5万打記念企画 No.075
紫希は基本、紀伊梨や千百合と一緒に登校する。
寝坊助の気がある紀伊梨と一緒だから、つまり朝教室に行く頃にはもうそこそこの人数が集まっていて、もうとっくに教室の空気は温まっている中に入っていく事になる。
「おはようございます。」
「はよ。」
「あ!紫希ちゃんと黒崎さん来た!」
「ねーねー2人ともー!」
今日は何の話かな、とか思いながら何ですか?と聞き返した。
千百合は面倒そうで、もう完全に「紫希聞いておいて」モード。
「明日隕石が落ちて死ぬってなったら、今日何する?」
その手の質問、最近されてなかったなあ。
と心の片隅で思った。
「地球の裏側へ行くとか・・・」
「ダメ。メテオは地球より大きいもん。」
「軌道がそれるとかは・・・」
「メテオは真っすぐ地球に向かって降ってくるの!」
「・・・あ!では、降ってくる前にミサイルみたいなもので爆破させたりーーー」
「メテオは人間の兵器じゃ太刀打ち出来ないんですー。」
「じ、人類全員で宇宙空間へ逃げるというのも・・・」
「そんな暇無いの、メテオは早いから!」
メテオ。
昨日のテレビでやっていた映画に出てくるこの隕石は、クラスメイトの話によると、どーーーしても人間を全滅させないと気が済まない、人類絶対殺すマン(人じゃないけど)らしい。
「さ!ほら!2人とも何をしますかー?」
「ううん・・・ううん・・・・」
「私何もしない。」
千百合がこともなげに言った。
「何もしない・・・」
「何か、明日死ぬからとかそういう理由で、特別なことしようとか考えるのだるい。考えたくないから、普通に家の近所とかぶらついてる。」
「学校には来ないの?」
「私が普通にしたいからって周りもそうとは限んないでしょ。電車止まってるんじゃない。」
「ああ確かに、最後の日までお仕事に時間を割きたくないっていう人は沢山居そうです・・・」
「はー、成程・・・紫希ちゃんは?やっぱり読書?」
「あー、確かに!読み終わってない本とか読みたくなりそう!」
「そ、そうですね、ううん・・・」
「あれ。違うんだ。私もちょっとそれするかと思ったんだけど。」
「それもしたくはあるんですけれど・・・でもやっぱり、時間をそれに割くのはもったいないというか、他に回したいような気も・・・」
「あー、確かに!」
「やりたいこと全部は出来ないもんねー。」
そう。
「明日」メテオが降ってくるという話だから、どんなに頑張っても24時間しか自由にはならない。
人類を滅ぼす隕石は、待つのがお嫌いらしい。
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