100話記念企画 No.044


さて。
そうやって四苦八苦しながら出来たジュースが冷蔵庫の中に鎮座して数時間。

部活終わったら皆で飲もうね、の「部活終わったら」の時間がとうとうやってきた。

部室棟の一室、ジュースをしまってある小型冷蔵庫がある所で、可憐は紙コップの準備を始める。

「うんうん、よしっ!よく冷えてるっ!」

今はもう初夏。
暑いし、冷たい飲み物は皆ほしい筈だ。

(・・・味、大丈夫だよねっ?)

実を言うと、今日の昼は作るのに時間ぎりぎりで味見が出来なかったのだ。
こんな時間になってしまった以上、味見目的としても自分が最初にちょっと飲むというのも、なんだか抜け駆けみたいで気が引けるし。

いやまあでも、食べれるものしか入れてないし、一人じゃなかったし・・・と自分を元気づけていると、部室の扉が開いて選手側の部員が入ってきた。

「お疲れさん。」
「よ!おー、それか!その赤いのだろ?うわ、すげー色!」
「こんにちは、お呼ばれするよ。」
「良いのかよ、ほぼ何もしてねーのに・・・」
「樺地、そっちに寝かせておけ。」
「ウス。」
「zzzz・・・・」

わー、としげしげジュースの入ったペットボトルを見る向日。

いや、しかし。
こうして見ると確かに。

「すげえ色してるな。」
「そうなんだよね・・・」
「赤いジュースってあんまり見ないよね。」
「ま、日本じゃストロベリージュースやスイカのジュースはメジャーじゃねえからな。」
「日本で赤いジュース言うたら代表はトマトジュースやろけど。」
「トマトの色じゃないよね、同じ赤でもっ。」

あの不透明な赤とは違う、透明で且つちょっと紫が入ってる独特の赤。
ピンクグレープフルーツとは明らかに濃さが違うし、アセロラともちょっと違う暗めの赤。

「「「「・・・・・・」」」」
「?おいどうした、さっさと注げよ。」
「こ・・・これ飲めるのかなっ・・・」
「あはは!流石に飲めない代物にはなってないよ、見慣れないだけだから大丈夫。」
「まあそれは置いといて、まだ揃うてへんから。茉奈花ちゃんどこ行ったん?」
「あっ!あのね、茉奈花ちゃんは今ーーー」
「ただいまー!買って来たわよ・・・あら!もう皆居たの、お疲れさま!」

網代は片手にビニールを下げている。
中には、購買で買ってきたお菓子類。

「なんだそれは?」
「あら、要るでしょ?ム/ーミ/ン達だって、ジュースだけでは滅多に飲まないわよ。多分。」
「助かるぜ!部活の後って腹減るんだよなー!」
「おい、金!」
「ああ、後で良いわよ?それより、注いで注いで!早くしないと温くなっちゃう!」
「あっ、じゃあっ!」

網代の促しで一気に飲む感じの空気になり、可憐は紙コップにジュースを注ぎ始める。
最初は色に若干怖気づいたが、網代のお菓子と並ぶと成程。
ム/ーミ/ンみたいとは言わないが、かなり違和感が消えた。というか美味しそう。

「ようし!じゃあ可憐ちゃん、乾杯の音頭をよろしく♪」
「私っ!?」
「まあ一番最初の発案は可憐ちゃんやし。」
「ええっ!?ええと、じゃあそのうっ。えーと・・・今日もお疲れ様でしたっ!」

乾杯、と言って皆で飲んだ木苺のジュースは、冷たくて甘酸っぱくて、初夏の味がした。

憧れの味がした。



100話記念くじびき企画
お題:No.044 木苺のジュース
くじ結果:29秒→9:氷帝オールキャラ

ご参加ありがとうございました!
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