤魔化す雪に銀時は『ったく…』と笑う。
どうやら銀時はトイレに起きてきたようで、逆に問われた雪はこの時間には起きていると返した。
朝食の準備やら色々終わらせてから仕事に行った方が楽だから雪は朝早く起きていた。
それを苦に思ったことはあまりない。
全然ないとは言わないが、朝が苦手でもない雪は平気だった。
それを言えば銀時から帰ってきた言葉に雪は複雑そうな顔を銀時に向ける。
「私まだ16歳ですけど…」
「でもなァ、お前どう見たって立派な神楽の母ちゃんよ?」
「え…そうなんですか?」
「そうそう。んで、どう見ても立派な銀さんの幼な妻。」
16歳にして恋するよりも前に母と呼ばれ、雪は複雑だった。
世話を焼くのはどちらと言えば好きだから別にそこは構わないが、思春期ゆえちょっぴり複雑なのだろう。
でも傍から見たら神楽と母と娘と間違えられるほど仲がいいと思われていると知り雪は嬉しそうに笑った。
その笑みを見て調子に乗った銀時は自分を指差しいつもの言葉を吐く。
そんな銀時に雪は何も言わず銀時を見上げてニコーッ!と笑い、銀時はその笑みに『あ、あははー』と引きつった笑みを返した。
「銀さんも、ちゃんと奥さん探した方がいいですよ」
「え、ちょっと待ってよ雪ちゃん…え……え?今の流れでそれ言う?銀さん今も昔も雪ちゃんがいいって言ってるじゃん」
「何言ってるですか。あんたがそんな冗談ばっかり言うから彼女どころか女の人に縁がなくてさっちゃんさんみたいな人しか寄り付かないですよ」
「ちょ、おま…今グサッて来た…主に前半にグサッてきた……あいつは人間じゃねえからいいんだよ」
「さっちゃんが人間じゃなかったら何ですか?」
「メス豚」
「…………あんた最低だなおい。」
突然奥さんトークが始まり、銀時は目が点となった。
そして銀時に言い寄る女の代表として猿飛あやめが出されたのだが、彼女は銀時のストーカーなため銀時はそれはもう嫌な顔を雪に見せる。
人間じゃないという銀時に不快な顔を見せながらも問えば返ってきた言葉に呆れてしまう。
しかし確かに猿飛あやめは『メス豚』と言われた方が喜ぶドMなため、雪は強く反論はできないし彼女とは極力関わり合いになりたくはない。
ため息をつく雪に銀時はにやりと笑い、雪の後ろに片手を置き体重を前に掛け、もう片手を膝の上に置かれている雪の手に重ねた。
女の子らしい小さな手は銀時の大きな片手でも余るほどで、それがまた可愛いと銀時は思う。
銀時の行動に怪訝とさせた雪が顔を上げれば意外と銀時との距離が近く雪は思わず後ろに引いてしまう。
しかし雪が顔を引かせれば銀時は追いかけ、体ごと引こうとすると置かれていた手が雪の手を握りしめた。
「ぎ、銀さん?」
手を握られてしまい雪は体を動かすことができなくなった。
戸惑いながら銀時に声をかければ銀時は笑みを深めるだけ。
その笑みはとても妖艶で大人の男の雰囲気に雪は思わずドキリとさせた。
顔に熱が籠るのを感じ、雪は赤い顔を見られたくなくて銀時から顔を逸らした。
耳まで真っ赤にさせる雪に銀時は目を細め、チラリと見える雪の耳に口を近づける。
「お前、俺のモノになれよ」
銀時の言葉に雪の心臓の鼓動は更に強くなる。
耳の赤みが増したのを見て銀時は何はともあれ照れてくれたことが嬉しくて笑みを深め雪の耳に口づけを落とした。
耳に触れる銀時の唇に雪はビクリと体を揺らし、耳を銀時から遠ざけようと俯かせる。
それもまた可愛くて思わず銀時はクツクツと喉を鳴らしてしまう。
「雪、こっち向け」
「………」
反応は可愛いが、雪の可愛い顔が見られないと銀時は雪の手を握っていた手を放し指の背で俯かせている雪の顎のラインをなぞった後顎に指を掛け顔を上げさせた。
力は入れず抵抗したければ出来るように銀時は雪に逃げ場を与える。
しかし意外と雪は逃げ出すことせず銀時の手に顔を上げさせられた。
だが雪の目は伏せられたままで、銀時はもう一度雪の名を呼ぶ。
するとおずおずと言った風に雪は銀時の望む通り雪の黒く愛嬌のある目の中に銀時を映す。
雪の目に自分だけが映っていると思うとたまらくなり、そして嬉しくなり、銀時は妖艶な笑みからいつもの嬉しそうな笑みへと変え、銀時はまた雪に顔を近づける。
顔が近づいてくる銀時に雪は『待って』と言いかけた。
しかしそれを言う前に、そして雪が抵抗するよりも前に、雪の唇と銀時の唇が重なる。
雪は銀時の口づけに目を見張り息を呑む。
しかし銀時は触れるだけの口づけをするだけで、すぐに雪から離れる。
「本気だから。」
雪から離れた銀時はそう雪に言った。
雪はいつもだらけている雰囲気ではなく、大人の色気を出し愛しげに自分を見つめてくる銀時の姿に思わず見惚れてしまう。
銀時は言葉を失くしている雪に笑みを深めた後、チラリと後ろにある障子へと目線を送る。
「こいつはやらねえよ
そして、銀時は障子の奥に向かって何かを呟く。
その言葉に障子の奥から殺気に似た空気が流れ、銀時は愉快そうに目を細めた。
→あとがき 2014/1/25(修正&追加)
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