Camp school:Light of fire
昼食をホテルで摂って、そしたらその後は又バスで別の場所へ。
昼食の直後だけれど、もう夕食の準備にとりかかる。
飯盒炊爨。皆でカレー作りである。
「賄賂!?」
丸井は人参を洗う手がうっかり止まってしまった。
用意された野菜は、全て近所の農家から買った物である。
洗う手間とかはその分かかるけど、スーパーの品じゃできない経験だし午後いっぱい4時間カレーに使うんだから、折角なんだし頑張って料理しようねと言うスケジュール。嫌そうな顔をしている生徒もちらほら見受けられるが。
「そーなんだよー!ニオニオってばずるくない!?ずるいよね!」
「いや何つうか、それやって良いのかよ?発想は如何にも彼奴らしいけど。」
普段から色々な小細工に余念の無い仁王。自分が細工できないと悟るや、細工できる人間に向かって細工すると言う考えのプロセスは、丸井にはとても無理。
「んー。でもなっちんはけっこー、そーいうのは許しちゃうかなー。」
「へえ?」
「やる気があって、けっこーけっこー!って感じなんじゃないかなー、なっちん的に!」
「やる気ね。ま、確かに、そこまでするんだったらって熱意の形ではあんのかもな。見ようによっちゃ良いんじゃね?お前はモテてるって事で♪」
「嫌だよ!絶対モテてるとかそんなんじゃないよ!紀伊梨ちゃんが怖がるの、面白がってるだけだってー!」
勿論仁王に、紀伊梨に片思いだとかそんな気は一切ない。
本人にも無いし、そんな気があると周りも本気で思っている者は居ない。
あの男なら、人のビビる顔を見る為に賄賂の1つや2つは平気で送るだろう。
「逆にお前は賄賂送らねえの?黒崎だったら受け取るって知ってたんだろい?」
「えー?でも紀伊梨ちゃん、別に賄賂送る程グループに拘りは「はい、待った。玉ねぎは洗剤使わなくて良いんだよ。」
「えー?おかーさんとか紫希ぴょんは林檎洗剤で洗ってたお?」
「林檎はそうした方が良い奴があんの。玉ねぎは普通しなくて良いの。」
「へー!ブンブンおかーさんみたーい!」
「あんまり嬉しくねえな・・・ま、良いや。で?グループに拘りは無いって?」
「うん!紀伊梨ちゃん誰となっても楽しいもん!紫希ぴょんや千百合っちもしてないと思うおー。」
「まあな。希望通りにいかないのもそれはそれで楽しみってとこあるし。」
「ねー!あ、でもでもー。」
「?」
「ゆっきーはやってると思うお!千百合っちと同じにしてーってお菓子とかあげてるんじゃないかにゃー。」
「「マジ?」」
重なった千百合の声に丸井が振り向くと、今正に話に関わっていた当の千百合が後ろに居た。
いや、通りすがろうとしていたのだ千百合的には。あれな話が聞こえてきたから、思わず足を止めてしまったけれど。
「ねえ。ちょっと、今のマジで。」
「うん。あ、でも思っただけだかんね!しそうだなーって感じ!ゆっきーに聞いたわけじゃないお!」
しそう。
しそう、か。
「・・・そ。」
「ま、悪いけど俺も幸村君ならするかもって思うぜ?賄賂が有効なんだって分かってるんなら尚更・・・黒崎?」
「ん?」
「あ、いや。なんでも。」
気のせいか。
今一瞬、千百合の空気が変わらなかっただろうか。
本当に一瞬だけだったけど。
今はもう普通だし。
「千百合っち嬉しくないのー?一緒に居られるよー?」
「そこまで嬉しくない、色んな意味で。」
「ま、お前はそうかもなー。」
「逆にあんたは?今度から賄賂送ったりすんの?」
「へ?俺?」
「兄貴に賄賂は通るってこれで分かったでしょ?」
「まあ。」
ただ、賄賂か。
賄賂ね。
「でも、別に賄賂送る程通したい要求ってのもなー。別に無いしって感じ?」
「ふうん。・・・ふうん。」
「・・・何か返事に含み持ってねえ?」
「気のせいじゃない。」
「賄賂かー。紀伊梨ちゃんも賄賂送ってても良かったかなー、ニオニオとは一緒になりませんよーに!ってさー。」
「そっか。誰かと組みたくないってのも要求としてはあるんだな、確かに。」
「誰かとが嫌、って方面のは少ないんじゃない。喧嘩中とかならあるかもだけど。」
「えー!でもでも、喧嘩中とかじゃなくてもさー!普段はオッケーだけど今はこの人とは嫌!っていうのあるよー!紀伊梨ちゃんだって、別にニオニオが嫌いだとか喧嘩してるわけじゃないんだお?お昼の時に怖くないとこで遊ぶんだったら全然オッケーなのにー!」
「まあこんな場合に限って、ってのは同情するわ。」
「こんな場合だからご丁寧に賄賂まで使ってんだろうけどな、彼奴の場合。それはそれとして五十嵐?」
「ほえ?」
「お前なんで人参の葉っぱそんな丁寧に洗ってんの?」
「・・・はっ!此処の部分使わない!?」
「「使わない。」」
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