それから花見の席は勝負で決めることに決まった。
それもお座敷発のたたいて・かぶって・ジャンケンポン。
始まりは、言い合いが止まらない約2名を見て勝負で決めようと近藤が言いだした事である。
しかも…
「あの…」
「なんだい?お雪ちゃん。」
「……何で私が景品なんですか…」
雪は何故か勝利品として扱われて。
定春を背もたれに座らされた雪は傍にいた山崎に声を掛けた。
雪が勝利品となった原因である鷹臣は妙に沈められ只今永眠中。
絶世の美男設定の鷹臣の顔を躊躇もなく拳を入れる姉に雪は今更ながらドン引きしていた。
しかし雪が勝利品となったのに火が付いたのか万事屋チームの士気は上がりっぱなしで、真選組も巨乳幼妻な雪を手に入れようと躍起になっていた。
もう花見も何もなくなっている。
「えー、勝敗は両陣営代表三人による勝負で決まります。審判は俺、山崎が務めさせていただきます。勝った方はここで花見をする権利+お雪ちゃんを得るわけです。」
「ちょっとー!それじゃあ不公平じゃないですか!公平を期して万事屋から私も審判に出ます!!」
「俺たち真選組がそんな卑怯なことするわけねえだろ…雪、てめぇは勝利品だろうが。勝利品は黙って座って俺が勝つのを待ってろ」
「ひ、土方さんまで…」
審判は山崎1人だった。
雪は不公平だと立ち上がって抗議したが、土方の言葉に肩を落としてしまう。
まるで真選組が勝ち雪を頂くような口ぶりに銀時が片眉を上げる。
「オイ、待てよ…何てめえが勝つ前提で話し進めてやがんだ…雪は誰にも渡さねえ。雪は万事屋のモンだ。誰が税金泥棒にやるかよ」
「ああ?今は、だろ?雪は俺…いや、真選組が頂く!――おい!てめえら!雪の手料理毎日食べてえよな!!」
「「「おおおおお!!!」」」
「雪に部屋を掃除してもらいてえよな!!」
「「「おおおおお!!!」」」
「雪に世話してもらいてえよなァ!!」
「「「おおおおお!!!」」」
恋のライバルでもある土方の言葉に銀時は我慢できなかった。
ギラリと睨み付ける銀時に負け時と土方も睨み付ける。
そして野次馬に混じっている隊士達に問えば隊士達からは想像通りの声が返ってきて土方は満足げに口端を上げる。
何度も言おう…もう花見も何もなくなっていた。
彼らの中では花見の場所から雪争奪戦へと変更していた。
雪は趣旨がかけ離れていくのを感じながら止めれず諦めて座り直した。
今、雪を癒すのはソファ替わりになってくれている定春である。
そうこうしているうちに一回戦が始まり、一回戦は近藤兄VS妙だった。
「姉上!無理しないでください!私代わりますよ!」
「いいえ、私がいかないと意味がないの……あの人どんなに潰しても立ちあがってくるの…私もう疲れちゃった―――全て終わらせてくるね?」
雪は『あ、ヤバい…』と思った。
妙が心配で勝利品だが代わろうかと言ったが、振り返りざまの姉の目を見て雪は顔が引きつった。
あの目は本気の目だった。
本気で殺す…そんな目だった。
「それでは!――叩いて被ってじゃんけんぽん!!!」
雪が近藤の死期を察した時、無情にも試合は始まった。
じゃんけんに勝ったのは妙。
グーを出した近藤に対し妙はパーを出す。
それを見て近藤はヘルメットを素早く被ってセーフとなる――はずだった。
「セーフ!!」
「セーフじゃない!!逃げて!近藤さん!!」
「え」
本来ならヘルメットを被ったらもう一度やり直しである。
それが本来のルールだった。
しかしヘルメットを被った近藤の頭上を妙が力いっぱい叩き付けた。
雪の忠告も虚しく、近藤は弟同様永眠となった。
ヘルメットにヒビが入り、決してピコハンでは出せるはずのない威力を受け倒れた近藤に真選組の隊士達が駆け寄った。
「局長ーーーっ!!」
「てめェ…!何しやがんだクソ女ァァ!!」
近藤に駆け寄り気を失っている近藤を見て隊士達は妙を睨んだ。
妙は腕を組んでそっぽを向いていたが睨み付ける隊士の怒号に…
「あ゙?やんのかゴラ」
凄んで見せる。
その凄み1つで泣く子も黙る真選組の隊士達を土下座させる姉に雪はもう引くどころか開き直っていくのを感じた。
