Solicitation:4th game 10


「これは・・・」
「蛍光塗料が塗ってあるんじゃろう。」
「キーアイテム、ですよね?」
「その可能性は高いな。失くさんようにせんといかん。」

紫希と仁王は、発光するテニスボールを所持したまま相変わらず暗闇に佇んでいた。

「じゃあ、これを持って何処か・・・ゴール的な所を目指しませんと。」
「ああ。じゃが、光っとるとはいえ、ライトの代わりにはならんな。」

依然、進むのは難しい。
紫希も仁王もライトを所持していないばかりか、周りから明かりが近づいてくる気配も無い。

「かといって、じっとしてると先手を取られる場合もあるな。」
「で、では進みませんと・・・」
「それも不細工じゃ。こうなると、一刻も早くゴールを目指す必要が出て来るぜよ。」

そう、早く行きたい。
こうなると、遅れを取りたくないという思考が働いてくる。

相手より早く。
その為には。

「やるだけはやってみるか。」
「?」
「春日、両手を出しんしゃい。」
「はい、」








「きゃあああああああっ!!」










「!」

柳は立ち止った。

今の悲鳴。

「春日か・・・」

どうした。
何があった。

いや。

(罠かどうか微妙な所だが・・・罠の可能性が幾分高いな。)

柳は、先程紫希と別れた。
あの時桑原と仁王が一緒に居たが、もし桑原が手筈通り2人を撒けたとすると、紫希は仁王と一緒に居る事になる。

となると出る結論としては自然、仁王が何がしかの狙いを踏まえて紫希を叫ばせたのだろう、という事。

(俺はライトを持っている。みすみす光源を持って行く事も無い。)

勿論、本当に事故など起きた可能性も十分ある。
あるがその場合、GMが黙っては居まい。ゲームの中断は免れないだろう。

「・・・・・・」

ちょっと足を止めて、静止してみる。

電気は点かない。
アナウンスは流れない。

アクシデント、無し。

「行くか。」

極めてメタでロジカルな推測を経て、柳は再び歩き出した。








「春日?」

幸村もまた、足を止めた。
今のは紫希の悲鳴。何かあったのだろうか。

いや。だとしても。

(結構距離がある聞こえ方だった。もし何かトラブルだったのだとしても、俺が向かってもそれ程役には立たない。)

となると、どうすべきか。

「・・・すまない、春日。」

駆けだす幸村。

ゴールの位置は覚えている。
自分が辿って来た道を引き返せば、きっと道中のどこかにボールはある。

やる事がわかっているなら、自分が宝まで辿りつく。
一刻も早く。

きっと、ゲームを終わらせる方が向かうより早いと幸村は信じて、迷路を引き返し続けるのだった。




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