5万打記念企画 No.075
「そもそもメテオというのは、凶悪な隕石だけを指す言葉じゃない。」
「マジ?」
「元はと言えば、空中に浮いているものという意味の言葉だ。それが転じていって星になり、隕石になり、最近だとなにがしかの災害をもたらす様な巨大な流星という風に、段々意味合いが固定されてきているわけだな。」
「あー、ゲームでもメテオって言ったら攻撃用の隕石だよねー。ぷよSUNでウィッチが連鎖の時言うしー。」
「お前は幾つだ。」
今は2限終わりの中休み。
20年以上前のゲームの話をさらりと出してくる紀伊梨に突っ込みを入れる柳。に、今週の試合結果データを出すのを忘れていた丸井は、ついてきた紀伊梨と一緒にD組に来ていた。
昨日テレビ放映されていた「メテオ」は、当たり前だが日本全国テレビがあれば誰でも見る機会があって、したがって各クラス多かれ少なかれその話題は出ていた。勿論、B組も。
「ねーねー、ゆっきーとやなぎーはメテオが来たら何するー?」
「ああ、俺も柳がどうするか興味があるな。ちょっと想像がつかないから。」
「やっぱ、どうしたら避けられるか考える感じ?」
「いや、それはしない。」
「あり?しないの?」
「俺は別に専門の学者じゃない。俺が考えられるような事は、おそらく世界で多くの学者がすでに考えているだろう。」
「ほえー。じゃあ何するのー?」
「そうだな、色々思いつくが・・・・」
思いつくけど。
でも、一番。
もう今が最後なら、何をおいてもやりたいことが一つ。
「・・・東京へ行くだろうな。」
「「「東京?」」」
「ああ。会わなくてはいけない友人が居るんだ。」
そして、あの試合の続きをする。
いつかのあの日を終わらせなければ、きっと自分は死ねない。
「おー!彼女的なあれですか!」
「男だ。どちらかというと、ライバルだな。」
「ふふっ。残念、柳に浮いた話なんて珍しいと思ったのに。」
「生憎縁がなくてな。そういうお前はどうだ?」
「俺かい?俺はそうだな、やりたい事も沢山あるけど、一先ずやらないといけない事からやらなくちゃ。」
「そんなのあんの?」
「うん。千百合に謝らないと。守ってあげられなくてごめんね、って。」
メテオに向かって守るもへったくれもないだろうと思われるが、幸村は本気なのだろう。
大真面目にそう思ってるに違いない。特に紀伊梨は、その事をよくよく知っている。
「まあでもそれはそれとして、シンプルに今は嫌かな。やりたい事が山積みだしね。」
「まあな。」
「わっかるー!」
「お前はその前にやらなければいけないことを優先しろ。今日の昼も、おそらく呼び出されるぞ。」
「え、なんで!?」
「次の時間は古典だろう。単語テストで30点を取れなければ、昼は多目的室で該当生徒だけ補習のはずだ。」
「ええええ!?」
「あれ、そうなんだ。ちょっと困ったね。」
「?何で幸村君が困んの?」
「今日は金曜日だから。いつも金曜日だけは皆で屋上でお昼なんだけれど、千百合は今日ベースの練習の打ち合わせがあるから最初に抜けて、棗は4限にプールだから遅れそうで、俺も佐川部長から少し打合せしたいって言われてるんだ。まあ2人は居るからのんびり待てばと思っていたけれど、五十嵐も抜けるとなると・・・」
紫希が一人になると。
しかも、下手をすると結構長い間。
成程。
「じゃあ俺行って良い?」
「うん、そうしてくれると有難いよ。よろしくね。」
「ん。」
「紀伊梨ちゃんもー!紀伊梨ちゃんも行くー!」
「そう思うなら、テストでは何が何でも30点もぎ取る事だな。」
「むいいいーーー!」
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