隣の山崎が『お雪ちゃんも大変だね…』と肩を叩いてくれたのが唯一の救いだろう。
一回戦はヘルメットを被ったまま戦闘不能となったため一回戦は無効となった。
妙は無効となったが妹のストーカーも含めた日々のストレスをあの一発で発散したのかすっきとした笑顔を浮かべていた。
「え、えー…二戦目の人は最低限のルールは守って……」
顔が整っている分妙の笑顔がとてつもなく恐ろしく見える。
雪が開き直ってる傍で妙に耐性がない山崎はドン引きし顔を引きつらせながら二回戦へと流そうとしたのだが…二回戦はすでに始まっていた。
雪と山崎は近藤が鷹臣の隣に並んで寝かされながら治療をされているのを見送っていると歓声に気づき、声の方を振り返れば高速の動きで争っている沖田と神楽がいた。
早すぎてヘルメットとピコハンが二つあるように見える。
「夏祭りのリベンジネ!!雪は渡さないアルゥゥ!!!」
「過去ばかり振り替えってばかりじゃ先へ進めねえぜ!?雪は俺専用の給仕になる定めなんでィ!!チャイナ風情が邪魔すんじゃねえ!!おめぇはただの中国をパクッただけの小娘だろうが!!」
「んだとゴラ!!そっちはただのイケメンでSなだけのしょんべん小僧だろうが!!イケメン要員+Sなんてな!他のジャンルにも大勢いんだよ!てめぇなんざお払い箱になるほどいんだよ!!大したキャラ設定でもないくせに自分だけはキャラ立ちしてると思ったら大間違いじゃボケェ!!」
「神楽ちゃんンンン!!!ご、語尾ィィィ!!標準語になってるしキャラ壊れてるよ!?夏祭り再来だよ!?設定自ら壊してるよ神楽ちゃんンンン!!天に向かって唾を吐いてるよ!!」
まだ夏祭りの争奪戦で負けたことを根に持っているのか神楽は桜とはまったく関係ない事で沖田と争っていた。
沖田は祭りの時を思い出したのか優越感たっぷりに笑っており、それがまた神楽の癪に障りついには神楽は自らの設定である『アルアル口調』をどこかに捨ててしまった。
雪はそれに突っ込みをいれていたが、保護者である土方と銀時はそんな2人をただ見ているだけで止めようとはしない。
むしろ…
「ほう…総悟と互角にやり合うたぁ…何者だ、あの娘……奴は頭は空だが腕は真撰組でも最強をうたわれる男だぜ。」
「互角だぁ?うちの神楽に人が勝てると思ってんの?奴はな絶滅寸前の戦闘種族"夜兎"なんだぜ?すごいんだぜぇ?」
「なんだとぉ!?うちの総悟なんかなァ!!」
「ああ!?うちの神楽だってなァ!!」
「オイィィ!!ダサいからやめて!!『俺の父ちゃんパイロット!』って言ってる子供並みにダサいよ!!!」
娘&部下自慢していた。
普段沖田を褒めることはない土方に雪は珍しいと思っていたのだが、2人が何かを一気飲みしていたのを見て目を丸くする。
「っていうか、あんたら何飲んでんの!!」
「あ?勝負はもう始まってんだよ!よし!次はテキーラァ!!」
「上等だ!!」
銀時と土方が飲んでいたのはお酒だった。
グイッと一気飲みする2人の顔はよく見ればほんのりと頬を赤くしていた。
呂律もあまり回らないその姿を見て雪は勝手に飲み比べに勝負を変更した銀時と土方の駄目大人組を呆れた目で見るしかなかった。
そうこうしているうちに歓声が更に大きくなり、振り返れば沖田と神楽が殴り合っている姿が見えた。
「ちょっとォォ!!?神楽ちゃん!?沖田さん!?何殴り合ってるんですか!!ルール全く無視じゃないですか!!せっかく近藤さんが平和的に解決しようとしてた心意気無駄になってるんじゃないですか!!もういっその事殴り合うならヘルメット取れ!!」
「しょうがない!お雪ちゃん!勝負は最後の対決で決めるしかない!」
先ほどまでダンボールを挟んで高速でじゃんけんをし、高速でピコハンやらヘルメットやらで勝負していた2人だったのだが、ちょっと目を離した隙に何故か殴り合いに変わっていた。
それに突っ込んでいると山崎が早くも二回戦を諦め最終戦で勝負を決めようとする。
雪はそれに乗っかり銀時へ振り返った。
――が。
「「オ゙エ゙エ゙エ゙エ゙」」
