5万打記念企画 No.054

「ただいまー。」

結局その後普通に何事もなく、丸井は帰宅してしまった。
夕食づくり中の母は、ちらと振り向いてお帰り、と声をかけた。

「宿題どうだった?捗った?」
「あんまり。」
「えっ!?あんた今まで何して過ごしてたの!?」
「えーと、パンケーキ食って新しく出来たミリショ見て公園でかもめに餌やった。」

母、直美は開いた口が塞がらない。
課題手伝ってもらいに出かけると言って出て行ったのに。
というか、新しく出来た「ミリショ」って。もうちょっと他にあるだろうに。


「あんたねえ・・・ただ青春して帰って来ただけじゃないのよ。」


その言葉に、2階に上がりかけていた丸井は足を止めた。

「何て?」
「え?」
「今何て言った?」
「・・・ただ、青春して帰ってきただけじゃないのよ?」
「・・・良いじゃん。」
「は?」
「それで行く!サンキュ、宿題出来るぜ!」
「へ?え?何が何で?」

階上へ上がると、足音を聞きつけた弟達が出迎えてくれる。

「兄ちゃんお帰りー!」
「にーちゃ、遊んでー!」
「おう!でも、ちょーっとだけ待ってくれよ?」

早くメモしとかないと。忘れない内に。
そして、もう今日の夜書いてしまおう。時間を置くと、記憶と勢いは薄れる一方だから。

丸井はさっと自室に入り、適当なメモにペンで書いた。

青春の都、なんてなかなか青くさい響きだけど、きっと今の自分の気持ちに一番近いと思う。

後で紫希にも報告しようと一瞬思ったけど、辞めた。
載ったら、その時に驚かせよう。
口で教えるのは、載らなかったと分かってからで良いや。

「兄ちゃーん!」
「はいはい!」

なんだかいつにも増してご機嫌な兄の様子に、弟2人も釣られて笑った。





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