「I have a bad feeling about this.」
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37.5

本部の廊下を歩いていると、自分の彼女が可愛がっている後輩2人を見つけた。
玉狛の雨取ちゃんにC級の夏目ちゃん。
彼女の口から最近良く出てくる名前だから覚えていた。
確か今日は狙撃手の合同訓練があって、彼女もそれに参加しているはずだ。
ここにあの2人がいると言うことは訓練はもう終わったのか。
終わったのなら自分も彼女も今日防衛任務は入っていないから一緒に帰ろうと誘ってみようか、なんて考えていた。
後輩2人に後ろから近づいて、話しかけようとする。
「尚美先輩大丈夫かな?」
「あの人この間も来てたよな?しつこい男だよな〜」
「周りに誰もいなかったし、先輩達、誰か呼んできた方がいいかな?」
「……」
尚美、男。
聞き捨てならないセリフだった。
これは、確認しなければならない。
「雨取ちゃん、どうしたの?」
「あ、犬飼先輩こんにちは」
「こんにちは。なんか困りごと?」
「あ、えっと…」
雨取ちゃんは言いにくそうに視線を下げた。
自分に言ってもいいのか判断に迷っているのだろう。けど、それでは困るのだ。
「ん?」
犬飼は、話しやすいように努めてにっこり笑う。
「それがっすね!」
「ちょっと、出穂ちゃん!」
「いいじゃん、チカ子」
「でも、狙撃手の先輩の方が…」
何やら2人で揉めているが、あえて空気は読まない。ここで時間を取られるわけにはいかないのだ。
「夏目ちゃん?おれで良かったら話聞くよ?」
話してくれそうな方を攻める事にした。
「ほらチカ子!…それが、うちらの先輩が最近男に言い寄られてるみたいで。先輩何度か断ってるみたいなんすけど、今日も練習後に捕まっちゃって、ほんとは私たち3人でお昼食べる予定だったんすよ!」
「しばらく待ってみたんですけど尚美先輩来なくって誰か他の先輩を呼んでこようかと思ってたんです。相手はC級の人なので、正隊員の先輩達連れてきたらきっと大丈夫だろうって。いつも、先輩達がいないところで話しかけてくるから」
「尚美先輩優しいから断り切れないんじゃないかって、心配なんす。いつもなら違う先輩が一緒にいるから安心してたんすけど」
なるほど、今日は元村さんはいないのか。
顎に手を当てて2人に言う。
「うん、それは困ったね」
非常に困る。よろしくない。
自分の彼女に手を出そうとしている奴がいる。狙撃手の正隊員達は何をしているのか。特に荒船と穂刈と当真。
「じゃあ、おれが様子見てくるよ」
にこりと笑って2人の頭を撫でる。
「いいんすか?」
「うん。食堂まで連れて行くから、2人は先に行っててよ」
そういうと安心したのか、2人とも笑顔になって「ありがとうございます、よろしくお願いします」と頭を下げてきた。
おれの彼女は随分慕われてるもんだ、と嬉しくなった。

2人と分かれて、訓練室へと続く廊下へ急いだ。そこにC級の隊服を着た男と自分の彼女がいて、身を隠してそっと様子を伺う。
「じゃあ、俺の悩み聞いてもらえるだけでも良いので、食事いきましょう!」
「食事?!えっと……」
「全然最近上達しなくて悩んでて」
「そっか、それは辛いね」
「なので、ゆっくり話聞いてください!」
男は話しながら彼女の手を握っていた。距離感の近さが見てて面白くない。
彼女も普段にはない近さに焦っており、恥ずかしさもあるのか顔が赤くなっている。
なにその顔。誰にそんな顔見せてんの。
しかも、食事ってなんだ。
うわーこれはうざい
もう少し様子をみる必要もなくアウトと判定し、出ていく事に決めた。
早くしないと彼女が押し切られる。
「ねぇ、何してるの?」
すっと彼女の後ろに立って男を見る。彼女の肩に手を置くことも忘れない。
「え、二宮隊の犬飼先輩……」
あ、おれの事知ってるんだ。それなりに長くいるC級隊員なのかな?
