土方は自分が勘違いしたとはいえ意味ありげな事を抜かした銀時への怒りゲージが更に上がっていくのを感じる。
「あの…どうし…ってきゃー!!ひ、火!!煙草!!」
「あ?うお!?アッチィ!!」
「何やってるんですかー!」
腹立ちのあまり手で煙草を潰して消したことに気づいていなかった土方は、様子が可笑しかったため心配になって覗き込んだ雪の悲鳴にやっと気づく。
気づけば痛みがどっと襲い、土方は潰したままだった煙草を投げ捨てた。
雪は土方以上に慌て、丁度公園が近いという理由で土方の手を取り走る。
「お、おい!なに…」
「火傷したなら冷やさないと!!すぐ近くに公園があるのでそこで冷やしましょう!」
雪に突然腕を取られ引っ張られた土方は戸惑いの声を零す。
雪との接触にドキリとさせる土方など余所に雪はそのまま土方を引っ張り公園へと向かった。
まだ夕方前という事もあり子供達や大人達もいる中、男装もどきの少女と真選組の制服を着ている男性が公園の水場でしゃがみこんでいる光景はとても異常だろう。
だが遊びに夢中な子供達や子供を見守るのに忙しい大人達はその異常には気づいていない様子だった。
「ジッとしててくださいよ?」
「あ、ああ…」
土方は雪に言われた通り火傷した方の袖を捲り、雪は蛇口を捻り水を出す。
最初勢いが強かったため少し閉めれば丁度いい水の量が流れ、その流れる水に火傷した手を運ぶ。
雪が土方の手を触れ水へと濡らしてやれば、土方は身じろぎ、そんな土方に雪は咎める。
片思いの相手に触れられた挙句に『こら!』とまるで子供を叱るように優しく咎められた上に上目遣いも追加され、土方は動くに動けなかった。
顔に熱が籠るのを感じたため、土方は鏡を見なくても今自分は顔を真っ赤に染め上げていると分かり雪から顔を逸らすことで誤魔化す。
それで誤魔化しきれるは不明だが、ある程度水で冷やした後雪は自ら土方の手を持っていたハンカチで火傷をしていない部分の濡れた場所を拭ってやり、最後に痛くないように火傷の部分をトントンと擦らないよう水けを取ってやる。
「もう…どうして手で煙草を消したんですか?」
「あー…まあ…ちょっとな…」
怒りに我を忘れてました、とは言えず土方は曖昧に返すしかなかった。
それが雪には『仕事関係』だと思われたのか苦笑いを浮かべ『色々と大変なんですね』と慰めの言葉をいただいた。
「すぐに水で冷やしたので痕には残らないと思うんですけど…一応お医者さんに診てもらった方がいいと思います」
「んな小さい事で医者なんか行けるか。」
「駄目ですよ!火傷って結構痕残っちゃうんですよ?せっかく土方さんカッコいいのに指に火傷の痕があったらもったいないじゃないですか。」
心配性な雪の言葉に土方は少しくすぐったく思い、ついぶっきらぼうに零してしまう。
しかしぶっきらぼうに返してくる土方に雪は銀時に慣れたのか怯むことなくムッとさせ言い返す。
土方は何だか親に怒られているようで、今度は気恥ずかしくなった。
しかし雪の続けられた『カッコいい』という言葉に土方はピクリと反応する。
「カッコいい、か?」
「はい?」
「お前から見た俺って、カッコいいのか」
土方の問いに雪はキョトンとさせる。
好きな人に『カッコいい』と言われてしまえば意識しないわけにもいかず、土方は逸らしていた顔を雪へと向け、真っ直ぐに見つめる。
土方に見つめられ雪は小さく頷いた。
「まあ…はい……土方さん、カッコいいと思いますよ?仕事出来るし、剣の腕だって凄いし、顔だって世間では美形って言われるほどだと思いますし、鬼の副長だって言われてますけど本当は土方さんが優しいのも知ってますし…私は土方さんの事、カッコいいと思ってます。」
まず、雪の知り合いの某2人がこれを聞いたら『お前の目ってフィルターかかってる?』と言われるだろう。
雪の容姿については執拗にも言うが姉がイケメンすぎてイケメン基準が少しおかしいのだ。
そもそもシスコンを抜きにしてもあれほどのイケメン姉上を持ってしまえば絶世の美男子と言われる鷹臣だってくすんで見えるだろう。
「そ、そうか…」
土方は自分で聞いておいて照れていた。
自分の気持ちに気づいていなくても、お世辞でも雪から『はいカッコいいです』と返ってくると嬉しく、そしてそれだけで満足だった。
周りにヘタレだなんだと言われても土方的には満足だった。
――が。
「それに比べて銀さんは仕事しないし持ってこないし死んだ魚の目だし天パって言われてるし客に暴言吐くし神楽ちゃんを女の子扱いしないしでダメダメです!」
銀時の名前を出た瞬間、土方の顔は強張った。
