5周年記念企画:First date
本当の本当に突き放してしまうとデートにならないため、切原は隣やや後方に紀伊梨を連れた状態で歩き出した。
「・・・んで、どこ行くんすか?言っとくけど、俺デートとかあんましたことないんで、よくわかんねえっすよ?」
「うーん、切原君行きたいとこないのー?」
「俺?」
「だって、紀伊梨ちゃんの行きたいとこに付き合ってくれたら台無しじゃん!」
「あー・・・」
女の子の行きたい所に付き合ったら台無しになるデートってどんなんだろう。
つくづくやりにくい。
「んー・・・じゃあ、ゲーセンとか?」
「あ!良い・・・あ!だ、だめ!だめだめ!」
「なんでですか!俺の行きたいとこで良いんでしょ!?」
「紀伊梨ちゃんもゲーセン好きだもん!でも紀伊梨ちゃんの行きたいとこはだめなの!」
「〜〜〜〜〜〜〜!」
切原赤也。彼は気が短い。
少なくとも今まで生きてきて、気が長いと言われたことは一度もない。
そんな気の短さが、切原に紀伊梨の手を取らせた。
「へ?」
「行きます!」
「えー!ちょっと待って、駄目って言ったじゃんー−−」
「あんたの都合なんか知るか!俺のしたいようにしろって言うんだったら、俺の行きたいところに付き合ってくださいよ!ほら、来る!早く!急いで急いで!」
「あーん、待って待ってー!」
今をときめくアイドルの手を思いきり引っ張ってしまった。
という気持ちは、ゲーセンに到着して生まれたと同時に「いやでもしょうがないじゃん」という気持ちと打ち消し合いを始めた。
「はあ・・・・」
「わー!ゲーセン楽しみだなー、久しぶりー!」
「・・・あんま来ないんすか?」
「好きなんだけどー、あんま最近は来れないなーって。」
「ああそっか、忙しいっすもんねアイ・・・おおっとと!」
いかんいかん。すぐつるっと言いそうになってしまう。
「あー、マリオカートあるー!ねーやろー!」
「良いっすねー−−あ、う・・・えー・・・しょ、しょうがねえから、付き合ってやる・・・?」
「あー、いい感じー!ありがと切原君!」
(いい感じかあ?)
とてもそうは思えないのだが。というか、自分は嫌だ。
引き受けたのは確かに自分だが、意に沿わない態度や発言を取り続けることがこんなにしんどいなんて。
「ひっさしぶりー!切原君やったことあるー?」
「へへん!実は結構得意っすよ!」
「おー!じゃあじゃあ、勝ったら・・・・あ、やっぱ良い、や・・・」
「?何すか?」
「勝ったらアイス奢りね、って言おうと思ったんだけどー・・・でもやっぱなしね!紀伊梨ちゃんが勝っても、紀伊梨ちゃんを好きじゃない男の子は、多分アイスなんて勝ってくれないし!」
「・・・・・・・」
「それにほら!今日は紀伊梨ちゃんに付き合ってもらってるから、お金は全部ー−−」
「勝ったらアイスっすね!」
「へ?」
「良いじゃないっすか別にそれで!そっちのが面白いんだから、そうしたら良いんっすよ!じゃあ決まり!勝ったらアイス!でも金あんまりないんで、自販機のアイスで勘弁してください!」
「でもー−−」
「ほらもう!座って!料金入れて!コース選んじゃいますよ、良いんっすね?」
「よ、良くない良くない!紀伊梨ちゃん得意なコースちゃんとあるからー!」
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