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「わー!バニラの部屋ーっ!!」
「あんまり変な事しないでくださいね。」
「うん!ねえ、下着どこ?持って帰って良い?」
「舌の根も渇かぬ内に…!!」

深夜…いやもう早朝だ。午前4時にもなろうと言うのに、白ボスは私の部屋で元気にはしゃいでいる。くそ、ギアステーションの哀愁漂う背中はどうしたんだ。ゾロアに摘まれた様な気分だ。しかしもう私には色々と元気がない。はしゃぎ回る白ボスを只単に眺めていた。まあ、遠慮も無しにクローゼットを開けようとしたので一発だけ殴っておいたが。
ああ、もう疲れた。寝たい。

「取り敢えず、お湯張りますから、風呂入ってください。」
「え?いいの?」
「私の後だと油臭いですからね。ああ、寝間きとかどうしましょうか…」
「それなら平気!あるから!」
「は?」

意気揚々と例の旅行鞄から寝間きとか歯磨きセットとか枕とかシビルドンの抱き枕とか何か一杯出し始めた白ボス。よくもまあその鞄にそんなに入ったなぁ…なんて漠然と驚きつつも、何となく湧き上がってくるこの感情……これは、怒り。
こいつ、端から私の所に泊まるつもりで来やがったな…!!じゃなかったら何でそんな完璧なお泊まりセット持ってんだよ!常備してるならしてるで驚きだけども!しかし、じゃあ何か?待ってたのも眠そうだったのも違和感のある笑顔も哀愁漂う背中もカードキーがないってのも全部嘘か!?演技か!?畜生、騙された!!この人は俳優か何かなのか…!?
怒鳴りつけてやりたいのは山々だが、如何せん最終点検当番と白ボスのお守りでもうそんな元気はない。歯軋りと貧乏揺すりでイライラを分散させた私はリビングに白ボスを残して浴室に向かった。
蛇口を捻って浴槽にお湯を溜め、使われると困る物(ボディスポンジ)を撤収してからリビングに戻ると、ソファーの上で規律正しく上下する白い塊がある。否、あれは白ボスだ。近付くと丸まって、すーすー寝ているではないか。狸寝入りじゃあるまいかと疑ったが、瞼とか口元とかからして多分、本当に寝てる。

「黙ってれば、綺麗なのに。」

何となく微笑ましいその姿に私は呟いた。まあ、黙ってようがいまいが私には関係ないのだが。取り敢えず、眠そうだったのは演技ではなかったらしい。
しかし、これでは制服に皺が付いてしまう。帽子も形が崩れたら大変だ。第一、こんな所で寝たら風邪を引く。

「ボス、白ボス。お風呂準備できましたよ。」
「…………」
「ボスー、白ボスー。」
「んぅー……」

軽く肩を揺らすと眠そうに目を擦る白ボス。ああ、本当に眠いんだ。そりゃそうか、ギアステーションの朝は早い。24時間近く起きてるんだもんな…まあ、私も人の事は言えないけど。
大きな欠伸をしてむにゃむにゃ言ってる白ボスの隣から顔を覗いて私は訊ねた。

「白ボス、御風呂どうします?起きてからにしますか?」
「うー……入る。」
「でも御風呂で寝ちゃいそうですよ。溺死とか勘弁してください。」
「ぼく死んでない!でも寝るかも。」
「ほら。御風呂で寝るの危ないんですよ。」
「じゃあバニラ、一緒に入ろうよ。」
「………………あ?」
「バニラと一緒ならぼく寝れな………寝ても起こしてもらえる!すっごい名案!ぼく天才!」

寝惚けてんのかと思ったが、そうでもないらしい。私の手を握った両手の力は結構強かった。
名案!名案!とはしゃぐ白ボスが立ち上がり、手を握られている私も強制的に起立せられて頭1つ違う彼の顔を見上げる。無邪気なのかそれを装っているのかは正直全然解らないが、女は下心に敏感だ。白ボスが何をしようとしてるか位なんとなく解る……と言うか本能的な何かが私に拒めと命令を下している。
だから、いたく可愛らしい顔で笑う白ボスに、彼には負けるものの飛び切りの笑顔を返してこんな事を言うのも厭いはしないのだ。

「溺死しろ。」
「ひどいっ!!」




白ボスとおふろ


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ballad


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