ついろぐ!
2021/06/02
最近歩いてると妙な感じがしていた。この間クソ野郎を殴って部隊が降格になり、減点も喰らったおかげでチクチクと嫌なもんが刺さることは多かったが、それとは違う。ふわっとしたものが身体を包む感じだ。慣れないモノに戸惑う。そしてそれを感じるときにいつも近くにアイツがいる。
そいつが誰だかはもう分かっていた。ゾエと同じクラスのやつ。ボーダーでも見かけた。タメの奴らは口を揃えて「アイツはいい奴」と言う。俺だけが話した事がない。その日話しかけたのはノリだ。そいつのことを知ってみたかった。するとそいつは俺に好きだと言う。真っ直ぐな目で俺を見てきた。
慣れない感情と誤魔化しのない言葉をかけられて、ついその場を立ち去ってしまった。誰もいない作戦室に戻ると後からゾエが入ってきた。「カゲ何で逃げちゃったの?ずっと気になってたじゃん?」「うるせぇ」どうやら一部始終見られていたらしい。「あの子の気持ち前から一番分かってたでしょ?」
向けられるふわふわしたものがどんなものか前から分かっていた。友達や家族とも違う、普段感じる事はないむずむずするくらいの温かいもの。それをずっと浴びせられるうちに、自分もアイツを見かけるたびに求めていた。またあんな感情、俺にくれるのだろうか、と。「次会った時ちゃんとしなよ」「……」
「おいお前」「あ、影浦君」後日学校でアイツを見かけた時にまた話しかけた。「俺のこと好きなのかよ」「うん、そうだよ」「そーかよ。じゃあ今日個人ランク戦やってやる。18:00にブース前な」「え………」
立ち去る背中にはいつもの感情が浴びせられていた。