5万打記念企画 No.054
ある日のLHRの時間。
上里は、にっこり笑って言い放った。
「今日は課題がありまーす♪先ずはこれを回して下さいまし。」
座席の列の先頭の生徒が、嫌ですという顔をしているのが見なくてもわかるよう。
誰だって課題とか嫌だろう。
「えーと・・・?」
「せんせー、これ海だよりだよー?」
湘南、海だより。
これはこの辺一帯の地域にポスティングされている、自治体が発行している地域情報誌である。
「そうですわよ?実は今度、これに立海の生徒の寄稿をしてほしい、という事になりまして。」
「せんせー、きこーって何ー?」
「寄稿というのは原稿を寄せると書きまして・・・そうですわね、簡単に言うと自分の書いた作品を送ってほしい、という意味ですわね。」
「え!せんせー、それって皆が書いた奴が載るの!?」
「ええ。勿論、誌面の問題がありますから、全員ではないですけれど。」
クラス中が一気に、あ、そうなんだ・・・な感じになった。
全員が載るとなると自分のも必ず見られるわけだから体裁を整えねばという気になるが、そうでないならまあ適当で良いか、と思うのが人情といえば人情。
「ただし、採用されれば色々ご褒美がありますわ。奮って書いて下さいまし♪」
「え、ごほーび!?」
「ご褒美なーに、先生ー!」
「それはお楽しみです。先ずは書く事。この時間はあげますから、皆それぞれ有意義に使ってください♪ではどうぞ。」
・・・なんて言って始まったLHRだったが、丸井は遅々として進まない。
一応やる気はある。
ご褒美が貰えるとなると、それが食べ物関連でないなんて言い切れないからだ。
ただ。
(何だかなー・・・自由度が高すぎて、逆に困るよなこーいうの。)
地域のアピールって言われても、何をどうアピれば良いんだろう。
もう少し何か、足がかり欲しいな・・・・と思っていた所で、一人の生徒が手を挙げた。
「先生!」
「はい?何ですか?」
「何か載るコツとかありますか!」
それ先生に聞いていいの?と思う人も居るだろうが、上里自身は結構こういう質問は歓迎派である。
動機がなんであれ、やる気なのはおおいに歓迎するべきだ。
「そうですわね・・・手っ取り早く出来るのは、やっぱりタイトルですわね。」
「タイトル?」
「ええ。あくまで雑誌に載せるものですから、作文のタイトルのようにするよりも、キャッチフレーズめいたものにする方が、より載りやすいと思いますわ。勿論、中身が充実してることは、大前提ですけれど。」
ふうん、そうなんだ、と周りがざわつきだす中、丸井の頭には非常に良い考えが浮かんでいた。
キャッチフレーズ。
それって要するに、言葉の問題だろう?
それならそれ、餅は餅屋で蛇の道は蛇。
言葉に詳しい人に聞けば良いじゃないか。
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