「オイィィィ!!!何やってんだーー!!!このままじゃ勝負つかねえよォォ!!」
振り返った先には酔っ払い2人がゲロを吐いていた。
花見の席の勝負とは言え、自分の将来に関わる事態に雪は焦り怒鳴り声に似たツッコミを入れた。
そんな雪に銀時が肩で息をしながら口を拭い笑みを浮かべ雪に振り返る。
「心配すんじゃねえよ!俺ぁまだまだやれる!!シロクロはっきりしようじゃねえか!雪が誰のモンかをよぉ!」
「上等だゴラ!」
雪に振り返ったまではよかったのだが、まだ呂律が回っておらず、酔いが覚めている訳ではないのが分かった。
雪は土方を睨む銀時の言葉に嫌な予感がよぎった。
しかし止める前に銀時は土方にある提案をしてしまう。
「このまま普通にやってもつまらねえ…ここはどうだ、真剣で『斬って交わしてじゃんけんぽん!』にしねえか?」
「上等だゴラ!」
「お前さっきから『上等だ』しか言ってねえぞ?俺が言うのも何だが…大丈夫か?」
「上等だゴラァァ!!」
雪の悪い予感が当たった瞬間だった。
銀時は相当酔っているのか、普段なら言わない提案を土方に出し、同じく相当酔っている土方が頷いてその提案は可決されてしまった。
先ほどから土方は『上等だゴラ』としか言っていない。
「山崎!!こいつに刀を!!」
「ええ!?ああ、はいはい!!」
「えええええ!!!?」
木刀しか持っていない銀時に土方は山崎に刀を渡すよう命令した。
上司の命令に反射条件なのか山崎は腰に差していた刀を銀時に投げ渡す。
雪は躊躇もなく酔っ払いに真剣を渡す山崎に目を丸くする。
「刀なんか渡したら駄目じゃないですか!!相手は酔っ払いですよ!?」
「え…だって…」
反射条件とは言え渡した山崎に雪は振り返って睨み、雪の睨みに山崎は困ったように頬をかく。
楽しいはずの花見があっという間に戦争となり雪は頭を抱えた。
相手がまだ素面だったら止めようがあるが、如何せん相手は両者とも酔っ払いである。
下手に止めようすれば何が起こるか分からない。
2人ともそれなりの腕利きだから余計に。
雪や山崎を含めた真選組達が慌てている間にも酔っ払い2人は真剣を抜き『斬って交わしてじゃんけんぽん!!』と勝負をはじめてしまい、勝ったのは――銀時だった。
「勝ったァァァァ!!!」
銀時は酔っても理解できているのかじゃんけんに勝ち刀を振り下ろした。
その瞬間周りは静まり返り…―――ドサ、と重い何かが倒れる音だけが響いた。
「木…」
斬られて倒れたのは土方ではなかった。
倒れたのは、桜の木だった。
相手は酔っ払いである。
どうやら酔いが回りすぎて木が土方に見えた銀時はぶった斬ってしまう。
『峰打ちだ』とかっこよく決めているつもりなのだろうが、木が真っ二つに切られ地面に倒れている時点で峰打ちも何もない。
土方の方を雪と山崎が見れば、先ほどまで雪の背もたれになっていた定春とじゃんけんをしており、当然人間のような手がない定春はグーしかでない。
それを土方はいちゃもんをつけていたのだ。
「……お互い妙な上司がいて大変だね…」
「ええ…もう勝負なんてやめてみんなでお花見しません?お弁当作りすぎたんですよ。」
「え!?いいの!?やりぃ!俺一度でいいからお雪ちゃんの料理食べてみたかったんだよねー。あ、だったら俺らが持ってきた弁当も一緒に食べない?」
「いいですね!真選組のお弁当かぁ…楽しみだなぁ!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ馬鹿2人を放置し、雪は勝負せずみんなで花見をしようと切り出す。
本当なら勝負する前に言いたかったが、ストーカーやら上司&同僚のライバル心やらで却下されるのが目に見えていたため雪はあえて言わなかった。
その上司がベロンベロンに酔いつぶれそうになっているからこそ雪は山崎に告げたのだ。
案の定元々勝負などどうでもいい土方と沖田以外の真選組は雪の提案に賛同し、お互いの弁当を酒の肴に花見を楽しんだ。
その後――自動販売機の口に頭を突っ込んでいる銀時と、その屋根の上で眠っている土方の姿が発見されたという。
それもお座敷発のたたいて・かぶって・ジャンケンポン。
