(23 / 24) 露西亜人形殺人事件 (23)

―――ある日。
某市にある、有名な事務所に珍客が来店してきた。


「小五郎君!!お願い!助けて!!」


声を大にしながら事務所の扉を開けて1人の女が入ってきた。
競馬を見ていた男はその女を見て目をこれでもかと丸くして驚き、少女もまた女を見て驚いて見せた。
その少女の傍にいた幼い少年は二人以上に驚いた表情を浮かべ、もはやポカーン顔である。
そんな三人をよそに女は小五郎と呼んだ男の元へ駆け付け、一枚の写真を突きつける。


「な、何だ何だ!急に…」

「この子!!この子探して!誰よりも早く!早く探して!!お願い!小五郎君だけが頼りなのよーーっ!」


顔面に押し付ける様に写真を見せる女に男は煙たそうに手を振り距離を置く。
適切な距離になり、差し出された写真を見るとそこには見たことがある少女が映っていた。


「この顔どっかで…」

「あ!この子!最近テレビのニュースになってる子じゃない?ほら…」


目を凝らして写真を見るが、見覚えはあってもどこで会ったのかまでは覚えていなかった。
しかし興味があるのか、後ろから男の娘である少女が写真を覗き込み答えた。
彼女は見覚えがありそれがいつ見たのか覚えているのか、テーブルの上に置かれていたテレビのリモコンに手を伸ばし、馬しか映っていない画面をニュース画面に変える。


「ほら、この子よ」


映ったのは一人の少女。
とは言えその少女は動いてはおらず、ニュース画面に映し出される少女も写真の画像だった。
それも今男が持っている写真と全く同じの。
男は写真とニュース画面を交互に見てやっと最近ニュースで話題になっていた事を思い出す。


「この子を探して!!マスコミよりも早く!!!一刻も早く!!マッハで!!!音速で!!光速で!!!」


ズンズンズン、と女は男に迫る様に近づく。
女は美女であるが、その勢いに押され顔を赤くする暇さえない。
女は鼻息を荒くし興奮したように捲し上げ、男を追いつめる様に近づいてく。


「お、落ち着いてください…」

「ねーねー、オバさ―――」

オ バ サ ン ?

「お、おねえさん…は、なんでそこまでしてこの人を探してるの?」


降参と言わなばかりに迫る女に男は手を上げた。
いくら美女とはいえ、迫るその顔は気迫がありすぎて美女が台無しになっている。
少女が落ち着かせようとし、少年が声をかけるも、『オバさん』と言いかけたが睨まれ『お姉さん』と言いなおす。
少年の言葉に女は先ほどの気迫をどこへ置いていきたのやら…優し気な表情で写真の少女を愛おし気に見つめていた。


「娘なのよ…」


少年はまるで娘を撫でるかのように写真の少女に優しく触れた。

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