extra.2

「……あ…っ…も……ムリ……ッ」

「何だよ、まだ始めたばっかじゃねぇか。」

「だって……っ!!……ぅ…あ……




……おぼろろろっ!!ゔぉ゙え゙っ!!何それっ!?キモッ!!」


extra.2
食事時


「オイ、見ただけで吐く奴があるか。つーかキモいって何だ。マヨネーズに失礼だろーがっ!!」

「どっちがだァァァァァァァ!!アンタの方がよっぽど失礼じゃねーかっ!!」

「何をををっ!!」

今日は、今日も元気な鷹居 紅羽です。
只今、屯所の食堂にて朝食を摂ってる訳ですが……

「つーか、何スかそれっ!?何だった物ッスか!?」

お茶漬け土方スペシャルだ。

「スペシャルって、ただのマヨぶっかけ飯じゃねーかっ!!つーかもうお茶漬けが意味をなしてねーよ!!サラッと食えて、胃凭れ知らずのお茶漬けがギットギトだよっ!!胃凭れ上等になってるよっ!!」

そう、土方さんが朝食として摂取してるものがおかしかった。有り得なかった。
だって丼一杯の溢れんばかりのマヨネーズだよ?!しかもお茶漬け(らしい)なのにご飯が見えないよっ!!
あたしが思いの丈を述べると、土方さんは舌打ちをした。

「んだよ、お前がマヨ派だっつーから、俺の極上のマヨ料理を教えてやったつーのに何だよその態度。」

少し拗ねてんのか?いつも以上に機嫌の悪い顔してる。

「料理じゃねーよ!!料理以前に食い物でも物ですらねーよ!!」

「言い過ぎだろーがァァァァ!!てめ、土方スペシャルに謝れコノヤロー!」

「謝るかァァァァァァァ!!つーか、土方さんが謝れ!!マヨネーズにごめんなさい言え!!」

「命令形?!上司に対する態度かそれェェェェ!!?」

「朝から喧しいですねィ。」

ぎゃんぎゃん騒いでいると、声を掛けられ顔を上げた。

「あ、沖田さん。おはよーございます。」

「おはよーごぜーます紅刃。喧しいとこすいやせんが、紅刃にお客さんですぜ。」

「客?」

沖田さんが指差す方を見ると、真選組とは違う制服の……

「やー、御早う御座います、紅刃。久し振りですね。」

「兄者っ?!何で居るんだよっ?!」

魔王降臨。
魔王って言っても金の魔王だけど。

「実は昨夜、松平様と近藤さんが同じ店でヘベレケになりやがりましてね、御両名を各々の宿舎まで引き摺るのが面倒臭いので、本部より近い此方に泊めて頂いたんですよ。」

「へぇ……、」

にっこにこしながら上司らを罵倒する兄者。まったく、とんでもない人だ……人の事は言えないが。

「それよりも、朝から喧しかったですね。痴話喧嘩ですか?痴話喧嘩だったらいいなー♪」

「何その願望?!違ーよ。兄者、見て下さいよ、アレ。既に物でもありませんよ!!」

あたしは、兄者の不埒かつ不可能かつ有り得ない願望を打ち砕き、土方さんの眼前に佇む丼を指差した。兄者はあたしの指を追って問題のソレを見る。

「おや……これはこれは美味しそうな、」

「え、嘘っ?!マジ?!兄者!!」

「だろ?やっぱ分かる奴には分かるんだよ。」

誇らしげに丼を持ち上げる土方さん。……まさか兄者が同意するなn


「犬の餌ですねっ!」

「………」

同 意 じゃ な かった。
強い否定だ。


今ものっそい笑顔で言った!!首まで傾げちゃってるよ!!
気持ち悪いっ!!
つーか、兄者はあたしを玉の輿に(乗る気はないけど、)乗せる気はあるのかと疑ってしまう様な発言だよ、コレ。

「ほ、ほらぁ!!やっぱり変ッスよ!!マヨネーズは料理にちょーっと添えてあるから旨いんであって、決してそんな食い方は許されねぇんです!!」

でもまぁ、取り敢えず土方さんのマヨ丼を否定する理由が見付かったので、攻撃を再開する。

「何だとっ!?マヨネーズはなぁ、何にでも合うように作られてるんだぞ!!」

「ソレは認めますよ!!でも今言ってんのは量の事でしょーが!!大は小を兼ねるとかの問題じゃねーッスよ!?ねぇ、兄者!?」

更に確固とした言い分にするため、兄者に同意を求めた。

「そうですね、こればかりは……。」

「ほら、兄者だって…」

「そう言う事をしていいのは山葵だけだと相場が決まっています。」

「………はい?」

あら?今御兄様の御口から聞き捨てならない御言葉が発せられた気がするのは気のせいかしら?

