100話記念企画 No.033
「ふむ・・・・・」

跡部は、生徒会室で頬杖をついて考え込んでいた。
そこにノックの音が転がる。

「跡部君っ?ここに居るって聞いたんだけど居ますかっ?」
「ん?ああ、桐生か。どうした?」
「ちょっと新しいメニュー見て欲しかったんだけど、もしかして今忙しいっ?」
「いや、平気だ。どれだ?」
「これ・・・でも本当に平気なのっ?何か考えてたんじゃないのっ?」
「大した事じゃない。事業の話だ。」

ふうん、と思う。だけ。
もう7月なので、もう誰も驚いたりしない。

メニューを渡す傍らふと机上に目をやると、今しがたまで跡部が眺めていた書類が目に入った。
流石に書いてある事の全文までは読めないが、タイトルと目次くらいなら一瞬で読める。

「新惑星、A-033観測プロジェクト?」
「プロジェクトというが、もうほぼ終わりかけだ。」

見ていいという空気を察して、可憐はそれを手に取った。

どうやら、跡部財閥の宇宙事業部門が新しい惑星の発見に一役買ったらしかった。

「観測プロジェクトてっ?」
「まあこの惑星の特徴でな。人間の目の構造の問題もあって、特定の時間しか観測が出来ねえんだ。それの実際の時間を絞るのに研究と時間がかかって・・・まあそれがやっと纏まって論文として発表できるようになった。そういう話だ。」
「それって、私達も見られるのっ?あっ、望遠鏡とかがないと無理かなっ?」
「いや、なかなか目立つ星だから観測は可能だ。知ってさえいればな。」
「そうなんだっ!へえ・・・」

じゃあちょっと見てみたいな。
と可憐が思ったのとほぼ同時に、跡部がああ、と漏らした。

「因みに言っておくが。」
「?」
「肝心の時刻的には暁の頃と予想されているから、見る気なら目覚ましを早めにかけておくんだな。」




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