5万打記念企画 No.058
ある日紀伊梨は烏龍茶を飲んでいた。

特に烏龍茶である理由はなかった。
偶々自販機行ったら今だけ100円!と銘打たれていたので、手が伸びただけ。

だったのだが、友人の何気ない一言で紀伊梨の手は止まった。

「紀伊梨ってさー。」
「ふい?」
「烏龍茶似合わないよね。」
「えー!?何それ、っていうか烏龍茶が似合うって何が!?似合うとか似合わないとかあんの!?」
「あ、でも私も思うなあ。五十嵐ちゃんって、サイダーとかスポドリのイメージ。」
「分かるー、紀伊梨そういうののCM似合いそう。」
「だよねー。」
「お?え、そーお?やったー!」
「逆に烏龍茶のCMはちょっと・・・」
「っていうかお茶のCMが似合わなさそう。」
「えー!ちょっとちょっと、そんな事ないよー!ちょっと見ててお!」

きゅっ!と蓋を開けて。
片手でごくごくごく・・・ぷは。

「どう?」
「いや、やっぱないわ。」
「烏龍茶ってそういうんじゃない気がするなあ。」
「えー!」




というわけで。

「烏龍茶っぽいってどういう事か、教えて下さいせんせー!」
「その成り行きで何故俺の所に来るのだ、たわけが!」

話の流れは分かったが、此処で講師に自分を抜擢する辺り、真田は紀伊梨をアホかとしか思えない。
烏龍茶っぽいって何。何だそれ。考えた事も分かる気もしないぞ。

「だってさー、ゆっきーは麦茶っぽいっしょー?優しい味するしー。」
「意味が分からん・・・麦茶が飲みやすい味である事には同意してやるが。」
「やなぎーは緑茶っぽいじゃん?」
「確かに、純和風の柳には純和風の茶が似合うというのは、頷けるな。」
「ってなると、烏龍茶はもー真田っちしか居ないじゃん?」
「消去法か!残り物をあてがっただけではないか、たわけが!」

失礼どころの騒ぎじゃない。そんなわけの分からない理由で抜擢されてたまるか。
知るかそんな話、と思って取り合うのを辞めようと真田は一瞬思ったが。

「真田っちでもわかんにゃいー?」
「!」
「教えて貰えると思ったのにー・・・」
「・・・・・」
「あ!そだそだ、真田っちも分からないんだったらさー、一緒に調べよーよ!」
「・・・・・良かろう。」
「やたー!」

えー、出来ないのー。
この文言に真田はとてもとても弱い。

そして紀伊梨は無意識下ではあるが、この文言を割と多用しがちなのだった。

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