5万打記念企画 No.085


千百合は髪をいじった事がない。

今まで生きてきて、いじりたいと思った事もなかった。

清潔感が無いのは嫌なので勿論人並みの事はするが、別にシャンプーに拘りとか無いし、手洗いに行くたびに髪を梳いたりとかしないし。
勿論染めたりとかパーマをかけたりとかもしない。ヘアアレンジも興味ない。
伸びてきて切る時も、長くなったのを短くするくらいの感覚でしかなかった。

そんな千百合だったが、ある日ふと。
紫希が絵本を読んでいて思った。

「・・・・ねえ幸村。」
「うん?」
「なんで王子の髪って黒とか茶色が多いんだろ。」
「え?」
「ほら。」

紫希の読んでいたシンデレラの絵本には、表紙にブロンドのシンデレラが居て、ガラスの靴をバックに黒髪の王子と手を取って笑っていた。

「多いよね。」
「ああ。確かにそうだね、王子さまは濃い色の髪の挿絵が多いかも。」
「なんでか知ってる?」
「ううん・・・知ってるわけじゃないけれど・・・」
「けど?」
「・・・対比じゃないかなあ。」
「たいひ・・・?」
「ええとつまり、似た色を並べるよりも、違う色を並べた方が却って綺麗に見えるって事なんだ。お姫様がブロンドが多いから、王子さまはブロンドじゃない濃い色・・・黒や茶色が良いって皆思うのかもしれないね。」
「はー。」

その時はふうんと思った後に。
隣の幸村の髪を見て、綺麗な黒髪だなと思った。少し紺色がかっていて、光に当たるとちょっと青っぽく見える。

王子様の髪ってこんな風なのか。
と、思った。


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