始まりは、言い合いが止まらない約2名を見て勝負で決めようと近藤が言いだした事である。
しかも…
「あの…」
「なんだい?お雪ちゃん。」
「……何で私が景品なんですか…」
雪は何故か勝利品として扱われて。
定春を背もたれに座らされた雪は傍にいた山崎に声を掛けた。
雪が勝利品となった原因である鷹臣は妙に沈められ只今永眠中。
絶世の美男設定の鷹臣の顔を躊躇もなく拳を入れる姉に雪は今更ながらドン引きしていた。
しかし雪が勝利品となったのに火が付いたのか万事屋チームの士気は上がりっぱなしで、真選組も巨乳幼妻な雪を手に入れようと躍起になっていた。
もう花見も何もなくなっている。
「えー、勝敗は両陣営代表三人による勝負で決まります。審判は俺、山崎が務めさせていただきます。勝った方はここで花見をする権利+お雪ちゃんを得るわけです。」
「ちょっとー!それじゃあ不公平じゃないですか!公平を期して万事屋から私も審判に出ます!!」
「俺たち真選組がそんな卑怯なことするわけねえだろ…雪、てめぇは勝利品だろうが。勝利品は黙って座って俺が勝つのを待ってろ」
「ひ、土方さんまで…」
審判は山崎1人だった。
雪は不公平だと立ち上がって抗議したが、土方の言葉に肩を落としてしまう。
まるで真選組が勝ち雪を頂くような口ぶりに銀時が片眉を上げる。
「オイ、待てよ…何てめえが勝つ前提で話し進めてやがんだ…雪は誰にも渡さねえ。雪は万事屋のモンだ。誰が税金泥棒にやるかよ」
「ああ?今は、だろ?雪は俺…いや、真選組が頂く!――おい!てめえら!雪の手料理毎日食べてえよな!!」
「「「おおおおお!!!」」」
「雪に部屋を掃除してもらいてえよな!!」
「「「おおおおお!!!」」」
「雪に世話してもらいてえよなァ!!」
「「「おおおおお!!!」」」
恋のライバルでもある土方の言葉に銀時は我慢できなかった。
ギラリと睨み付ける銀時に負け時と土方も睨み付ける。
そして野次馬に混じっている隊士達に問えば隊士達からは想像通りの声が返ってきて土方は満足げに口端を上げる。
何度も言おう…もう花見も何もなくなっていた。
彼らの中では花見の場所から雪争奪戦へと変更していた。
雪は趣旨がかけ離れていくのを感じながら止めれず諦めて座り直した。
今、雪を癒すのはソファ替わりになってくれている定春である。
そうこうしているうちに一回戦が始まり、一回戦は近藤兄VS妙だった。
「姉上!無理しないでください!私代わりますよ!」
「いいえ、私がいかないと意味がないの……あの人どんなに潰しても立ちあがってくるの…私もう疲れちゃった―――全て終わらせてくるね?」
雪は『あ、ヤバい…』と思った。
妙が心配で勝利品だが代わろうかと言ったが、振り返りざまの姉の目を見て雪は顔が引きつった。
あの目は本気の目だった。
本気で殺す…そんな目だった。
「それでは!――叩いて被ってじゃんけんぽん!!!」
雪が近藤の死期を察した時、無情にも試合は始まった。
じゃんけんに勝ったのは妙。
グーを出した近藤に対し妙はパーを出す。
それを見て近藤はヘルメットを素早く被ってセーフとなる――はずだった。
「セーフ!!」
「セーフじゃない!!逃げて!近藤さん!!」
「え」
本来ならヘルメットを被ったらもう一度やり直しである。
それが本来のルールだった。
しかしヘルメットを被った近藤の頭上を妙が力いっぱい叩き付けた。
雪の忠告も虚しく、近藤は弟同様永眠となった。
ヘルメットにヒビが入り、決してピコハンでは出せるはずのない威力を受け倒れた近藤に真選組の隊士達が駆け寄った。
「局長ーーーっ!!」
「てめェ…!何しやがんだクソ女ァァ!!」
近藤に駆け寄り気を失っている近藤を見て隊士達は妙を睨んだ。
妙は腕を組んでそっぽを向いていたが睨み付ける隊士の怒号に…
「あ゙?やんのかゴラ」
凄んで見せる。
その凄み1つで泣く子も黙る真選組の隊士達を土下座させる姉に雪はもう引くどころか開き直っていくのを感じた。
隣の山崎が『お雪ちゃんも大変だね…』と肩を叩いてくれたのが唯一の救いだろう。
