100話記念企画 No.087
「ふう・・・」

朝。
クラスで、丸井は珍しくお疲れ気味であった。

「おっはー、ブンブン!」
「おう、おはよ。」
「お?お?どしたの?元気がありませんぞっ!」
「いや、昨日ちょっと。上の弟がすげえ泣くもんだから、相手に疲れてよ。」

いや、弟は好きだよ。
好きだけど、ああ延々と泣かれるとちょっと。
終わりがないし、さりとて放っておけないし。

「へー!どったの?ケガとかしちゃったにょ?怖い夢見たの?」
「いや?図書館で借りてきた絵本読んでって言うから読んでやったら泣いた。人魚姫。」
「あー!そっかそっか、あれ最後死んじゃうもんねー!」
「そ。」

これ!と渡された時点で、丸井もちょっとは思ったのだ。
ハッピーエンドじゃないぞ、と思って。
ぶっちゃけ6才には分かりづらいところもあるし。

でもまあ、本人が読んでと言ってるんだから…と思って読んでやったら、ラストで泣き出した。最後は王子が人魚に振り向いてめでたしめでたしと思っていたのだろう。
まあ童話の多くはそうなのだし、そうと当たりをつけても不思議な話ではないが。

「人魚姫かー。あれ悲しいお話だよねー!」
「まあな。慣れるとそういう話なんだって最初から思っちまうけど、結構展開えげつねえっていうか。あれ、何でああいう話なんだか。」
「ねー!どーせだったらめでたしめでたしにしたら良いのにー!」

そんな事を話している間に、朝の予鈴が鳴った。

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