Solicitation:4th game 8

「幸村が封じられたな。」
「何!?」

仁王と真田は缶を見上げて棒立ちであった。

自分達が手を出すと、ターンが回ってしまう。
今はその時ではないから、じっとしているのだが。

「何故そんな事が分かる?」
「さっきからBチームが缶を落としとる。ちゅう事は、何らかの方法で幸村の動きを止める事が出来とるから、そういう行動に出られるわけじゃ。」
「ならば助けに、」
「無暗に助けにも行けん。行くと状況が悪化する場合もあるナリ。」
「むう!」

このゲームは、最初に携帯を取り上げられている。
ゲームの趣旨的に、さっきのケイドロと違い離れ離れになったり行方不明になったりする心配が無いし、携帯を持っていると、謎解きの多くがggればオッケーになってしまいかねないからだ。
その副産物として、こんな風にばらけると、合流しない限り意思の疎通ができない。

「ならばこの場合、俺達で正解の缶を落とすしかないわけだな。」
「ああ、不本意じゃがな。」
「不本意だと?」
「こんなに馬鹿正直に正面突破するしかなくなるとは思うとらんかった。正直、良いように転がされとる感覚が抜けんぜよ。」

もうこうなってから言ってもしょうがないけれど、もう少しやり様が無かったかなと我ながら思う。

「ふん!上等だ。」
「どこがじゃ。」
「仁王!俺は常々言いたいと思っていたが、お前は敵の正面に立つ事を厭い過ぎる!奇策が生きるのは、凡策も織り交ぜてこそだ!」

仁王はグッと詰まった。

これは正しい。

自分が王道というか、スタンダードな作戦を取らないのは、好みの問題も大きいからだ。
効率という点では、真田のこの意見は非常に的を射ていると言わざるを得ない。

『Aチーム、の、打球ではありません。解答は、無効。』

「さあ。結論が出たなら、後は行動あるのみだ。現在正解に指定されている缶の場所へ・・・」

「行くのは構わないが、させると思うのか?」

来た。というか、来ない方がおかしい。

幸村を封じたなら、次点で怖いのは真田。
それなら此処で、この男をぶつけない理由などあるまい。

「柳か。」
「だけ、ではありませんよ。」

柳生と桑原が、続いて姿を現す。

「3人も手空きを作るとは、流石じゃの。」
「まあな。五十嵐は今、凄く頑張って幸村と黒崎の相手をしてるんだよ。」
「ほう?彼奴に1人で相手させるとは、お前さんらも鬼畜じゃき。」
「分かっていますとも。だからこそ、此処で私達が勝たねば五十嵐さんが浮かばれないではありませんか。」

ナチュラルに紀伊梨を死んだ事にするこの物言い。仁王は柳生のこういう所が好きである。

「仁王。」
「?」
「正解の缶の正確な位置は分かるか?」

ゲーム慣れしている仁王は、割と早い段階から缶の存在に気づいていた。
のみならず、どういう順番に置かれていてどの辺に何番があるのか覚える余裕まであった。

「・・・絶対とは言わんが、あれじゃ。」
「あれだな。」
「・・・おい、当てるつもりじゃないじゃろうな。」


イラ。


「・・・そうだと言ったらなんだと言うのだ。」
「無理じゃ、届かん。」


イラ、イラ。


「考えてもみんしゃい。30mはあるぜよ。おまけにディフェンスが3人じゃ。」


イラ、イラ、イラ、イラ。


「成る程、そうきましたか。流石は仁王君です。」
「ああ。悔しいが、こうなると此方は手を出せないな。しかし、諦めるのはまだ早い。」
「ええ、備えましょう。」
「え?ま、待ってくれ、なんだ?何が起きてるんだ?」
「桑原、話は後だ。とにかく今は、直ぐ対応出来るよう構えてくれ。」


「お前さんは確かに優秀じゃが、幾ら何でも出来る事と出来ん事があるぜよ、人間。」


イライライライライラ。


「不可能じゃろう、どう考えても。


ーーー幸村じゃあるまいし。」



ブチッ!



「言わせておけば・・・!」


口調に籠る怒りの熱とは裏腹に、冷徹な程綺麗に上がるトス。


「出来ない出来ないと・・・!」


振りかぶるその姿は、まさに怒髪天をつかんばかりのオーラ。


「出来んわけ・・・なかろうがあああああ!」


ショットの瞬間、ラケットごとぶん殴られるかと思った。
桑原は後にそう語る。


カン!


『Aチーム、正解、です。タブレットに、正解ワードが、表示されます。次のステージへ、移動して、下さい。』

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