Camp school:Cowardly spirit 1


神社での話が一段落し、一同は一先ず社を出た。

「さて!じゃ、ここいらで情報の纏めをしますかw」
「とは言っても、肝心の捕まえ方と行方がな・・・」
「どうしろってのよ、あれで。」

そう、生き物(?)を捕まえるに当たってとても肝心な事。
捕獲方法。それから生存分布の話であるが。


『捕まえ方?そうですね、そもそも能動的に動いて捕まえられるものじゃないですからねえ。』
『精霊ですからね。完全に見つからない様にする事なんて造作もないんですよ、本気でその気になれば。向こうから出て来るようにしないと。』

『何処に居るのかと言われても・・・人間だって移動するでしょう?精霊も同じですよ。神はまあ、良くも悪くも社から動けないので所在と言う意味ではこっちの方がはっきりしてますね。』
『ただまあ、そうですね。隣県だとか、そんなに遠く離れている気はしません。あくまで私の勘ですが。』


「一先ず、居る事は確定としておこう。そして次に行ける範囲に居るかどうかについてだが、確かめる術がない以上、近くに居ると仮定して話を進めねばならないだろうな。」

勿論、一同の行動範囲外に居る可能性だって十分ある。松風の言う通り隣県までは行ってない、が本当だったとしても、それが如何程の事であろう。自分達は江ノ島全域さえもとてもカバー出来ないのだ。

「その気になれば完全に姿を隠せる、っていうのが困るね。」
「近くに居ても分かんねえ、って事になっちまうからな。そこ踏まえても、やっぱり探す範囲が広すぎて・・・」
「それについては俺達が請け負おう。」
「「え?」」

いきなり請け負うとか言い出す真田に、メンバーの紫希と桑原は振り向く。
そうなのか?聞いてないぞ自分達。

「ほう。なんぞ考えでもあるんか?」
「簡単な話だ。此方が認識出来る、出来ないに関わらず、向こうは春日を怖がっている。俺達が近づけば必ず逃げると言うのなら、追い込み漁のように誘導が可能な筈だ。ある程度であれば足取りを限定出来るだろう。」
「発想がガチやんw」
「ち、ちょっと悪いような気も・・・精霊さんは何もしてないわけですし・・・」
「まあ・・・そのくらいやらないと精霊を捕まえるなんて出来ないかもしれないけどな。」
「でもでも、精霊さん怒らないかなー?」
「構わん。」
「構わんてあんたね、」
「此方は何も危害を加えようとしているわけではない。反撃に出てくるなら来れば良い。そもそもこそこそ逃げ隠れしているのはあっちの事情だ。」

(真田君、逃げるとか隠れるとかお嫌いですものね・・・)
(イラついてしょうがないんだろうなw)

男だろうと女だろうと、人間だろうと精霊だろうと、そんな事真田にとってはどうでも良い。根性無しめ、と思う気持ちは全く変わらない。ちょっと精霊に同情する。

「でも、真田君桑原君、すみません。」
「「?」」
「松風さんの仰った事が本当なら、私と一緒に居ると精霊さんが逃げるので、2人は精霊さんが見えないと言うかそもそも会えないという事に・・・」
「それも俺は気にしていない。土台勝負事でも何でもないのだ。俺達全員で精霊を探すと言う話なのだから、結果的に誰かが成功すればそれは成功だ。」
「俺も気にしてないし・・・それにほら。春日としては却って良かったんじゃないか?」
「え?」
「怖がってたろ?幽霊だとかお化けだとか。俺は日本の宗教の事は正直ピンと来てないけど・・・強い守り神がついてるって分かったんだから、それで良いさ。」
「なんじゃ、お前さんも怖がりか。」
「お前の所為だろ!」
「何の話じゃ。」
「お前山で妙な冗談言ったんだろwあれだよあれw」
「ああ、仰ってましたね。忘れてませんよね、仁王君?」
「プリッ。」