「…聞き捨てならねぇなァ。黒刃、いくらアンタが警察庁長官秘書だからってここは譲れねぇよ。何にでも合うっつったらマヨネーズだろーがっ!!」

立ち上がり、土方さんは兄者を睨み付ける。兄者は兄者で怯まずそれを睨み返す。

「分かってませんね。土方さん、貴殿がいくら鷹居と痴話喧嘩する仲だとは言え、そこは譲れません!」

いや、痴話喧嘩なんかしてねーよ。そんな仲じゃねーよ。

って、そうじゃなくて……


兄者、お前もか。

よくよく考えりゃ、19年間生きてきて、兄者が食事してんの見た事ねーな。
兄者昔から早起きで朝飯の時間は合わねぇし、故に3食常にずれてたし、外食してもあたしが早く食べ終わって店出るし………どんな兄妹だよ…

まぁそれは置いといて、くだらない事を考えてるうちに、マヨvs練り山葵の抗争は激しくなっていく。

「だから何にでも合うのはマヨネーズなんだよ!!カツ丼然り、チャーハン然り!!」

いや、合わねーよ。

「何を仰るんですか?!山葵ですよ、わ・さ・び!!団子然り、パフェ然り!!」

全く合ってねーよ!!甘味に山葵は有り得ねーよ!!

「甘味に山葵だぁ?!団子にはマヨネーズだろーがっ!!アンタ、味覚狂ってっぞ!!」

お前もな!!

「そこまで言うなら……良いでしょう、第三者に食べ比べて頂こうじゃありませんかっ!!」

チャキーン!!

…と、兄者は懐からS○Bのチューブ入り練り山葵を取り出した。

「上等だ!!山崎!お茶漬け一杯持って来い!!」

ドンッ!!

…と、土方さんも懐から味〇素のマヨネーズ(業務用)をテーブルに叩き付ける。

……って、業務用?!!
懐サイズじゃねーだろっ!!

「へい!只今!!」

何も知らない山崎さんは厨房に走り、颯爽と出来立てのお茶漬けを持ってきた。

「へい、副長!…って相変わらず凄いですね…」

お茶漬けをテーブルに置き、その場を去ろうとした、が、

ガッ!!

「……へ?」

「まぁ待って下さいよ、山崎君。」

「ちっと付き合えや。」

「な、何にです、か…?」

土方さんに右腕、兄者に左腕を掴まれ、動けなくなっている。

「紅刃、ちょっと山崎君を掴まえておきなさい。」

「………ふぁい…」

兄者に言われて、あたしは渋々山崎さんを拘束した。
…だって、山崎さん逃がしたら被害はあたしが受けるじゃないか(酷)

「……鷹居さん、何があったの?」

「まぁ、…ちょっとした味覚争いですよ…、」

「……へぇ…。……あれが?」

あたしらの眼前ではお茶漬けにみるみる緑色の物体がトッピングされている。

「…そうですよ…。」

「……あんな事すんのは副長だけだと思ってたよ…。」

「さぁ出来ましたよ。」

達成感に溢れた笑顔で兄は言う。
……何が?と思わず聞きたくなるが、分かりきっている。土方スペシャルの色違い版だ。

「はっ、上等じゃねぇか。おい、鷹居。山崎 此方に連れて来い」

「……ふぇい。」

「……え、ちょ、鷹居さん?!嘘だよね?!冗談だよねっ?!」

あたしに引き摺られる山崎さんの顔色は、土方さんらに近づくに連れ、蒼白くなっていく。

「……御免。山崎さん……御免。」

「え゙え゙え゙え゙え゙え゙っ!!?」

「はい、土方さん。連れてきました。じゃ、オレは副長室の掃除でもしてきまーす。」

「え、ちょっと、鷹居さんっ?!鷹居さァァァァァァァん!!!

あたしは山崎さんを味覚音痴の2人の前に捧げ、後は野となれ山となれと言わんばかりに食堂を後にした。
山崎さんの断末魔の叫びが聞こえたのはそのすぐ後だった。


終われ。

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