(1 / 7) 外見だけで人を判断しちゃダメ (1)
近藤、土方、沖田は松平に呼ばれある高級料理店に来ていた。
部屋に案内され入れば呼び出した松平と、松平の後ろに控えて座っている鷹臣の姿があった。
もんじゃが焼けるいい匂いに包まれていたがその場の空気は重い。


「てめえらを呼んだのは他でもねぇ…奴がついに動く」

「とっつぁん…そりゃ確かかい」


松平の低い声が静まり返るその場に響く。
松平の言葉に向かいに座っていた近藤がピクリと反応し松平に問うと、鷹臣が頷き松平の代わりに答える。


「はい、間違いありません…奴の周りには常に俺の部下を見張らせていたので…奴はそれに勘づき鳴りを潜めていたのですが中々動かない我らに痺れを切らしたのか我慢できずに動き出しました」


鷹臣の言葉に松平は不愉快そうに眉をしかめる。
眉をそのままに松平はもんじゃを口に運んだ後煙草を口に咥え、吸い込んだ煙を吐き出した。


「…俺はもう後手に回るつもりはねえよ?上の連中がガタガタ言うなら腹を切る覚悟だ。――決戦だよ…奴も奴の企ても全て潰す。」

「…そうか…とっつぁんがそのつもりなら俺達の命もあんたに預ける。」


松平の言葉に近藤は深く頷き、頷いた近藤に松平はニヤリを笑い、『頼りにしてるぜ』と小さく笑い席を立った。
続けて鷹臣も席を立ち松平に続き、近藤達は背を向け帰っていく松平に頭を下げて見送る。


「トシ、総悟…一つ確認したい事がある。」

「なんだ」


松平と鷹臣が帰っていき、外に立っていた松平の部下達も続けていなくなり気配が消えた時…体を起こしながら近藤が2人に声をかける。
土方が返事をし、その返事に近藤はゆっくりと振り返り、そして…


「――奴って誰かな?」

「知らねえのかよ!!!」


近藤の言葉に土方が突っ込みを入れる。


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