正直忘れてた。
というかあの手の冗談は息をするように人に四六時中ばら撒いているので、いちいち覚えて居られない。

「えー!ニオニオ紫希ぴょんにもそーいう意地悪したのー!?」
「意地悪っちゅう程のもんでもないぜよ。」
「あ、あの、私が気にし過ぎてるだけですから、」
「でも気になるんでしょwおかげでこっちは昨日土壇場でグループ再編する事になったんだぞw大した手間じゃないけどさw」
「紫希も賄賂送ったの?」
「紫希じゃないw言ってきたのは桑原w」
「へえ。」
「おお!」
「あのな・・・」

頭が痛くなってきた。
なんでそうやって持って回った言い方するんだ、わざとだろ、わざとなんだろ。

「まあそれでも賄賂は貰ってないけどw」
「じゃあ桑ちゃんは、紫希ぴょんの為にグループ一緒にしてーって言ったんですな!かっこいー!」
「違う!」
「照れなくて良いんだよ、桑原?」
「幸村。頼むから冗談に乗っかるのは止めてくれ、お前に敵に回られたらもうどうしようもないんだ。」
「どう違うのよ。」
「俺は俺と一緒にしてくれって頼んだんじゃない!仁王と五十嵐と一緒にするのは止めてやってくれって言ったんだよ!」
「そうだったんですか・・・有難う御座います桑原君。わざわざお気遣い頂いて・・・」
「いや本当に春日は気にしないでくれっていうか、軽く言っただけなんだ。黒崎とは同室だし、偶々考えてる所に居合わせたから、出来そうならそうしてやってくれってちょっと言っただけで、」
「えー!桑ちゃん、紀伊梨ちゃんの事も言っておいてよー!」
「だから、軽く言ってみただけなんだよ!その時点でお前は仁王の賄賂でもう一緒になるって決まってたし、春日の事だって何か賄賂するほど熱心だったわけじゃないし、」
「熱心じゃなかったんだ?」
「ブン太、お前まで・・・!」

もう四面楚歌。
なまじ棗や幸村辺りが面白がる所為で全然収拾がつかない。
余計な事頼むんじゃなかったかなとちらと頭を過るけど、でも紫希が可哀想な目に遭うのも気の毒と言うか、知ってて見捨てた感あって嫌だし・・・と思う桑原は、根がお人好し過ぎてこういう時割を食いがち。

「はーあwじゃあひとしきり笑った所で「おい、今笑ったって言ったろ!」続きの話をしようw逃げられるのが紫希って事だったけど、」
「ああ、五十嵐は逆だと言われていた。」
「ほい!」

一番見つける可能性が高いのは紀伊梨。
松風はそう言った。
ただ。

「根拠がどうしようも無さ過ぎじゃない?勘って。」
「まあ、松風さんがそう考えているというだけの事ですからね。」

そう、なんと紀伊梨が一番可能性が高いと言っておいて、それは何故にと問うと松風は「なんとなくです」と実にあっけらかんと答えたのだ。

「でも、詳しい人の勘って言うのは悪くねえんじゃねえの?」
「うむ。信憑性はある程度高いとみて良いと思うが。」
「そうだね。だからこの場合信じる事は大前提としておいて・・・そうだな、春日の逆と思っておけば良いかな。精霊が寄って来やすい体質なんだろう、っていう体で行動しようか。」

勿論厳密に言うと、これも不確定要素。
紀伊梨が一番と言うが、どう一番なのか松風は教えてくれなかった。

逃げないという意味なのか、近くに行ったら姿を見せてくれるかもという意味なのか、幸村が言ったように向こうから寄ってくるというレベルの話をしてるのか。
推測に推測を重ねるしかない状況だが、こういう事は取り敢えずでも仮説を立てておかないと話が進まないので。

「なんかせーれーさんが寄って来やすいよーにしておいた方が良いかなー?歌とか歌う?」
「逆に何もせんで、普通にしとくのが一番ええんんじゃなか。こういう時は。」
「だが歌は良いかもしれないな。やっておいて損になるような事でもない。」
「お!よっしゃー、じゃあ頑張って元気な声で、」
「せんで良いw」
「紀伊梨ちゃん、もう夜ですから・・・」

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