5万打記念企画 No.085



それから数日経った日だった。

「・・・あー。」

「あ?」
「どうかしたんですか?」
「あ、いや。ううん、何でもない。」

当時クラスには、マドンナ的存在の子が居て。
紀伊梨も当時から美少女だったのだが、性格的にどうしても「マドンナ」とは言えない紀伊梨に対して、彼女はちゃんとマドンナ足りうる振舞が出来ていた。
まあ・・・性格というか、ものの考え方の部分で千百合は彼女が嫌いだったけど。

まあそれは今は良い。
つまり何が言いたいかというと、彼女の髪はブロンドではないが、綺麗な亜麻色のミディアムロングだった。

幸村の紺色がかった黒髪と並ぶと、それは綺麗で。
ああ成程ね。あれが対比ね。と思った。

それに引き換え。

「・・・・・・」

この、自分の髪。

面白味もなければ別に取り立てて艶やかだったりもしない髪。
ありがちな髪色。邪魔にならない適当な長さ。入念に手入れされているとはお世辞にも言えない。

「どったのー?枝毛でもありやすかっ!」
「さあ。」
「さあって何さー!見てたじゃーん!」
「枝毛探ししてたわけじゃねえんだよ。」
「まあまあまあ・・・でも、珍しいですね。千百合ちゃんが髪を気にしてるの・・・」

そう。それはその通りだった。
今だって千百合は髪になんてさして構わないけれど、当時はもっと構わなかった。

別に構う理由もない。
ない筈なのだ。それなのに。

「・・・・・・はあ。」
「千百合っちしんどいのー?」
「ああ、まあ・・・何か最近、意味もなくしんどい感じはする。」
「大丈夫ですか・・・?」
「大丈夫っていうか・・・別に、何も普段と変わったことしてないんだけど。」

この頃の千百合は、本当にこう思っていた。

特に理由もなくしんどい。
なんだか小さいことが気にかかる。
自分のスタンスを自分で崩すみたいな事をしてしまう。

でも、千百合はこの頃年相応以上に大人びてはいたけど、それでもやっぱりまだ子供だった。
だから気づかないで居られた。

自分が幸村をなんとなく目で追うことが増えている事に。

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