そんなことを考えるが、正直自分の事はどうでもよかった。
ただ、この女の子には手は出してはいけないと言うことだけを覚えて欲しかった。
「ねぇ、何してるの?」
返事がないのでもう一度聞いてみる
「でっ、弟子にして欲しくてお願いしてたところです」
弟子ねぇ。とチラリと握られてる手を見る。その視線に気づいたのか男は手をパッと離す。
そうだよね。弟子になるのに手を握る必要はないよね?
「君、狙撃手志望?じゃあおれが荒船紹介してあげるよ、あいつ教え方上手いし」
その男に彼女を近づけたままにしておきたくなくて、彼女の腰を抱いて自分の方に引き寄せた。
「わっ!犬飼君!」
「え、いや、俺は」
距離感の近いおれと彼女に何か気付くところがあったのか、後退りし始めた。
やっぱりここで釘刺しとこうかな。
彼女は言う事を嫌がるだろうけど、知らないからこんな事するんだろうし。
ぜひ覚えて、他のC級隊員に広めてほしい。
「おれの彼女に下心で物言うのはやめてね?」
いつもの笑顔でにっこり笑う。
「え、あ、か、しっ、失礼します!」
バタバタと男は逃げて行った。
それから廊下に2人になったけど、彼女は腰を抱かれたまま何も言わない。
自分が不味いことをしたと自覚があるのか、普段なら人前でされるのを嫌がって怒るのに何にも言ってこない。
「尚美チャン?何か言いたい事あればどーぞ?」
彼女の顔を見ないまま聞いてやる。
「……」
「言わないなら、このまま作戦室連れ込んですごいのするけど」
腰に置いてる手でさらっと撫でる。
「……最初の方は弟子にしてくれってすごく一生懸命言われるから断り切れなくて」
「うん」
「何回も来てくれて熱心に言うから、悩んだんだけど……私教えるの下手だし、弟子を取るなんて烏滸がましくて」
とことん男の好意に鈍い彼女にため息が出そうになった。言いたいことはそっち?弟子にしてくれなんて相手の建前なのに。
「弟子の話は置いといて、食事の話だよ。おかしいでしょ?ああ言うのはすぐ断って」
「悩んでるって言ってたから、話聞いてあげた方が良いかなと思って」
危ない。やはりお人好しの彼女はあのまま押されてたら食事くらい行ってたかもしれない。
「悩んでたとしても、彼氏のいる尚美が行くのはおかしいでしょ?」
普段はしない呼び方で呼ぶ。
「……そうですね」
「そう言うことに悩んだら、荒船とか穂刈を頼って」
当真はアテにならないから外す。あいつは面白がってそのままにしそうだ。
「確かに2人の方が良いアドバイス出来るよね」
「……そう、全部自分でしようと思わない。荒船なんかは人に教えるのも好きだから」
なんかズレてるがまぁ良い。荒船が聞いたら怒りそうだが今は構っていられない。この危機感のない彼女をどうにかしなければ。
そもそも、おれの彼女は他の女性隊員と違って、話しかけやすく近付きやすいタイプなのだ。
戦闘職の女性隊員は気が強い事が多く、C級隊員も気軽には話しかけにくい。
加古さんや真野さんは実力もあっていつも遠巻きに見られるだけだし、
まだ中学生の黒江ちゃんや木虎ちゃんもプライドがあるのか、自分より弱い奴には見向きもしない。
オペレーターはそもそも作戦室にいる事が多く、訓練室にあまりいないからC級隊員は接触し辛い。
尚美はと言うと、他の隊員達と同じように実力もあるし、ボーダー隊員として優秀なのだがあまり見た目からはわからない。
なんというか、こう、押したら行けそうと思えてしまうのだ。
実際自分は押しまくった。
彼女の逃げ場が無いくらいに押した。
自分と同じようにしようと思う奴なんていくらでも出てくるだろう。
