みんなでバーベキューをしよう!

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「ねえねえリュードくん! お野菜持ってきたよ〜!」
「そっちおけ」
 リュードが指示をしてくれたところにソラはよいしょと野菜を置きました。
「ねえ、リュード〜! 火が消えそう〜」
 炭を入れながらそういったのはカリスです。カリスの声を聞いてリュードが面倒くさそうに睨みつけた後、指を鳴らしました。
「次は消すなよ」
「ありがと〜〜! 俺さあ炎属性の魔法苦手だし、リュードがやってくれたほうが燃えがいいっていうか」
「早くやれ」
 そう言い終わるとリュードは元いた場所に戻って行きました。
「リュードくん! 何してるの?」
「薪割ってる。炭だけじゃ燃えが悪いときがあるから」
「へえ」
 リュードが斧を振りかざして薪を待っているのを座ってみていると、リュードが不思議そうな目をしてこっちを見てきました。
「やるか?」
「あ……うん! やってみたい!」
 ソラは目をキラキラとさせて立ち上がると、リュードから斧を受け取り、レクチャーを受けました。とにかく危ないから気をつけろと何度も何度も言われたので
 私ってそういうイメージなの!?
 とソラは少し不安になりました。一度、二度やったところで腕がぷるぷるとして動けなくなったらリュードが鼻で笑ってソラから斧を取り上げました。
「無理だろうとは思っていた」
「う、うう……なんだか悔しい。リュードくんやっぱりすごいんだねえ」
 とソラが言うとリュードが少しびっくりしたように目を瞬かせた後、目をそらして
「普通だろ」
 と言って、また作業に戻ってしまいました。
 いても邪魔になるのではないかと考えたソラは(ソラの提案である)焼きおにぎりの準備をしていたローアとライアのもとへ向かいました。
「どうどうローアちゃん」
「もう終わりそうだよ。一緒に持って行こう?」
「うん!」
 三人で手分けして大皿を持って行くと、火のそばにキースが立っていてなんだかカリスとけんかしています。
「貴方のやり方が悪いのです! せっかくリュードくんがつけてくれた炎を消す気ですの!? 貸してご覧なさい、私のほうがもっとうまくやれます!」
「あのなあ、俺だって真面目にやってんの!」
「よく燃える炭と燃えない炭の区別もつかない貴方に言えることではありません!」
 ソラたちはいつものことだね、と話しながらお皿を並べてこの喧嘩をどう止めようかと考えていると、リュードが薪を投げ入れて火をつけて言いました。
「キース、カリス……楽しくやろうってんだからいちいち突っかかるな」
「ご……ごめんなさいリュードくん。私ったらつい熱くなってしまいましたわ」
「だってキースが俺に喧嘩腰で……」
 そこまで言いかけてカリスが飛び上がって走って行きました。おそらくキースに何かされたのだろうとソラたちは苦笑しました。
「とりあえず始めるか。暗くなる前に」
「そうですわね!! リュードくんの言うとおりですわ!」
 ソラは友達だけでバーベキューをやるのは初めての事だったのでとてもわくわくします。
「ソラ、火に近づいてやけどすんなよ。アミは熱いから気をつけろよ、焼きたてのもの食べるなよ」
「わかってるよ〜〜!! もう! リュードくんは心配し過ぎだってばああ!!」

【fin.】



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