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「刮目すべし!野球部の者たちよ!今より風紀委員が部活動の状況をチェックするっ!!」
「…風紀委員が何の用だ。」
「……あれ?部長の伊達先輩はどちらですか?」
本日サッカー部とのグラウンド覇権争いに敗れた野球部が、現在活動している菜園を訪れたぼくたち。
それを出迎えたのは3年の片倉先輩だった。
風紀委員の日常・後編
「政宗様は今体育館だ。」
「何故だっ!?部長が何をしている!!古井、今すぐ体育館に行き伊達政宗を連れて来い!!今すぐだっ!!」
「うぇっ?!あ、はいっ!!」
部長不在に早速青筋を浮かべる浅井先輩。勢い良く警棒を振り、ぼくに指示を出した。
ぼくは言われるまま体育館に向かう。
…調査は先輩たちに任せておけば大丈夫だ…と思ったのが間違いだと気付くのはちょっと後の話だけど、兎に角ぼくは体育館に向かった。
*****
目的地に通ずる渡り廊下を速足で進む。すると途中で男女の言い争う声が耳に入った。
「テメェに用はねぇってんだろ?!Do disappear!!」
「ふざけるなっ!!こっちは大会前で忙しいんだ!!貴様に会わせる時間はないっ!!」
「HA!!じゃあテメェはいいのか?trainingしなくても大丈夫だってのか?」
「…っ!!私は委員会に入っていないからその分時間があるからいいっ!!だがあいつはお前と違って忙しいんだ!!さっさと菜園に戻れっ!!」
「I don't comply with your request!!今日と言う今日は絶対会わせてもらうからなっ!!」
「しつこい男は嫌われるぞ!!」
「Annoying!!」
声の主は伊達先輩とかすが先輩だった。
体育館の入り口で喧喧といがみ合っていて、話しかけるタイミングが……
このままでは浅井先輩に正義を以て殺される…
「おや、そこにいるのは ふうきいいん の。どうかしましたか?」
「上杉先生!!」
唸っていると背後から新体操部顧問の上杉先生がやってきた。
相変わらずの独特な口調で先生は続ける。
「わが しんたいそうぶ に なにか ごよう でしょうか。」
「あ、いえ。新体操部ではなくて、かすが先輩と啀み合ってる伊達先輩を呼んでくるよう言われまして。」
「だてくん ですか?」
「はい、実は………」
*****
「…なるほど。そうでしたか。どれ わたくし が なんとか いたしましょう。」
「…すいません。有り難う御座います。」
「よいのです。いつも まじめに しごと を している あなたへの ごほうびですよ。これ かすが。」
事情を話せば上杉先生はふわりと微笑、みかすが先輩を呼ぶ。
「!!謙信先生!!」
すると直ぐ様かすが先輩は顔を上げ花を飛ばす。
「ふゆ の いんたーはい が ちかいのですよ。れんしゅう は どうしたのですか?」
「け、謙信先生っ!!しかしっ!!」
「だとよ。さっさとtrainingに戻りやがれ。」
上杉先生に咎められると、かすが先輩は少し肩を落とした。
伊達先輩はそれに便乗してかすが先輩を追い払わんとする…が、
「だて くん。あなた も です。ぶかつどうちょうさ で ふうきいいん が あなた を よびにきていますよ。ぶちょう たる あなた が かつどう を さぼる とは なにごとですか?」
「AH?風紀…げっ?!古井?!」
「げ、とは失礼な。浅井先輩がお待ちです。伊達先輩、素直に戻ってください!」
振り向き奇声をあげる伊達先輩に少し強く言えば、先輩は舌打ちしてあっさり菜園に帰っていった。
「…ふぅ。上杉先生、有り難う御座いました。」
「いえ おきになさらず。」
「あ、そうだ!先生、新体操部の活動状況と大会成績を教えて頂けますか?」
ついで、と言ったら悪いが、今聞いておけば浅井先輩たちの仕事が減る。
只でさえ無駄にエネルギーを消費している人だから、幾らか役に立つだろうとぼくは考えた。ぼくがそう頼むと、上杉先生はまた、ふわりと微笑み言葉を紡ぐ。
「ええ、よいですよ。いまは ふゆ の いんたーはい に むけ、こじんえんぎ の れんしゅうちゅう です。たいかいせいせき は はる の ぜんこく こうとうがっこう しんたいそう たいかい にて こじんえんぎ で ぜんいん にゅうしょう。うち さいゆうしゅうえんぎしょう にも えらばれた せいと が おります。だんたいえんぎ でも さいゆうしゅうえんぎしょう を いただきました。なつ の いんたーはい でも せいせき は おなじです。また、あき の じょししんたいそう こんてすと にて だいひょうせいと 3めい が きん、ぎん、どう と、じょうい 3い を どくせん いたしました。……これで よろしい でしょうか?」
「…あ、有り難う御座いました…。では、私は戻りますね。冬のインターハイも頑張ってください。」
「ふふ…ありがとうございます。あなた も おしごと がんばってくださいね。」
「…は、はい」
すらすらと美しい日本語を並べた先生に、ぼくは頭を下げて体育館を後にした。……上杉先生のあの口調をこれ以上聞いてると移りそうだ。
さて、じゃあ急いで菜園に戻りますか。