ボーダーなんて、圧倒的に女性が少ない。
そこに出会いを求めようとしたら、尚美は恰好の餌食だ。
しかしそれはダメだ。おれは尚美じゃないとダメなのだから。消去法で選んだり、優しくされたからだったり、話しやすそうだからとか簡単な理由で好きになるのとは訳が違う。
真野さんのせいで、今シーズンのランク戦の解説をずっとやってるから、今まで知らなかった奴まで尚美のこと知るようになった。
尚美は俺と付き合ってるのを隠したがるからフリーだって勘違いしてる奴がすぐにさっきみたいな事をする。
荒船や穂刈、たまに当真に茶化すように教えてもらうが、聞いていて良い気分では無い。
正直予想していた以上に尚美はモテた。
「相談なら、人数多い方がいろんな意見が聞けて良いよね。今度からみんな誘ってみることにする」
「……そうして」
やはりなんかズレてるが2人きりにならないならいいか。
デートに誘ったつもりが、じゃあみんなで行こうとなったら相手も脈なしだと思うはず。
「え?そうだよね?」
彼女が俺の方を向いた。こういう抜けてる所うちの隊長と似てるよなぁ。流石師弟。
「さて、後輩2人が食堂で待ってるよ」
「そうだった急がないと…その前に」
彼女が食堂に向かおうとした足を止めてこちらを見た。
「ねぇ、澄晴君」
「ん〜何?」
「ありがとうね」
「どういたしまして」
本部では滅多に聞くことのない呼び名。
2人きりの時だけ呼んでくれる名前。
まあ心配になる彼女だけどおれが目を光らせとけば良い話だ。
それに他の男を見る暇なんて無いくらい愛してやれば良い。
腰に手をやったまま廊下を2人で歩くのだった。

「あ、トーマ先輩!」
出穂は千佳と食堂に入ったところでさっきまで探していた先輩達を見つけて走り寄った。
「お?どうしたどうした?」
当真はトレーを持って席に移動している途中だった。
「もー!なんで先輩達みんないないんっすか!」
急に現れた出穂に怒られて当真は首を傾げる。
「なんか知らねーけど悪かったな、丁度野郎共で飯食ってたんだよ、お前らも来るか?つか宮木はどーしたよ?」
出穂と千佳は当真について行く形で席に向かうと、確かに狙撃手の男性陣が揃っていた。
千佳はユズルが見えるとホッとしたように話しかける。
「ユズル君もここにいたんだ!」
「うん。…あれ、尚美先輩は?一緒じゃなかったの?」
さっきまで一緒だったはずの尚美がいないので、ユズルが聞く
「うん、それがね…」
千佳がさっきまでの事を話すとユズルは安心したように頷く。
「ああ、それなら大丈夫だよ。犬飼先輩に任せとけば」
「そ、そうなの?」
同い年だから仲良いのかな?一緒にいるところ見た事ないけど。
千佳は戸惑う。
「そうそう、雨取ちゃん心配せんでもええよ」
ユズルの隣の席で食べている隠岐がにっこり笑って千佳の頭を撫でる。
「ちゃーんと彼氏の犬飼先輩が連れてきてくれるわ」
「かっ、彼氏!」
千佳は全く知らなかったので、びっくりした。
「そう、彼氏」
隠岐は千佳のそのリアクションを見てにっこり笑う。
「雨取ちゃん、知らんかったん?」
「はっ、はい」
「え!そうなんすか?!彼氏なんすか?!」
当真と話していた出穂の声がこちらまで聞こえてきた。どうやら出穂達もその話をしていたようだった。千佳達もそちらの話を聞く。
「騒がしいぞ」
当真の隣に座っていた奈良坂が窘める。
「すっ、すいませんっす。」
出穂は声を落とす。
「先輩に彼氏がいるとか初耳で」
「あの人はそう言う事を自分から話す人ではないからな」
奈良坂は淡々と話しながら自分の昼ごはんを食べる。
