100話記念企画 No.017

「・・・よっしゃ。お終い。」

千百合はシャーペンを置いて伸びをした。

「早いよー!だから早いよー!」
「当たり前でしょ、逐一教えて貰ってる奴と比べたらそりゃ早いわ。あー疲れたあ。」

また紀伊梨ちゃんを馬鹿にするー!と騒ぐ紀伊梨の声と、まあまあと宥める紫希の声とを聞きつつ千百合は背もたれにぐーんと体重を預けた。

あの時みたいに上を向いて、目頭をぐりぐり。

受験の時より宿題の量は減ったけど、難度はその分上がってる。
ああ、中学生になったんだなあ自分は。と実感が沸いてきた。

そしてゆっくり目を開けると、すっかり見慣れたジプトーンの天井がーーー


「お疲れさま。」


いや。
あの時と同じく、笑った幸村が居た。

「あ!ゆっきー!」
「幸村君。お疲れ様です。」
「うん、お疲れ。音楽室で勉強?珍しいね。」
「なっちんがねー、まだ来れないんだよにー!」
「待つ間、宿題を片付けようと思いまして。」
「そうなんだ、それは良いことだね。どうだい五十嵐、進み具合は?」
「なんで紀伊梨ちゃんだけ!?もー!皆してさー!」

あはは、なんて笑う幸村を見上げ姿勢のまま見つめる。

「・・・なんで居るの?部活は?」
「ああ、今から行くよ。ちょっと先生に用事を言われてて、さっきまで倉庫に居たんだ。通りすがったから、少しだけね。」

だからすぐ出ていくよ、と笑う幸村にえー!と文句を言う紀伊梨。

「ねー、千百合っちももーちょっと居てよって頼んでよー!」

なんて急に水を向けられる。

もうちょっと居てよって?今の幸村に?部活が控えている幸村に?

「やだ。」
「えー!?」
「まあまあ紀伊梨ちゃん、放課後の幸村君は部活が本分ですから・・・」

紫希の言葉に千百合は笑った。
流石、よくわかってる。
本分とはよく言ったもの、そう正に本分だ。
幸村にとっては勉学以上に。

「もう良いから行けば?」
「うん?」

「行ってらっしゃい。」

寂しくはない。
これこそが求めていた日々だから。

笑ってそういう千百合に、幸村は微笑んで行ってきます、と囁いた。




100話記念くじびき企画
お題:No.017 宿題
くじ結果:55秒→5:主人公3×幸村

ご参加ありがとうございました!
8/8


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