一回戦はヘルメットを被ったまま戦闘不能となったため一回戦は無効となった。
妙は無効となったが妹のストーカーも含めた日々のストレスをあの一発で発散したのかすっきとした笑顔を浮かべていた。
「え、えー…二戦目の人は最低限のルールは守って……」
顔が整っている分妙の笑顔がとてつもなく恐ろしく見える。
雪が開き直ってる傍で妙に耐性がない山崎はドン引きし顔を引きつらせながら二回戦へと流そうとしたのだが…二回戦はすでに始まっていた。
雪と山崎は近藤が鷹臣の隣に並んで寝かされながら治療をされているのを見送っていると歓声に気づき、声の方を振り返れば高速の動きで争っている沖田と神楽がいた。
早すぎてヘルメットとピコハンが二つあるように見える。
「夏祭りのリベンジネ!!雪は渡さないアルゥゥ!!!」
「過去ばかり振り替えってばかりじゃ先へ進めねえぜ!?雪は俺専用の給仕になる定めなんでィ!!チャイナ風情が邪魔すんじゃねえ!!おめぇはただの中国をパクッただけの小娘だろうが!!」
「んだとゴラ!!そっちはただのイケメンでSなだけのしょんべん小僧だろうが!!イケメン要員+Sなんてな!他のジャンルにも大勢いんだよ!てめぇなんざお払い箱になるほどいんだよ!!大したキャラ設定でもないくせに自分だけはキャラ立ちしてると思ったら大間違いじゃボケェ!!」
「神楽ちゃんンンン!!!ご、語尾ィィィ!!標準語になってるしキャラ壊れてるよ!?夏祭り再来だよ!?設定自ら壊してるよ神楽ちゃんンンン!!天に向かって唾を吐いてるよ!!」
まだ夏祭りの争奪戦で負けたことを根に持っているのか神楽は桜とはまったく関係ない事で沖田と争っていた。
沖田は祭りの時を思い出したのか優越感たっぷりに笑っており、それがまた神楽の癪に障りついには神楽は自らの設定である『アルアル口調』をどこかに捨ててしまった。
雪はそれに突っ込みをいれていたが、保護者である土方と銀時はそんな2人をただ見ているだけで止めようとはしない。
むしろ…
「ほう…総悟と互角にやり合うたぁ…何者だ、あの娘……奴は頭は空だが腕は真撰組でも最強をうたわれる男だぜ。」
「互角だぁ?うちの神楽に人が勝てると思ってんの?奴はな絶滅寸前の戦闘種族"夜兎"なんだぜ?すごいんだぜぇ?」
「なんだとぉ!?うちの総悟なんかなァ!!」
「ああ!?うちの神楽だってなァ!!」
「オイィィ!!ダサいからやめて!!『俺の父ちゃんパイロット!』って言ってる子供並みにダサいよ!!!」
娘&部下自慢していた。
普段沖田を褒めることはない土方に雪は珍しいと思っていたのだが、2人が何かを一気飲みしていたのを見て目を丸くする。
「っていうか、あんたら何飲んでんの!!」
「あ?勝負はもう始まってんだよ!よし!次はテキーラァ!!」
「上等だ!!」
銀時と土方が飲んでいたのはお酒だった。
グイッと一気飲みする2人の顔はよく見ればほんのりと頬を赤くしていた。
呂律もあまり回らないその姿を見て雪は勝手に飲み比べに勝負を変更した銀時と土方の駄目大人組を呆れた目で見るしかなかった。
そうこうしているうちに歓声が更に大きくなり、振り返れば沖田と神楽が殴り合っている姿が見えた。
「ちょっとォォ!!?神楽ちゃん!?沖田さん!?何殴り合ってるんですか!!ルール全く無視じゃないですか!!せっかく近藤さんが平和的に解決しようとしてた心意気無駄になってるんじゃないですか!!もういっその事殴り合うならヘルメット取れ!!」
「しょうがない!お雪ちゃん!勝負は最後の対決で決めるしかない!」
先ほどまでダンボールを挟んで高速でじゃんけんをし、高速でピコハンやらヘルメットやらで勝負していた2人だったのだが、ちょっと目を離した隙に何故か殴り合いに変わっていた。
それに突っ込んでいると山崎が早くも二回戦を諦め最終戦で勝負を決めようとする。
雪はそれに乗っかり銀時へ振り返った。
――が。
「「オ゙エ゙エ゙エ゙エ゙」」
「オイィィィ!!!何やってんだーー!!!このままじゃ勝負つかねえよォォ!!」
振り返った先には酔っ払い2人がゲロを吐いていた。
