「蛇姫様が原因不明の病で倒れてしまわれて……!」
「ええ〜〜っ!? 今!?」

ハンコックがかかった原因不明の病。ニョン婆曰く、それは死をもたらすという。

「ちょうどよかった、呼びに行こうと思ってたの。鈴蘭、早く姉様を……!」
「ああ」

村の医師であるベラドンナに代わり、ハンコックの容体を見る鈴蘭だが、動悸が早いというだけでその他の異常が見受けられない。

「(……なんだ、これ。なんだ、何が原因だ……?)

鈴蘭は苦々しい顔で歯噛みした。
無意識に自分の首元に手が伸びる。首に下げたそれを握りしめる。

「(もし、このままどうにもならなかったら……)」

原因不明の病に苦しむハンコックを見て、ニョン婆は一言、“ルフィの頼みごとを聞いてやってくれ”マリーやソニアは反対したが、原因も治療法もわからない今、とにかく従うしかない。
ハンコックもどういうわけか立ち上がり、ルフィの下へと向かった。
「おいハンコック、おまえ……」
「よい、そなたも出ていろ」
「……おう」

ハンコックとルフィが外で話しているのをマリーたちと見ていた鈴蘭だが、ニョン婆がマリーやソニアとは違う顔をしているのを見て声をかけた。

「ニョン婆、なんか知ってんな?」
「あぁ……先ほども言ったが、先代も先々代も、わしもこの病にかかった」
「……治るのか?」
「……わからぬ」
「……そうか……」

ルフィが話を切り出せば窓を開けてかみつくマリーとソニア。しかし二人を余所に、ハンコックはルフィに笑いかけた。

「そなたがそれを望むなら、わらわは……どこへでもゆきます」

「……」
鈴蘭はその情景を見てなんだか信じられないものを見たような気分になった。
頬を染めたハンコックの艶やかな表情を、マーガレットが見たら喜びそうだなと、ぼんやりと思う。

恋はいつでもハリケーン。
よくわからない東の海の諺だという言葉を喚きながら騒ぐ三人のとなりで、鈴蘭は窓の外の二人を見つめた。

「(恋ね。うーん、私にとってのマーガレットみたいなもんか? そりゃなんでも言うこと聞くわ、うん)」

鈴蘭は自分のもとへ恋愛感情を落とし込み、納得した面持ちで頷いた。

「いやぁ、まさかハンコックにもそういう相手ができるなんてなぁ」
「お主にもこのような相手ができればよいニョじゃが……」
「私にはマーガレットがいるっての」
「……まだ無理じゃニョう」

九蛇海賊団船医にしてマーガレットの姉、鈴蘭。
妹に寵愛を注ぐ彼女はまだ、その感情を知らない。