Solicitation:4th game 5



ROOM:先のヒントによる

PLACE:
姫を捕えしその壁を
越えて尚も潜りし狭き門
待ち受ける謎に立ち向かう
導き手の答えに寄りて
道標は眠りにけり

CAUTION:不正解した場合
そのチームは3分間
再回答する権利を
剥奪されるものとする

※ROOMは両チーム共通とする




「・・・壁ねえ。」

千百合は1人、適当な切株に腰かけてヒントの紙を見ていた。

紫希と幸村の言っていた壁とは、上記のヒントに書いてある壁の事。
千百合も取り敢えずの目標として壁を探して居たのだが、紫希と同じく見つけられないでいる。

(っていうか、壁が云々以前に、ここ花とかが育ち放題過ぎて良く見えないんだけど)

「黒崎。休憩か?」
「柳。ああ、まあ。そんなとこ。」

実際の所、休憩するほど探索してないけれど。面倒だし。
でも柳は、如何にもそれが良い、という風に頷いた。

「今迄の場所と違い、ここは湿度が高い。体力の消費スピードが速まる分、休憩は重要だな。」
「まあね。こんなに色々生えてちゃ蒸すわよね。」
「間引きもされていないのだろうな。何も生えていない所の方が珍しい位だ。」

流石に温室の体は保てるように、大木等はある程度の所で枝葉を切られているようだが、それ以外の所は放置。

「杜撰な管理って奴?」
「いや、ある程度は態とである確率が高い。ゲーム会場という事を考えると、整然としているよりは雑然として居る方が、何かと都合が良いのだろう。」
「ああ、成程。そう言われれば確かに。危ない物も生えてないしね。」
「危ない物・・・例えば、ウルシの類など、という事か?」
「そ。」

幸村に引きずられて割かし植物に明るい千百合は、ザッと見て回ってそういう結論を出して居た。確かに適当に見えるけれど、触ったらかぶれるものや毒性のある物は一切無い。

又、これは真田も気づかなかった事だが、虫嫌いの千百合は此処に虫が見受けられない事も気づいていた。人は嫌いなものに対して目敏い物だが、その千百合の目をもってしても蟻程度しか見かけない。
つまり定期的に殺虫剤が撒かれているのだ。

引いては此処に毛虫など恐らくいないのであり、紀伊梨と丸井は桑を食べても問題なかった可能性が高いが、まあ其処はそれ。
絶対の保証など出来ないのだから、あれはやはり真田が正解だ。

「ウルシ以外にも色々あるけど、まあどれも無さそうだし。良いんじゃない、気にしなくて。」
「そうか。それは有用な情報だな、有難う。矢張りお前も詳しいな。幸村の影響か。」
「まあ。ある程度付き合いは長いし。」
「・・・ふっ。」
「何笑ってんの?」
「いや、大した事じゃない。」

ただ、やっぱりなんだかんだ千百合は人の話ちゃんと聞いているのだなと思っただけ。
とりわけ、幸村の話は。
棗辺りの話は半分かそこら流してるのかもしれないけど。

「・・・しかし、黒崎。聞きたかったんだが。」
「あ?」
「お前が花などに詳しいのは、幸村の存在が大きいのは分かる。」
「はあ。」

「反面、お前がテニスに詳しくないのは何故だ?」

美術だとかガーデニングだとか、幸村はそれは好きだし、語ったりするだろう。
でも、それより何より血道を上げているのはテニスの筈だ。

でも千百合はテニスの事は殆ど知らない。
どの学校が強いかとか、大会はいつだとかは少しは分かるが、テクニックだとかトレーニングのポイントだとか、そういう事を千百合は全然知らないのだ。

よもや幸村が話してない、などと言う事はあるまい。そんな事する理由が無い。
となると自然、千百合の側に何かあるのではという発想になる。

「私テニスの事よく分かんないもん。」
「しかし、元はと言えばガーデニングの事だって、お前はよく分からなかったはずだ。」
「ガーデニングは言われた事を覚えておけば、精市と会話が出来るでしょ。でも、テニスはそうはいかないわよ。」

それは幸村がテニスの申し子だからである。

テニスの知識が付いたって、詳しくなったって多少上手くなったって、それでは到底幸村の足元にも及ばない。どんなに頑張ったって、幸村の一番大事な世界を一緒に見る事は出来ない。その片鱗すらも分からない。

千百合にはそれが分かっている。だから無駄な努力はしない。
テニスをしている幸村程、千百合にとって遠い幸村は居ないのだ。

それ故、真田にムカつくという部分もある。
真田は分かち合えるだろう、千百合が生涯辿りつけないテニスと言う世界の事を。

「出来ない事はしたくないの。別にする必要も無いし、それで困った事も無いし。」
「真田とぶつかるのは困った事の内に入らないのか。」
「あれは、それでなくてもぶつかる自信がある。諦めて。」

そもそも真田と自分は相性が悪いのだ。
テニスは悪化に一役は買ったけど、大元の原因とか言うわけではない。

(不思議な話だな)

誰よりテニスにのめり込む幸村の恋人が、テニスに興味の無いまま務まると言うのも、考えてみれば面白い。
いや。寧ろ逆に、意外と詳しくない方が上手く行ったりするのだろうか。

「まあ、いずれにしろ今問題ないのだから、構わないな。」
「え?何か言った?」
「いや、何でもない。兎に角、納得がいった。有難う。」



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