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「………や、やっと…全体の半分……」
「鷹居、お前やればできるな。かなり早く終わりそうだ。」
「こーみえて、兄者の種類整理の手伝いとかやりますからね。文字の羅列には強ぇッスよ。」
「へぇ。じゃあ書類に目ぇ通すのも得意か。」
「いいえ。32秒58で飽きます。」
「微妙!!何その数字!!」
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お仕事の合間。
「いや〜読むだけならいいんですけど、理解できねぇんで。」
「意味ねぇじゃねぇか。」
「だから、32秒58で飽きるんです。オレ、文字の羅列には強くても頭は弱ェから。」
「…つーかよ、こうしてっと お前女だって忘れちまうな。一人称オレだし口調汚ェし。」
「よく言われるんすけど普段は"あたし"っすよ。今は男装中だからオレなだけで。口調は餓鬼の頃女らしくしろー女らしくしろーって言われてた、そん時の反動かなんかじゃねぇかと。」
「そんなもんか?」
「そんなもんスね。今でも兄者は言いますね。言葉もそうっスけど、最近じゃ事ある毎にキレーな着物送り付けてきますよ。着方分かんねぇから着ませんけど。」「その黒刃がよくお前の男装許したもんだな。」
「え゙…。…えぇ、何でもオレの身が危険だとか何だとか……、」
「襖挟んで隣に男が居る部屋にしといてか?」
「……ですよね〜…。…あ〜〜アレ。アレですよ。兄者は、土方さんは近藤さんたちと違って男だか女だか男だか分かんねぇ様なのに興味ねぇと思ってるんすよ。女に飢えてないでしょ…?」
「そうでもねぇよ。」
「や、やだな〜…。嘘ついてぇ〜…。でもアレですよね。女の子に騒がれんのって気分良いですよね。」
「………、は?」
「いやぁ、きゃーきゃー囂しいっスけど、なんかハーレムみたいで楽しくないですか?」
「何…お前 それ…。経験あります、みたいな…。」
「ええ、まぁありますけど。たまに男装してキャバクラとか行きますよ。」
「………マジでか…」
「あ、でも もっと好きな店ありますよ。キャバクラでは“ははは、こいつらあたしが女だって分かってないでやんの〜”って楽しむんスけど、こっちはただ純粋に愉しいんですよ。」
「なんつーサディスティックな楽しみ方だよ…」
「あ!今度連れてきましょうか?!土方さん男前だから皆喜びますよ!!」
「…どんな店だよ…」
「オカマバーです。」
「…行かねぇ、絶対行かねぇ……。」
「何でですかっ!?超愉しいのに!!娘のよーに可愛がってくれるんですよ!!?」
「や、俺 男だから。息子のよーには可愛がってもらえねぇよ。」
「そんなことないですって〜。だってそこのママには実の息子も居ますもん。奥様は他界されたみたいですけど。」
「どんな父親?!息子絶対グレてるだろ!?その息子絶対グレてる!!」
「そんなことないです!!てる君は良い子です!!真っ直ぐな男の子です!!勇気のある男の子です!!」
「会ったことあんのかよ!!」
「店で何度か。」
「そらァ勇気あるわな。オカマの親父の店に顔出すなんざな。」
「兎に角行きましょうよ。最後に行ったの結構前なんスけど、その時“次は男前連れてくるから”って言っちゃったんで。」
「何それ?!俺 生け贄?!」
「いやいやいや。そんなことないッスよ。そうそう、最後に行ったとき新しい娘が入ってて、天然パーマが可愛かったんですよ!!これもう行くしかねぇでしょ!!土方さんっ!!」
「天然パーマ?!ふざけんな!胸糞悪ィ!!」
「えぇ〜キレーな銀髪なのにぃ〜。」
「銀髪だと?!もっと行くか!!最悪だ!!それにそいつ男だろーが!!絶対行かねぇよ!!」
「えぇ〜。行きましょ〜よ〜。」
「つーかもう仕事戻れ!!市中見廻りの時間までに粗方終わんねぇだろ!?」
「じゃあ次の書類下さい。さっきまであったの終わったんで。」
「何ふざけた事言って…って早っ!!ホントに終わってる?!!」
「喋りながらでも手は動きますから。」
「…結局俺の仕事邪魔した訳か?」
「滅相もない。不本意ですよ。」
「………。じゃあ書類溜まるまで中庭行って、山崎殴ってこい。どうせミントンやってっから。」
「あーい。」
ぐぅっ、と伸びをして紅羽は立ち上がり、出口に向かって歩く。
すぱんっ!!
襖を勢い良く滑らせ、中庭に向かい低めに叫んだ。
「山崎ィィィィィィィィ!!!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!副ちょっ…て鷹居さんか。何か…アレ?何かこっち向かって走ってない?全速力じゃない?」
「副長命令によりお命頂戴!!山崎さん、覚悟ォォォォォォォォ!!!」
「え?!お命頂戴って…え゙え゙え゙え゙え゙!!!ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
終われ。