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バトルサブウェイの整備士をやり始めて、今年で5年になる。
腕前を言えば、何人かいる整備士の中で特に優秀でも劣悪でもない。ただ誇れる事と言えば、生来のマイペースから割と何でも冷静に対応出来る事か。停電だろうが、脱輪脱線事故だろうが、人身事故だろうが、特に動揺するでもなく熟せる。同業の先輩からは「少しは恐がれよ」とか「お前本当に女なの?」とか言われる程の御墨付きだ。(あれ、これ本当に誇れる事かな?)
平々凡々で特に深刻な悩みも持たず5年間平和に働いてきた馴染みの職場。好きか嫌いかと言えば当然好きだけど、ついこの間から苦手意識を感じるようになった。

「おはようバニラー!ねえベロちゅーしよー!」
「しませんよ!!朝からいきなりなんなんですか!?」

何故かと言うと、サブウェイマスターの白い方、ノボリさんだったかクダリさんだったか…どっちだっけ…まあ、私が白ボスと呼んでいる方に毎日、いや、顔を合わせる度に何らかのセクハラなんだかパワハラなんだかを受けているからである。

「えー、じゃあ、おはようのちゅー。」
「しません!断じてしません!!何で私が白ボスにそんな事しなきゃならないんですか!?」
「ぼくとバニラの仲でしょ。」
「上司と部下の関係ですけど!?」
「ぼくの中ではもっと進んでる。赤ちゃん、まだ?」
「何処まで進めてんだよ…!!止めてくださいよ気持ち悪いっ!!」

朝からげっそり疲れる様な事を宣う白ボスはどんなに罵ってもへらへらと笑うだけ。尤も、ボスの口元は元より吊り上がっているから、本当に笑ってるかどうか定かじゃないけど。
兎に角、5年間勤めてきて殆ど接点がなかった白ボスがここ1、2ヶ月でいきなりこんなになったのだ。何故か。そんなの私が知りたい。どうしてこうなった!
同僚やら先輩に助けてもらおうにも相手はあのサブウェイマスター。我等が上司様な訳で相談したところで「そっかー」だの「大変だなぁ」だの「頑張れ超頑張れ」だの、仕舞いには「この際や、玉の輿目指したらええやんか!」だの狙ってもいない白ボスの財産との結婚を勧められる始末。しかもこう言う時に限って、どっから湧いたのか当の本人がいて「いいよ!結婚しようバニラ!」なんて望んでもいねぇプロポーズもされた。御陰でハラスメントはよりエスカレートした挙げ句なんか知らんけど何時の間にか職場公認の仲みたいにされているのが現在。そんでもって先日なんかバトルサブウェイ最後の良心、サブウェイマスターの黒い方、ノボリさんだったかクダリさんだったか…どっちだっけ…まあ、私が黒ボスと呼んでいる方にすら「あれはああなってから朝礼に遅刻しなくなり、また終電時刻まで勤務するようになりましたから感謝しております。不束な愚弟ですが今後も末永く宜しく御願いいたします。」なんて御両親からの挨拶みたいなのされてしまった。何なの一体!?私の頭のキャパシティじゃどうなってんのか解んないんですけども!!理解力が来い!
そんな感じのここ最近を振り返りつつ、ぎりぎりと歯軋りしながら朝礼の為事務室に向かう私。その隣で、さも当然の様に並んで歩く事の発端が能天気に話し掛けてきた。

「ねえ、バニラー。」
「何ですか白ボス。」
「今日、パンツ何色?」
「…………」

ああもう嫌だ!
クラウドさん一生恨む!




白ボスとわたし


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