5万打記念企画 No.056
「・・・・・・・」
その数日後。
棗は紀伊梨に言われた通り全員分の曲を編曲した。これは今まで通り。
そしてこれもまた今まで通りといえば今まで通りだが、紀伊梨の指示に従い、希望を叶えたーーーつまり全員分の曲を混ぜて繋げた1曲を作ったのだが。
「カオスだ。」
「お?」
「カオスだわこれ・・・どうすんのっていうか、どうも出来ないぞこんな曲・・・」
「丁度いいじゃん、タイトルはカオスにしよ。」
「カオス?ってどーゆー意味?」
「混沌としてるという意味で・・・ええと・・・簡単にいうと、何もかもぐちゃぐちゃのごちゃ混ぜ状態、みたいな感じで、す・・・・」
「どう、紫希。」
「・・・・・前、衛、的、です、ね・・・・」
「聞いてるのしんどいでしょw」
「えー!そんなにー?」
貸して、という千百合にのろのろとヘッドホンを渡す紫希。
ちなみに紀伊梨はまだ聞いていない。
「・・・・・酔いそう。」
「あっはっはw」
「えーこれ・・・歌詞付けたらちょっとはマシに・・・」
「部分的にマッシュアップされてますから、それも難しいかと・・・・」
「うーん・・・・」
「えー!紀伊梨ちゃんにも聞かせて聞かせてー!」
「ん。」
「・・・・おお?」
「邪魔をするぞ。」
音楽室の扉を開けてきたのは柳だった。
「やっほw」
「お疲れ様です。」
「何?どうしたの?」
「いや。どうということもないが、そろそろ先日言っていた曲が出来上がる頃合いかと思ったんだ。聞かせてもらえるか。」
「良いけど・・・」
「?出来ていないのか。」
「いやあるよw今そこにあるけどねw」
「ほー・・・ほーほー!うん!」
紀伊梨はにこにこ顔でヘッドホンを外した。
「聞いたことない感じだね!」
「でしょうなw」
「あり?やなぎーいつの間に?」
「今来た所だ。聞かせてもらえるか。」
「ほいほーい!良い感じだよー!」
「あんたこのカオスが良い感じに聞こえるの。」
「えー、聞いたことない感じじゃーん!」
「た、確かに滅多に聞けない感じではありますけど・・・」
「・・・・・・」
「柳君、どうですか?」
「・・・電子ドラッグだな。」
「あはははははw」
棗は膝を叩いて笑うが、柳は結構笑えない感じでヘッドホンを外した。
逆に言うとヘッドホンを付けただけなのに、この聴覚の混乱具合。正に電子ドラッグ。
「カオスとはよく言ったものだな。」
「まああれじゃないですかw俺達皆、無理に一つに纏まろうとするのは危険って事でw」
「確かに、ある程度は個人主義を認めるべきという事の表れかもしれないな。」
無理に細かく縛ろうとして、この曲みたいなカオス状態になったら敵わない。
酩酊感と共に柳はヘッドホンを返した。
「えー、皆これ良くないのー?面白いじゃーん!」
「前後不覚になりそうなんだもん、ずっとは嫌。」
「逆に聞きたいが、お前はこの曲をどう捉えているんだ。」
「えー、何かねー。夢の中に居るみたいなふわふわ感あるよー。落ち着かないって言っちゃうとそーだけど、結構楽しいよ!」
「そ、そうなんですか・・・」
どういう脳みそしてんのよ、と呟く千百合に柳は苦笑した。
「案外、この曲と同じかもしれないが。」
「と、言いますと・・・」
「五十嵐の頭の中もなかなかのカオス具合だから、本人的には慣れ親しんだものという感覚が強いのかもしれないという事だ。」
「マジすかw」
「ああでも、紀伊梨って思考取っ散らかってるからそうかもしれない。」
天才の頭の中って、カオスなのかもなあ。
もっかい聞こー!なんて言って、柳をして電子ドラッグと言わしめた曲を平気でヘッドホンでまた聞き始める紀伊梨は、そんな事思われてるなんてちっとも知らないでカオスの海にまた浸るのだった。
6/6
[*prev] [next#]
[page select]
[しおり一覧]
番外編Topへ
TOPへ