「知ってるやつは犬飼の方から聞くんだぜ」
当真が楽しそうに出穂に教えてくれる。
当真と犬飼は同い年だから仲も良いんだろう。
「な、荒船」
「まぁな。つか、俺に話を振るなよ」
荒船も既に知っているようで、驚きもない。
「そんな事起きてるんなら、また俺が犬飼に文句いわれるじゃねーか。お前知ってた?」
めんどくさそうに荒船は隣の穂刈に聞く。
「いや、知らない宮木にそんな面白そうな事が起こってたとは」
穂刈はにやっと笑って否定する。
「そんなチャレンジャーおったんですねぇ」
隠岐が楽しそうに言う。 
「な、手は出さねーよな。知ってたら」
穂刈と隠岐はそのC級隊員がこれからどうなるかを考える。
「宮木先輩、ガードゆるっゆるですもんね」
半崎も食べながら話に入る。
「普段は元村さんがいるから大丈夫でしたけど」
これは、狙撃手組はみんな知ってるんじゃ?出穂は勘づく。知らなかったのは自分とチカ子だけではないかと。
今防衛任務でいない東や佐鳥はもちろん、鈴鳴第一にいる太一や弓場隊の外岡、那須隊の茜もきっと知ってるはずだ。
彼氏という存在が中学生の出穂にとっては大人な響きで少し憧れる。
しかもそれが尊敬する先輩なら尚更だ。
頼と尚美は狙撃手では唯一のA級女性正隊員。面倒見も良く、出穂、千佳、茜を妹のように大事にしてくれている。
「まぁ、あんまり本人には言ってやるなよ、誰にも知られてないと思ってるから」
奈良坂が釘を刺す。
「そうなんすか?」
「プライベートを持ち込みたくないんだと思うよ」
古寺も会話に入る。
まぁ、確かに真面目な尚美さんならそうだよな、出穂は納得した。
「ちなみに頼さんには彼氏、いないんすか」
「……」
「……」
「……あれ?」
出穂は特に深く考えずに聞いてみたが、周りが全員黙ってしまって、まずいことを聞いたしまったのかと焦る。
「元村さんは、まぁ、そのうちな」
荒船が苦笑いする。
「元村さんが諦めたら出来るんじゃねーの?」
当真も笑っている。
「彼も頑張ってるから……」
古寺が誰かをフォローする。
「彼って誰っすか?」
出穂は気になって話しかける。
「それは聞かないでやれ」
奈良坂が嗜める。
「……わかりました」
よく出穂にはわからなかったが、きっと頼にも良い相手がいるのだろうと言うことはなんとなくわかった。

「きたぞ、おい」
穂刈が食堂の入り口をパッと見て言う。
噂をすれば尚美が食堂にきていた。しかし隣に犬飼の姿はない。
「ごめんね、お待たせ〜みんなと一緒にいたんだね」
尚美は笑顔で出穂と千佳に話しかける。
「お前犬飼はどうした??」
当真が1人しかいない事を聞く
「え?なんで犬飼君が出てくるの?」
尚美はあくまでとぼける様子だ。
「さっきまで一緒だったんじゃないのか?」
荒船も探る
「…そうだけど、二宮さんに呼ばれて行ったよ」
尚美は何かおかしいと気づき、狙撃手組のテーブルを窺う。
「そうか、珍しいもんみれるとおもったんだけどな」
荒船がぽつりと言う。
「何それ」
「お前ら全然一緒にいるとこ見ねーんだもん」
当真がつまらなさそうにぼやく。
「なんで一緒にいないといけないのよ」
尚美はシラを切るつもりらしいが、悲しい事にここにいる全員が知っていて、みんな顔がにやにやしていた。
「せんぱ〜い。みんな知ってますから」
ここで隠岐が爆弾を投下した。
「えっ、何、何を知って…??」
「何って、先輩の彼氏」
犬飼先輩でしょ?とダメ押しで隠岐がバラす
「な、なんでそれ……え、ユズル君も、出穂ちゃんも千佳ちゃんも…??」
みるみるうちに尚美の顔が赤くなった。