*****
「なっ…何があったんですか!?」
菜園に戻ったぼくの前に現れたのは、ぐちゃぐちゃになった菜園と傷だらけの浅井先輩、菜園の前に膝を付く片倉先輩、そして、気を失った市先輩だった。
「おお、古井か。今日は一先ず引き上げるぞ。」
「や、何があったんですか?!」
「片倉との口論が少々激しくなってな。私の警棒が折れ、市に当たってしまったのだ。」
「警棒折れるほどの口論って何?!…それで、怒った浅井先輩が畑を荒らした、と?」
「違う!!そうではない!!倒れた市が何時ものアレをだな…」
「アレ……?…ああ、あの うにょうにょした影の手ですね…。そりゃ大変でしたね…お疲れ様でした。」
「ああ。兎に角、野球部の調査は終了だ。片倉、貴様の忠誠心に免じて野球部の活動には異常無しとしておいてやる!但し次は無いからなっ!!」
浅井先輩は市先輩を抱き上げて項垂れる片倉先輩に吐き捨てるように言った。
「……俺の……野菜たち……」
しかし片倉先輩の耳には届いていないのであった。
「古井!!引き上げるぞ!!」
「あ、はい!!」
ぼくは慌てて浅井先輩の後を追った。
*****
「…そう……そんな事があったの……長政さま……ごめんなさい……市、長政さまのお役に立てなくて……」
市先輩を保健室(明智先生不在)のベッドに寝かせて数分、起き上がった先輩に事の次第をぼくは話した。
「気にせずともよいと言っっただろうが!!じ、邪魔をせず、わ、私の側にいれば良いのだ!!」
「珍しく素直ですね、先輩…」
「うぅうるさい!!無駄口を叩くな!!古井!!」「痛っ!殴ることないじゃないですかっ!!」
茹で蛸の様に顔を真っ赤にした浅井先輩はぼくの頭に警棒を叩きつける。
畜生、照れ隠しも大概にしてくれ。
「あ、そうだ。浅井先輩。これ、新体操部の活動状況と大会成績です。さっきついでに調べてきました。」
「おお!!流石は理の生徒!!良くやった!!」
「……ありがとう………シイカ……。」
「いえいえ。と言うより、気が付いたんですが、」
「何だ。」
「良く考えたらうちの学校で成績の無い部活ってありませんよね?」
「「!!」」
「……やる必要なくないですか、この仕事……」
「…し、しかし!!校則違反者の多い部をそのままにしておくことはできない!!明日からはその点に基準を置き、調査をする!!」
……本来の仕事じゃなくなってるような…。
あ、そうだ。校則違反と言えば……
「浅井先輩、」
「今度は何だ。」
「ずっと気になってたんですけど…先輩の揉上げとヘルメットって違反じゃないんですか?」
「!!…わ、私が…校則に…違反、している、だと………?!」
「………長政さま………」
後で聞いた話によると、浅井先輩はその日は徹夜でぼくの投げ掛けた疑問を自問自答し、翌日、目の下に真っ黒い隈を作ったと言う………
風紀委員の日常・後編
ツンデレ委員長と病んでる副委員長。
だけどぼくは、そんな2人が大好きです。
(曖昧英語訳)
Do disappear:消えろ
training:練習
I don't comply with your request:そうは問屋が卸さねぇ(あなたの要望には答えかねる)
annoying:うるせぇ
fin
後日談
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「古井!!私のこのヘルメットは校則違反ではない!!」
「…浅井先輩、目の下真っ黒ですけど…」
「ええい、良いから聞け!!私のこれは理事長の兜(?)と同等の物だから違反ではないのだ!!直接理事長に聞いて来たのだから間違いあるまい!!」
「うっわ、マジですか!?御苦労様でした…。で、揉み上げはどうなんですか?」
「!!」
「聞いて来なかったんですか?」
「うぅ煩い!!無駄口を叩くな!!」
「あ、浅井先輩!!」
先輩は意味不明な事を吐き捨てて去って行った。
「…浅井先輩って、2つ以上の事に一度に集中出来ないタイプ?」
私にBSRを教えて下さったとある御嬢様に密かにかつ勝手に捧げます(笑/迷惑だ)
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後書
思いの外 話が纏まらず、前後編に分けたものの、何だかぐっだぐっだになってしまって…。しかも市さんの出番が少ない!!
今回の御話は、公式学バサを読んでいて、長政さんが授業中もあのウルト〇マンのようなヘルメットを被っていた事に疑問を感じ書いたものです。
あれが違反じゃないなら是非元就さんにもオクラを被って頂きたいですね♪
それから上杉先生。書くのは兎も角、読み辛いですねー、全文平仮名。文字数は取るし…。
書いていて楽しいと言えば楽しいのですが、疲れるのでもう出したくありません(酷)。
拙作ながら楽しんで頂ければ幸いで御座います。
此処まで読んで下さり、本当に有り難う御座いました!!
20071227
20100113 加筆修正
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ballad
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