First RAINBOW FESTA:Without worrying
それから少し後、可憐と忍足は会場に到着した。
揃いのTシャツを着たスタッフに話しかける。
「あのう、参加者に会いたいんですけどっ!」
「ああ、それならあっちですけれどーーーー」
「あっちですね、有難うございますっ!」
「あ、ちょ・・・まあ良いか。」
スタッフのそのまあ良いか、をしっかり聞き留めながら、忍足は先を行く可憐についていく。
まあ良い、という事はどちらかというとよろしくはない、という事だけど、忍足はこういう場合良いって言われたから良いよねの方を取るタイプだった。
「流石に人多いなあ。」
「そうだよねっ!お客さんも多いし、そもそもグループが思ってたよりも多いしっ。そ、それにきっと、楽器もいっぱい・・・!」
「楽器はたくさんあるやろうけど、その辺には置いてへんやろうし、そない怯えんでも大丈夫やで。」
なんて会話をしながら、2人は参加者の待機している辺りをうろつく。
どの辺に居るのかなあ、参加者がいっぱい過ぎてよくわかんないなあ、と内心で思い始めた辺りで、聞き覚えのある大きな声がした。
「あー!可憐たーん!こっちこっちー!」
「あ、居たっ!おーい、皆ー!」
G2という簡易看板がある所で、レジャーシートの上に居ビードロズ。
楽器が見当たらなかったので、可憐はほっと息を吐いた。
「はよ。」
「おはようございます。今日は来てくれて有難うございます。」
「ううんっ!私、すっごく楽しみにしてたんだっ!」
屈託なく笑う可憐に、紀伊梨を除く3人は内心で安堵した。
誘ったは良いがいかんせんチケットの受け渡しは関東大会途中だったので、ひょっとしたらあの決勝で落ち込みをひきずっていて、今顔を見たくない行けないと言われるかもしれない・・・とか思っていたのだ。
そこまで行かなくてももう少し沈んだ感じの空気も覚悟していたけど、少なくとも見ている限りでは普通に普通の可憐と忍足。
「朝からどうもねw出番は昼からだから、もうちょい遅れても罰は当たらないのにw暑いしw」
「ううんっ!だって、もし何かで見逃しちゃったら後悔するしっ!」
「何のトラブルがあるかわからへんからなあ。遅いよりは早いに越したことあらへんやろ?」
「おー!気合じゅーぶんですなっ!うんうん、紀伊梨ちゃん達も今日はめーいっぱい頑張るかんね!見ててね!」
「あははっ!勿論だよ、その為に来たんだしっ!」
「そういえば、確かに格好も気合が入ってるw」
「えっ!あ、ええと、ううんと、」
「確かに。前遊んだ時と全然服の系統違う。」
「こういうのもよくお似合いなんですね、可憐ちゃん。」
「ああ、うー、えー・・・そ、そう?かなっ?」
忍足は可憐の隣で小さく笑った。
「言うたやろ?気後れせんでええて。」
「記憶?れ?」
「気が後れると書いて気後れです。ええと・・・簡単に言うと、この場合はちょっと緊張する、みたいなニュアンスです。」
「えー、なんでー!めちゃんこ可愛いのにー!」
「そ、そうかなっ?」
「うん!ね!おっしーもそう思うよねっ!」
それ聞くの?と他の全員が思った。
可憐でさえも思った。忍足はちょっと、くるかなと思ってたから別に狼狽えないけれど。
「せやな、そう思うで。」
「だよねー!」
「も、もう良いよ・・・っていうか、私の話じゃなくてっ!そうだよ、皆の話をしようよっ!皆、今日は服、普通なんだねっ?お揃いとかしないのっ?」
「確かに、普通に遊び用の服いう感じやな。」
「本番は衣装着るよ。」
「汚すので、まだしまってあるんです。」
「そうなのっ?衣装とかあるんだ、凄いねっ!」
「ねー、やっぱもう着ようよー!」
「駄目だよw」
「五十嵐さん、気持ちは分かるけどやめとき。こんな混んでて暑いところ、いつ誰に飲み物零されるかわからへんで。」
「っていうか、こいつ零す側だから。」
「零さないもん!多分!気を付けるもん!」
「まあまあ・・・」
普段の紀伊梨を見ていたら、零さないとは言ってやれない。
特にこういう場では、飲み物どころかアイスやソースまでよく零す。
「あれっ?そういえば、立海の人達はっ?まだ着いてないのっ?」
「今ちょっと外してる。」
「実はさっきまで、セットリストの確認とかで緊急呼び出し食らってたんだよねwスタッフと話すのの邪魔になるからってんで、その辺に行ってもらったのw」
「ええっ!?」
「もしかして、俺らも邪魔なん?」
「うーうん!もー終わったから、だいじょーぶ!」
「ああ、良かった・・・」
「でも、結構バタバタするんやな。」
「そうですね、色々段取りが肝心なので・・・」
「せやなあ。実は差し入れ持ってきたんやけど、今はやめといた方がええやろか。いつなら邪魔にならへん?」
「「「「え?」」」」
「これ。」
忍足の差し出したビニールには、保冷剤と一緒になっているフルーツゼリーが入っている。
「わー、きれー!すごーい!」
「ど、どうしよう私何にも持ってないっ・・・!」
「良いんですよそんなの!忍足君も、お気持ちは嬉しいですけど気を使って頂かなくても、」
「いや、可憐ちゃんはええけど俺は差し入れくらいせな。親戚揃って世話になるさかい。」
「親戚・・・あっ!」
可憐は思い至った。
そうだったそうだった、謙也が来るということは、忍足家として世話になるという意味合いも結構大きいのだ。
「ああそうか、あんたの従兄弟だっけ。そもそも。」
「忘れてたー!」
「忘れてたねw」
「そこ忘れるってあるん?」
「だってもーふつーに友達だもーん!」
(馴染むん早いわ。)
「ねえ紫希ちゃんっ。」
「はい、何ですか?」
「あの・・・従兄弟の謙也君って、どんな感じの人だったっ?」
「え?」
「実は今日、一緒に行動とかしない感じなのっ。もしかしたら会えないかもしれないけど、ちょっと興味があってっ。」
忍足にまともに聞いても、身内だからとぞんざいな答えが返ってくるのは予想がつく。
それならビードロズに聞いたほうが、よっぽどフラットな答えが返ってくるだろうと可憐は思ったのだった。
「明るい方でしたよ。こう、はきはきしていて・・・それから、友達思いで。あ・・・それから、ちょっと気が早い方でした。」
「へええ・・・・」
「可憐ちゃん、そろそろ行こか・・・何話してたん?」
「あっ、ごめん何でもないのっ!」
ちょっとだけでも会えないかなあ、会ってみたいなあ。
と言ったら反対されそうな事は感じているので、可憐は言わなかった。
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