ウィンクして!
「皆さんウインクできますか?」
ふと気になって聞いてみた。
今日、クラスの友達と話してたのを思い出したのだ。アイドルがふとした時にウインクするのたまらないよね。キュンってしちゃうよね、とか。
同じクラスの隠岐くんが今日学校を防衛任務のために早退してて、いつものように授業のプリントを預かっていた。
週末を挟むから、早めに渡した方がいいかなと思い、生駒隊の作戦室に来ていた。
まぁ、それは建前で本音は好きな人に少しでも会いたいからだが、生憎防衛任務後の報告とやらで、今は席を外しているらしい。
「イケメン隠岐なら出来るやろ?」
「えーおれすか〜出来ますけど……ほんまにやるんですか?」
「ええからはよせぇ。はよやらんと微妙な空気になるで」
「またずっるいわ、その言い方」
「ぐだぐだ言ってんとはよやり」
水上先輩に振られて隠岐くんがなんや照れるなぁと言いながらみんなの前でウインクしてみせる。
「……」
「……」
「ただのイケメンやん」
水上先輩の言う通り普通にカッコ良かった。様になっている。
たしかにイケメンは何をやってもイケメンだと思った。
写真撮ってクラスの友達に見せたいくらいだ。
「やらせといてその言い方……ひどないすか?」
「はいはいはい!オレ出来ますよ!」
次に海君が勢いよく手をあげてアピールする。
「ほんなら海、やってみ」
水上先輩の合図で海君はウインクしようとする。
「……」
「目瞑ってるだけやん」
真織ちゃんの厳しい一言。
「しかも何故か舌出とる」
隠岐くんの言う通り力が入ってるのか、無意識なのか、舌が出てなんか可愛い感じになってしまっている。
「可愛いだけやん。アウト〜」
水上先輩は手をバッテンにして、ウインク失敗と判断を下す。
「えー、じゃあ水上先輩出来るんですか?」
「俺はできへん。片目ずつ閉じるなんて出来んでもええ」
堂々としている。
「なんなんすかそれ……」
無茶振りのようにさせられた隠岐くんはため息をついた。
最初に話題を振ったこっちが申し訳無くなってきた。
「なになに?みんなして何やっとんの?」
そこにイコさんが戻ってきた。すぐに話に入ってくる。
「ウインク出来るかって話になってたんすよ!」
海君が楽しそうにイコさんに説明する。
「イコさんできます?」
水上先輩がイコさんに話を振る。
「おん、出来んで」
そう言って、イコさんは自然にウインクした。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……わ、かっこいい」
みんなが黙る中、思わず言ってしまった。
イコさんは目がぱっちりしてて顔が濃ゆいから一層素敵だった。
惚れた弱みかもしれないが。
「え、カッコいい言うた?!めっちゃ嬉しい!カッコいい?!ほんなら何回でもしたるわ!」
そう言ってくれたが、
「何回もすると効果薄れますよ〜」
「ここぞと言う時にするんがええのに…」
「え!そうなん?!じゃあやめとくわ」
隠岐くんと真織ちゃんの言葉にイコさんはやめてしまう。
「え、じゃあ今日はあと一回だけして下さい……」
さっきのウインクのかっこよさが忘れられず思わずお願いしてしまう。本当は写真にとって待ち受けにしたいくらいだけどそれは我慢しておく。
「……あかん。可愛すぎて辛い」
イコさんは目の前でしゃがみ込んでしまった。
「はいはい、ご馳走さんです〜」
「惚気話は外でやって下さい〜」
「はい、帰った帰った〜」
隠岐くん、真織ちゃん、水上先輩にイコさんは蹴られるように言われる。
「宮木先輩って、イコさんのこと本当に好きなんですね!」
海君に聞かれて頷く。
「うん、大好きだよ」
未だ片想い中。バレバレな気持ちを本人にいつ言ってしまおうか。