花見の席の勝負とは言え、自分の将来に関わる事態に雪は焦り怒鳴り声に似たツッコミを入れた。
そんな雪に銀時が肩で息をしながら口を拭い笑みを浮かべ雪に振り返る。
「心配すんじゃねえよ!俺ぁまだまだやれる!!シロクロはっきりしようじゃねえか!雪が誰のモンかをよぉ!」
「上等だゴラ!」
雪に振り返ったまではよかったのだが、まだ呂律が回っておらず、酔いが覚めている訳ではないのが分かった。
雪は土方を睨む銀時の言葉に嫌な予感がよぎった。
しかし止める前に銀時は土方にある提案をしてしまう。
「このまま普通にやってもつまらねえ…ここはどうだ、真剣で『斬って交わしてじゃんけんぽん!』にしねえか?」
「上等だゴラ!」
「お前さっきから『上等だ』しか言ってねえぞ?俺が言うのも何だが…大丈夫か?」
「上等だゴラァァ!!」
雪の悪い予感が当たった瞬間だった。
銀時は相当酔っているのか、普段なら言わない提案を土方に出し、同じく相当酔っている土方が頷いてその提案は可決されてしまった。
先ほどから土方は『上等だゴラ』としか言っていない。
「山崎!!こいつに刀を!!」
「ええ!?ああ、はいはい!!」
「えええええ!!!?」
木刀しか持っていない銀時に土方は山崎に刀を渡すよう命令した。
上司の命令に反射条件なのか山崎は腰に差していた刀を銀時に投げ渡す。
雪は躊躇もなく酔っ払いに真剣を渡す山崎に目を丸くする。
「刀なんか渡したら駄目じゃないですか!!相手は酔っ払いですよ!?」
「え…だって…」
反射条件とは言え渡した山崎に雪は振り返って睨み、雪の睨みに山崎は困ったように頬をかく。
楽しいはずの花見があっという間に戦争となり雪は頭を抱えた。
相手がまだ素面だったら止めようがあるが、如何せん相手は両者とも酔っ払いである。
下手に止めようすれば何が起こるか分からない。
2人ともそれなりの腕利きだから余計に。
雪や山崎を含めた真選組達が慌てている間にも酔っ払い2人は真剣を抜き『斬って交わしてじゃんけんぽん!!』と勝負をはじめてしまい、勝ったのは――銀時だった。
「勝ったァァァァ!!!」
銀時は酔っても理解できているのかじゃんけんに勝ち刀を振り下ろした。
その瞬間周りは静まり返り…―――ドサ、と重い何かが倒れる音だけが響いた。
「木…」
斬られて倒れたのは土方ではなかった。
倒れたのは、桜の木だった。
相手は酔っ払いである。
どうやら酔いが回りすぎて木が土方に見えた銀時はぶった斬ってしまう。
『峰打ちだ』とかっこよく決めているつもりなのだろうが、木が真っ二つに切られ地面に倒れている時点で峰打ちも何もない。
土方の方を雪と山崎が見れば、先ほどまで雪の背もたれになっていた定春とじゃんけんをしており、当然人間のような手がない定春はグーしかでない。
それを土方はいちゃもんをつけていたのだ。
「……お互い妙な上司がいて大変だね…」
「ええ…もう勝負なんてやめてみんなでお花見しません?お弁当作りすぎたんですよ。」
「え!?いいの!?やりぃ!俺一度でいいからお雪ちゃんの料理食べてみたかったんだよねー。あ、だったら俺らが持ってきた弁当も一緒に食べない?」
「いいですね!真選組のお弁当かぁ…楽しみだなぁ!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ馬鹿2人を放置し、雪は勝負せずみんなで花見をしようと切り出す。
本当なら勝負する前に言いたかったが、ストーカーやら上司&同僚のライバル心やらで却下されるのが目に見えていたため雪はあえて言わなかった。
その上司がベロンベロンに酔いつぶれそうになっているからこそ雪は山崎に告げたのだ。
案の定元々勝負などどうでもいい土方と沖田以外の真選組は雪の提案に賛同し、お互いの弁当を酒の肴に花見を楽しんだ。
その後――自動販売機の口に頭を突っ込んでいる銀時と、その屋根の上で眠っている土方の姿が発見されたという。
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