Family moments 2:My dream 2
翌日の朝。
一家揃って二度寝を楽しんでいた五十嵐家に、フロントからの電話が鳴り響いた。

「んー・・・・?ふぁい、もしも・・・違った、Hello?」

『(おはようございます。娘さんの紀伊梨さんのご友人だと言う男の子が訪ねてきております。名前は乾貞治と名乗っていますが、通しますか?)』

「・・・・紀伊梨。えっ、娘の友達ですか・・・っていうか、名前が乾貞治って、その子日本人!?あ、ちょ、ちょっと待って下さいね!起こしますんで!紀伊梨!紀伊梨ー!」
「zzzzz・・・・」
「紀伊梨!紀伊梨起きて、お友達だよ!何か、乾君っていう日本人の・・・紀伊梨ーーー!寝るなーーー!」




という成り行きで半ば無理やり起こされた紀伊梨は、朝食がまだだという事で、乾と2人で近くのレストランで朝昼兼用飯を食べていた。

「やー、乾っちに起こされるとは思わなかったよー!」
「俺は逆に、この時間なら流石に起きているだろうと踏んで訪ねてみたんだが。」
「やー、昨日は皆でUNOが盛り上がっちゃって・・・んで?お話ってにゃーに?」
「そうだな、その話をしよう。俺の隣室で、君が気にかけているリラの事だが・・・昨日彼女と話す機会があってね。色々とわかった事がある。」
「お!そーなの!?ってゆーかいつの間に!?」
「いや、半分は君の功績だ。君が彼女に話をさせるきっかけになったようなもので・・・まあ、これは後にしよう。先に彼女の話だ。先ず、彼女自身の話だが・・・名前は、リラ・ターナー。15才でイギリス人だ。此処へはリフレッシュを目的とした家族旅行で滞在しているらしい。」
「へー!じゃあ紀伊梨ちゃん達より3個年上だ!」
「そうだな。まあ、此処まではただのプロフィールだ。本題の方だが・・・彼女は先ず、歌手なんだそうだ。」
「おお!え、プロなんだー!凄いじゃーん!」
「ああ。しかし、一度大きいオーディションで不合格を言い渡され、そこから歌えなくなっているらしい。精神的なものらしいが、ステージで歌おうとすると上手く声が出ないんだそうだ。」
「ほえー・・・えー、オーディション失敗しちゃったの?」
「いや。」
「おえ?」
「不合格だっただけだ。失敗じゃない。彼女曰く、何も失敗しなかったらしい。いつものように歌えたし、事務所からも君なら必ず通ると太鼓判を押されて・・・まあ、言ってしまえば、合格間違いなしと言って良い場面で不合格になったわけだ。」
「・・・・・」
「まあ、寧ろ明確に失敗するよりもそっちの方がショックだったのかもしれないな。何がよくなかったのか自分でもわからない、納得がいかない、しかしどんなに納得がいかなくても現実は現実で不合格は不合格。」
「・・・・・」
「自分に自信があったらだけに、駄目と言われた時堪えたんだろう。」
「誰も駄目なんて言ってなくない?」
「ん?いや、だから彼女は不合格したのであって、」

「上手くいかなかったから駄目だなんてそんな事ないよ!別の何かが理由な事だってあるじゃん!」

「・・・・・・」
「オーディションだって、合格した子が一番凄かったっていう事っしょ?リラちんが駄目だったからってわけじゃないよ。」
「・・・・そうだな。確かに、その観点は今の彼女に必要かもしれない。」

乾は眼鏡を上げ直した。

「寒天が必要かもしれない・・・?」
「その寒天じゃない。ものの見方というか、考え方の話だ。」
「ほーほー、考え方・・・あ!ねーねー、リラちんが家族と喧嘩してるっぽいっていうのはー?」
「ああ、それについては、彼女の歌手としての活動が関係しているらしいね。」
「・・・・どゆ事?」
「つまり、現在歌手としての活動が上手くいっていない事に対して、彼女の家族はもう歌手を辞めるようにと勧めているんだそうだ。」
「えええええ!?」
「彼女自身はまだ辞めたくないと言っているが、実際解決の兆しは見えないし、歌手である事が心の負担になるくらいならという事でーーー「乾っち、ホテル帰ろ!」え?」
「駄目だよ!辞めちゃ駄目だよ、折角歌手になったんだから!そんなのダメダメ、絶対止めないとじゃん!」

止めないと。
って何その、大きなお世話な発想。

とは乾は思わない。
大きなお世話というのなら、もうとっくのとうに大きなお世話。

「・・・・わかった、行こうか。」
「うん!」

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