何故ここにアイツの話が出ているのだろう…なぜ俺はアイツと比べられているのだろうか…土方はプンプン怒りながらの雪の話を右から左へ、左から右へと流しながら聞いていた。
雪からしたら溜まった愚痴が土方によって解放されただけであろう。
だが、土方にとって雪の口から他の男の、特に銀時の名前を出されるが面白くなかった。
「大体この前だって…、―――!」
雪の口から出るわ出るわ銀時の愚痴。
しかし愚痴を言いつつも雪は銀時を決して心から軽蔑していないのは見ていて分かった。
身長差から見下ろす形になっている土方の目線の先の雪は眉間にしわを寄せ不機嫌そうに見えているが少し楽しげに見えたのだ。
幸せそうに、見たのだ。
その瞬間土方は何も考えられなくなった。
考えられなくなり勝手に体が動いた。
勝手に……本能のまま、土方は雪の唇を奪っていた。
銀時の愚痴を呟いていた雪だったが、突然土方の手が雪の後頭部にまわり引き寄せるように口づけをしたのだ。
雪は突然の事で目を見張る。
何故か土方の整った顔が視界いっぱいに映り、柔らかいモノが自分の唇に押し付けられている事に雪の思考を停止させていた。
「ぁ…え…?」
どれほどだったか…雪にとって長く感じた時間だった。
土方との口づけに唖然としていた雪から土方が離れる。
目をぱちりと瞬かせ唖然と自分を見上げる雪に土方は目を細める。
「ひ、ひじ、かた…さん…?」
「………、…」
土方は雪の戸惑いの声にそっと視線を逸らした。
雪は土方に何をされたのか、まだ頭が追いついていないため目を真ん丸にしたまま固まっており、ジッと見上げてくる雪に土方はばつが悪くなったのか、または逃げれないと思ったのか逸らしていた視線を雪に戻し覚悟を決めたように真っ直ぐ雪を射抜く。
「そういう事だ」
「そ、そういう事って…、〜〜〜っ!」
照れている土方に釣られ雪も頬をほんのりと染めた。
低く呟く土方の言葉に雪は首を傾げていたが、ようやく理解できたのかほんのりと染まっていた頬は真っ赤になり、頬だけではなく顔や首まで真っ赤に染まる。
「えっ!?なん…だって…!!ちょ、な…だ…ひじ、ななな…っ!―――えええ〜〜ッ!?」
そういう事、の意味を理解した雪はこれでもかと声を張り上げた。
驚きすぎて周りが自分を注目しているとは気づかず雪は立ち上がって叫ぶ。
そんな雪に土方は頬をかいた。
→あとがき
「あの…どうし…ってきゃー!!ひ、火!!煙草!!」
「あ?うお!?アッチィ!!」
「何やってるんですかー!」
腹立ちのあまり手で煙草を潰して消したことに気づいていなかった土方は、様子が可笑しかったため心配になって覗き込んだ雪の悲鳴にやっと気づく。
気づけば痛みがどっと襲い、土方は潰したままだった煙草を投げ捨てた。
雪は土方以上に慌て、丁度公園が近いという理由で土方の手を取り走る。
「お、おい!なに…」
「火傷したなら冷やさないと!!すぐ近くに公園があるのでそこで冷やしましょう!」
雪に突然腕を取られ引っ張られた土方は戸惑いの声を零す。
雪との接触にドキリとさせる土方など余所に雪はそのまま土方を引っ張り公園へと向かった。
まだ夕方前という事もあり子供達や大人達もいる中、男装もどきの少女と真選組の制服を着ている男性が公園の水場でしゃがみこんでいる光景はとても異常だろう。
だが遊びに夢中な子供達や子供を見守るのに忙しい大人達はその異常には気づいていない様子だった。
「ジッとしててくださいよ?」
「あ、ああ…」
土方は雪に言われた通り火傷した方の袖を捲り、雪は蛇口を捻り水を出す。
最初勢いが強かったため少し閉めれば丁度いい水の量が流れ、その流れる水に火傷した手を運ぶ。
雪が土方の手を触れ水へと濡らしてやれば、土方は身じろぎ、そんな土方に雪は咎める。
片思いの相手に触れられた挙句に『こら!』とまるで子供を叱るように優しく咎められた上に上目遣いも追加され、土方は動くに動けなかった。
顔に熱が籠るのを感じたため、土方は鏡を見なくても今自分は顔を真っ赤に染め上げていると分かり雪から顔を逸らすことで誤魔化す。
それで誤魔化しきれるは不明だが、ある程度水で冷やした後雪は自ら土方の手を持っていたハンカチで火傷をしていない部分の濡れた場所を拭ってやり、最後に痛くないように火傷の部分をトントンと擦らないよう水けを取ってやる。
「もう…どうして手で煙草を消したんですか?」
「あー…まあ…ちょっとな…」
怒りに我を忘れてました、とは言えず土方は曖昧に返すしかなかった。
それが雪には『仕事関係』だと思われたのか苦笑いを浮かべ『色々と大変なんですね』と慰めの言葉をいただいた。
「すぐに水で冷やしたので痕には残らないと思うんですけど…一応お医者さんに診てもらった方がいいと思います」
