Training camp - in Hyoutei gakuen -:Type of assent 1



PIPIPIPIPIPI・・・

というストップウォッチの音と、網代が吹き鳴らすホイッスルの音が重なる。

「きゅうけーい!Cグループ、休憩でーーーす!」

ああ、やっとだ、と口々に呟きつつ、ぐったりモードで小休止の体勢になる部員たち。
それを見ながら、網代も持っていた文具などを置いて、食堂へ向かう準備。

「お疲れさん。」
「あら、侑士君。侑士君もお疲れ。」
「流石にハードやな。」
「まあ、ね。特に今日は、うちのグループが一番昼食遅いわよ。」

逆に、向こうではいの一番に昼食に入ったAグループがもう練習をスタートさせる寸前であった。
ううん、変な風景。ある意味新鮮だが。

「で?」
「で?」
「ロブ練はどうだったかしら?」
「ああ、有意義やったで。後で可憐ちゃん伝いにお礼言うとかな。」
「そう、それは何よりだわ♪私から言っておくから。」
「おおきに。ただ、それはそれとして・・・」
「?」
「可憐ちゃんには悪いことしてもうたな。」
「・・・あ。ああはいはい、あれね。気づけなかった時の。」

まあ正直、良いから割って入ってくれよという気持ちも少しはあるが。
ただ、網代以上に忍足はそれは言いづらい。可憐は多分、自分の気持ちを踏まえて、気を使うつもりである程度放っておくという行動に出たのだろう。

・・・とか思う忍足だが、実際は微妙に違う。
例え起因だけは一緒であってもだ。

「でも、あれは暑さのせいもあってぼーっとしてたのもあるんじゃないかしら?」
「ああ。せや、その話も。」
「え?」
「可憐ちゃん、最近何やぼーっとしてへん?頻度がやたら多いいうか。」

これは、さっきの件だけに限った話じゃない。
もっと長いスパンでの、ここ最近の話だ。

「最初は疲れてんのやろかと思うててんけど。」
「確かにね。私もそれはちょっと思っては居たけど・・・・」

けど。

けどだな。

「・・・・まあ、最近忙しいし。気候も過ごしやすいとは言えないし、ね。これといった原因があるとかそういう話じゃなくて、色々ちょっとづつストレスなんじゃないかしら?」
「まあ、その線が一番濃いねんけど。」
「とはいえ、倒れられちゃ困るから、ね。最低限体調だけはちゃんと見ておかないと、って気持ちは持っておくようにするわ。」
「・・・せやな。」

本当の話をしよう。

網代は用心深い性格である。
これは忍足にも共通する話だが、常に「最高」と「最悪」を見据えて行動する。
そして、最高を目指すより最悪を何としても回避したがる所も似ている。

だから、今も網代はそうした。

可憐が最近ぼーっとしがちな理由。
もっともらしい理由を並べたてつつ、そうじゃないのではという考えも実は網代は捨てないでいた。

ただ、理由として推測できる物のうち、自分・・・網代にとっての「最悪」について言及する気にはならなかった。
忍足に気づいて欲しくもなかった。

だから話を無難な方向にズラしたのだ。
ついでに忍足の性格上、そういう方向に話を誘導すれば乗っかってくるのもわかっていた。

「あーあ!喉乾いちゃったー!」
「茉奈花ちゃんも、水分は取りや。」
「はーい。」

気づかれたくない。
少なくとも、自分からむざむざ忍足に言い出すような真似だけはしない。


可憐は内心、忍足が好きなんじゃないか。
なんて。


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