出穂と千佳は普段見ない先輩の表情に驚く。
「……もちろん」
「はい!」
「すみません、さっき先輩達に聞きました」
可愛がっている最年少3人にそう言われて、尚美はショックを受けたようだ。
本人はやはり隠せていると思っていたのだろう。
「え、ほんと?荒船君!ほんと?嘘でしょ?!穂刈君!」
「わりぃな」
「聞いてるぜ、犬飼から」
「信じられない!!!!!」 
彼女は顔を真っ赤にして食堂を急いで後にした。
「先輩行っちゃったすね」
出穂は尚美が行ってしまった方向を見る。
「隠岐、お前そこまで言う事ないだろ」
「すんませ〜ん。先輩いじると可愛いんですもん」
荒船に怒られても隠岐はニコニコしている。
「先輩どこに行っちゃったのかな??」
千佳が聞く。
「きっと、二宮隊の作戦室だな」
「だろうな」
「二宮さんに泣きつくか、犬飼に直接文句言うか」
「あの人ならきっと、二宮さんに泣きつくでしょうね」
「先輩ほんまにわかってないもんな〜またやきもちやかれるパターンやん」
「宮木先輩って結構鈍いよなぁ」
「押しにも弱い」
「知らないっすよ、後でダルい事になっても」
「とりあえず解決したなら良いんじゃないですか?」
「そうですね、安心です」
「しっかり犬飼のヤローが釘刺してるだろ」
千佳と出穂は先輩達が尚美と犬飼についてあれこれ言うのを聞いて、先輩達は仲が良いなぁと思うのであった。

「あれ?」
千佳が食堂に入ってきた人を見て驚く。
「犬飼先輩」
その声を聞いた面々が一気に犬飼を見る。
「おっ、何何?」
視線に気づいた犬飼がこちらへやってくる。
犬飼の後ろに二宮、辻、氷見がいるので、二宮隊でやって来たのだろう。
「犬飼お前、そこで宮木に会わなかったか?」
全員が思っている事を荒船が代表して聞く
「ん?尚美チャン?むしろこっちにいないの?」
犬飼がさっと周りを見て、尚美がいないことに気づく。
尚美チャン……下の名前……。
出穂は特別感のある呼び方にドキドキした。
「え?どこ行ったの?」
「お前を探しに行ったぞ。怒り狂いながら」
「え〜?なんで〜?」
穂刈の言葉に犬飼は楽しそうに笑う
「すんません俺のせいっすわ」
隠岐がへらっとしながら手を挙げる
「尚美先輩に犬飼先輩のこと言うてしまって」
「ああ、なるほど。おれは別にいいよ」
余裕の笑みだ。
「あ、雨取ちゃん、夏目ちゃん」
犬飼が2人に声をかける。
「さっきは教えてくれてありがとう。またさっきみたいなことあったら教えてね」
そう言われて、千佳と出穂はドキドキした。
おっ、大人だ〜!
さっきは付き合ってる事を知らなかったからなんとも思わなかったが、知ってしまえば2人の関係とかを色々想像してしまい、
何故か顔を赤くしてしまう。
「はっはい、わかりました」
出穂が返事をする。
「うん、よろしくね……あと、荒船、穂刈、当真」
犬飼に名指して呼ばれた3人。
「ちゃんと見ててくれないと」
犬飼はじろっと見る。
「自分で見ろ。大事なら」
「あいつ、見てらんねーよ。しょっちゅうあんなだから」
「それで慌てるお前を見るのが楽しいんだよ」
3人とも慣れているのか、投げやりだ
「うっわ、頼りない〜」
犬飼はけらけら笑う。 
「じゃ、おれいくね」
犬飼は二宮隊の元に戻っていった。
「あいつ、宮木のことになるとめんどくせーから気をつけろよ」
荒船が千佳と出穂に忠告した。
「はい……」
それでも大事にされてるのが羨ましくもあり、ますます尚美が憧れの先輩になるのだった。

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