「んな小さい事で医者なんか行けるか。」
「駄目ですよ!火傷って結構痕残っちゃうんですよ?せっかく土方さんカッコいいのに指に火傷の痕があったらもったいないじゃないですか。」
心配性な雪の言葉に土方は少しくすぐったく思い、ついぶっきらぼうに零してしまう。
しかしぶっきらぼうに返してくる土方に雪は銀時に慣れたのか怯むことなくムッとさせ言い返す。
土方は何だか親に怒られているようで、今度は気恥ずかしくなった。
しかし雪の続けられた『カッコいい』という言葉に土方はピクリと反応する。
「カッコいい、か?」
「はい?」
「お前から見た俺って、カッコいいのか」
土方の問いに雪はキョトンとさせる。
好きな人に『カッコいい』と言われてしまえば意識しないわけにもいかず、土方は逸らしていた顔を雪へと向け、真っ直ぐに見つめる。
土方に見つめられ雪は小さく頷いた。
「まあ…はい……土方さん、カッコいいと思いますよ?仕事出来るし、剣の腕だって凄いし、顔だって世間では美形って言われるほどだと思いますし、鬼の副長だって言われてますけど本当は土方さんが優しいのも知ってますし…私は土方さんの事、カッコいいと思ってます。」
まず、雪の知り合いの某2人がこれを聞いたら『お前の目ってフィルターかかってる?』と言われるだろう。
雪の容姿については執拗にも言うが姉がイケメンすぎてイケメン基準が少しおかしいのだ。
そもそもシスコンを抜きにしてもあれほどのイケメン姉上を持ってしまえば絶世の美男子と言われる鷹臣だってくすんで見えるだろう。
「そ、そうか…」
土方は自分で聞いておいて照れていた。
自分の気持ちに気づいていなくても、お世辞でも雪から『はいカッコいいです』と返ってくると嬉しく、そしてそれだけで満足だった。
周りにヘタレだなんだと言われても土方的には満足だった。
――が。
「それに比べて銀さんは仕事しないし持ってこないし死んだ魚の目だし天パって言われてるし客に暴言吐くし神楽ちゃんを女の子扱いしないしでダメダメです!」
銀時の名前を出た瞬間、土方の顔は強張った。
何故ここにアイツの話が出ているのだろう…なぜ俺はアイツと比べられているのだろうか…土方はプンプン怒りながらの雪の話を右から左へ、左から右へと流しながら聞いていた。
雪からしたら溜まった愚痴が土方によって解放されただけであろう。
だが、土方にとって雪の口から他の男の、特に銀時の名前を出されるが面白くなかった。
「大体この前だって…、―――!」
雪の口から出るわ出るわ銀時の愚痴。
しかし愚痴を言いつつも雪は銀時を決して心から軽蔑していないのは見ていて分かった。
身長差から見下ろす形になっている土方の目線の先の雪は眉間にしわを寄せ不機嫌そうに見えているが少し楽しげに見えたのだ。
幸せそうに、見たのだ。
その瞬間土方は何も考えられなくなった。
考えられなくなり勝手に体が動いた。
勝手に……本能のまま、土方は雪の唇を奪っていた。
銀時の愚痴を呟いていた雪だったが、突然土方の手が雪の後頭部にまわり引き寄せるように口づけをしたのだ。
雪は突然の事で目を見張る。
何故か土方の整った顔が視界いっぱいに映り、柔らかいモノが自分の唇に押し付けられている事に雪の思考を停止させていた。
「ぁ…え…?」
どれほどだったか…雪にとって長く感じた時間だった。
土方との口づけに唖然としていた雪から土方が離れる。
目をぱちりと瞬かせ唖然と自分を見上げる雪に土方は目を細める。
「ひ、ひじ、かた…さん…?」
「………、…」
土方は雪の戸惑いの声にそっと視線を逸らした。
雪は土方に何をされたのか、まだ頭が追いついていないため目を真ん丸にしたまま固まっており、ジッと見上げてくる雪に土方はばつが悪くなったのか、または逃げれないと思ったのか逸らしていた視線を雪に戻し覚悟を決めたように真っ直ぐ雪を射抜く。
「そういう事だ」
「そ、そういう事って…、〜〜〜っ!」
照れている土方に釣られ雪も頬をほんのりと染めた。
低く呟く土方の言葉に雪は首を傾げていたが、ようやく理解できたのかほんのりと染まっていた頬は真っ赤になり、頬だけではなく顔や首まで真っ赤に染まる。
「えっ!?なん…だって…!!ちょ、な…だ…ひじ、ななな…っ!―――えええ〜〜ッ!?」
そういう事、の意味を理解した雪はこれでもかと声を張り上げた。
驚きすぎて周りが自分を注目しているとは気づかず雪は立ち上がって叫ぶ。
そんな雪に土方は頬をかいた。
→あとがき
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