100話記念企画 No.076
その日、可憐はいつものように朝練を終えて教室に入った。

「おはーーーー」

「あーーー!もー!ウマク出来ないー!」

がああっ!と朝から何やら叫ぶ内川の声。

「ま、真美っ?どうしたのっ?」
「あ、可憐おはよ〜。」
「おはよ、可憐。いや、髪がさ。」
「髪っ?」
「ほら。」
「ううう〜・・・・」

不服そうに鏡を見る内川の髪は、いつもと違ってかなり飾られている。

「あっ、可愛いっ!真美どうしたのそれっ?」
「何か昨日、動画見たんだって。」
「動画っ?」
「ほら、あるじゃん〜?誰でも簡単、お洒落にヘアアレンジでイメチェン〜、みたいな〜?」
「ああ、そういうっ。」
「でもウマクいかないのー!もー!」
「あはは・・・難しそうだねっ。」

確かによく見ると、内川の髪型はそこそこぐちゃ・・・な部分がある。
誰でも簡単というくせに簡単でないとはどういうことか、なんて動画に文句言ったところで髪が綺麗に決まるわけでもなし。

「私ら、手伝うって言ったんだけどね。」
「デモなんか悔しいじゃーん!」
「まあ、1人で出来ないヘアアレンジ覚えたってね〜?休日お出かけに行く時は使えないし〜。」
「朝香・・・・」

だが、榎本の言うことは厳しいながらも正解である。
人の手を借りないと出来ないヘアアレンジって、結局日常では役に立たない。

「でも、色々あって楽しいよね。」
「可憐も折角だしやらない〜?」
「えっ?」
「そーそー!やろーよ、ホラ!自分用にだけど、私今日イロイロ持ってきてるからさっ!」
「うーん、でも部活の邪魔になるかもだしっ!」
「じゃあ邪魔にならないやつにしたら〜?」
「そうねー、探したらあるよ多分。ほら、この辺とかさ。すっきり纏めて、アクティブヘアみたいなのがーーー」


キーン・・・・コーン・・・

「あ!まずい、鳴った!」
「じゃ、可憐のイメチェンはお昼にって事で〜。」
「えっ、やるのっ!?」
「やろーよ、可憐!私もさ、オヒルにはコツを頑張って掴んで、」
「真美は無理じゃないかな〜。」
「はあ!?デキるし!」
「いや、無理でしょ・・・」
「もうちょっと、最初は難易度低いのにしたらっ?」
「ヤダ!これが良いんだもん!」
「はあ・・・・」

こうして、思いがけず可憐はヘアアレンジをする事になったのだった。
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