【140字SS「手繰り寄せた糸の先」】
帯びた熱は簡単には冷めないものだと知り尽くした。それがわからず苦しんだ頃に比べれば、今は琥珀を見つけただけで僥倖といえる。手繰り寄せた糸の先にあるものが、どれだけ重く苦しいものなのかはわからない。彼女は沈黙する。
それでも私はずっと変わることがないのだと、自嘲気味に笑うしかなかった。
2020/10/12
【140字SS『夢だけの世界』】
大好きなポケモンがいる、でんきタイプがいる。そんな「夢だけの世界」は、私が本当に望むものへと手を伸ばしたときに崩れ落ちる。
愛されたいと望んでしまえば、もうその世界は「夢だけの世界」ではなくなってしまうのだから。
私は向き合わなくてはいけないのだから。
自分の弱さと、貴方への恋心に。
2020/10/12
ここはどこだろう。暗い闇の中をてくてくと歩いていくと、ひとりの少女が泣いていた。
「マチュ?」
しらたまは声をかけたけれど、女の子は変わらず泣いていた。この人はしらたまの知っている人だと思ったが、誰かは分からない。
「もっと、もっと頑張らなくちゃだめなの。私、もっと、もっと頑張らなくちゃ」
「マチュ……?」
しらたまには難しいことは分からぬ。
しらたまはただのトゲデマルである。そこで、しらたまは呼びかけた。
「マチュマチュ」
いっしょに遊ぼう。
「マチュマチュ!」
友だちになろうよ、と。
2020/10/12
【君を探す】
それがとても脆い幻だと知っていても、諦めない己を罵ろうと、何も変わることはないのだと。
そう、光に透かして太陽のように輝く滴を見ながら、大きく一度深呼吸をした。
君は今、どこにいるんだろう。
2020/10/12