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かくして立海大附属中学校男子テニス部の今年度レギュラーは決定した。

レギュラー決定日の数日前に、ビードロズは企画書の再提出も行っている。

「さあ!これで残ってるのは、今日の私達のライブだけだよーーー!」

早朝。
朝練の時間にテンションも高く、紀伊梨はギターをかき鳴らしている。
こういう時は寝起きが良いのだ。

「あーん、楽しみだなー!早く放課後にならないかなー!」
「私まだ練習したいんだけど。」
「まあまあw我らがリーダーは楽しめとの仰せだからw」
「おーせ?」
「言った、という意味の尊敬語です。」

今日だ。
今日が本番だ。

もしかしたら最初で最後になるかもしれない、校内ライブ。

「じゃあここいらで、気合の入れ直しと行こー!さあさあ皆、集まって!右手出して右手!」
「はいはい。」
「あーでもこれすると、いよいよって感じすんねー。」
「ドキドキしますよね。」
「今回は紫希が頑張ってくれるっぽいし?」
「あ!そーだよね、頑張ってね紫希ぴょん!私達も、めーーーっちゃんこ頑張るよ!」
「が、頑張ります!」
「はいはい、気張るの止めなさいって。」
「千百合ちゃん・・・」
「大丈夫、出来るわよ。私達皆ならね。」
「・・・はい!」
「ようしっ!じゃあライブの成功を誓って!

ビードロズ、いっくぞーーー!」

「「「おーーー!」」」








「今日だね。」
「今日だな。」

朝練の後片付けをしながら、幸村はふうと息を吐いた。

今日だ。
我らがビードロズの初ライブ。

初ライブとしてはあまりに心臓に悪い、ドキドキギリギリな初ライブ。

「とはいえ、俺達が出来る事はもう少ない。」
「そうだね。後は見守るくらいしか。・・・柳。」
「ん?」
「有難う。ビードロズの為に、協力してくれて。」

幸村と柳も、仁王から指示を受けていた。
おかげで中休みと昼休みはここ最近ちっとも休みになって居らず、移動でもないのに教室を空ける日々が続いた。

幸村にとってはビードロズは身内だが、柳には・・・と思いながら幸村が礼を言うと、柳は少し眉を下げて笑った。

「想定内ではあるが・・・いざ言われるとなかなか堪えるな。」
「え?」
「幸村。お前にとって、ビードロズは友人だから、手伝うのは気にならないのかもしれない。だが、同時に俺にとってももう友人で、そして友人を手伝うのは当たり前の事だ。違うか?」
「柳・・・」

幸村は顔を綻ばせた。
ああ。
自分は本当に良い友人に恵まれた。


そんな風にほわほわしたムードを他所に、丸井の前で真田と桑原は困り顔だった。

「おいおい、お前らが「何か出来る事は」って言い出したんだろい?そんなんで出来んのかよ?」
「いや・・・その・・・」
「・・・想像と違ったのだ。」

この2人はビードロズが困っている事を知り、遅ればせながら何か手伝えることは、と言いだしたのだった。
其処で丸井は他愛ない事を頼んだのだが、予想外に難色を示され困惑している。

「じゃあ止めるか?良いぜ、少なくとも俺と幸村君は出来るし・・・」
「いや!男に二言は無い!」
「おう、俺もやる事はやるけど・・・」

桑原の目が言う。
よしんば丸井と幸村と、参加するなら柳は許されるとして、自分達がやる意味はあるのかと。
丸井もそれは分かっているから、思わず溜息を吐いてしまうのだ。

「まあ、何時もは春日と幸村君がやってるからなー。」
「別に構わんじゃろ。」

仁王が会話に入ってきた。

「こういうのは人数も大事じゃき、量でカバーじゃ。」
「・・・それは暗に、質が落ちるという意味ではないか?」
「プリッ。」
「おい!答えんか仁王!」
「それよか丸井。」

無視するな!といきり立つ真田を鮮やかに無視する仁王と丸井。
桑原は2人の神経の太さを羨ましく思う。

「ん?」
「頼んだぜよ。なんせ俺はいざっちゅう時、動けん確率が高いからのう。」
「おう!任しとけって!」
「・・・・・・」
「なんじゃ真田?」
「何を頼むのかは分からないが、丸井に頼むのは些か不安が過る気がしてな。」
「俺はおまんに頼む事になる方が丸井の10倍は心配ナリ。」
「なんだと!」
「適材適所っちゅうやつじゃ。丸井は今回かなり嵌り役じゃき、春日が指名してくれて本当に助かったぜよ。」

これは掛け値の無い本心だった。
その事が丸井もなんとなく分かるから、より一層気合が入る。

「・・・ねえ、丸井?」
「うん?」
「俺も聞いてないんだけど、丸井は何をするんだい?」

なんとなく、紫希と何かするのだろうなという事は分かる。
でも具体的に何をどう頼まれているのか、当人達以外の誰も知らなかった。

丸井はあー・・・と言いにくそうに目線を逸らした。

「・・・言えないんだね?」
「うん。悪い!」
「いや、良いよ。丸井の所為じゃないし。」
「・・・でもな、幸村君。」

幸村は少し目を見開いた。
丸井はテニスをする時のように、ハッとするほど真剣な目をしていた。


「絶対キッチリやってみせるから。安心しててくれよ。」


「・・・分かった。任せてしまってごめんね。頼りにしてるよ。」
「おう!」


「時に仁王。お前はさっきから何を笑っている?」
「ピヨ。丸井に頼んだ事を思うと、つい。」
「ほう。」
「柳、メモは止めてやってくれ・・・・」

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