chap.0
「よし、鷹居。直ぐにでも入隊できっから、その荷物そのまま屯所に運べ。」
「はぁーい。」
「あ!土方さん、紅羽!一寸御待ちを!」
坂本さんの舟を見送って、土方さんに着いて行こうとしたら、兄者があたしらを呼び止めた。
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覚悟はしておこう
「どうした、黒刃。」
足を止めた土方さんが振り返り、兄者に問う。
すると兄者はどっか畏まって、頭を下げた。
「我が愚妹、紅羽は御存知の通り、御恥ずかしながら、女が何であるか知りません。故に、真選組初の女隊士等と言う名誉な役職、恐らくは汚点しか残さないでしょう。」
「酷っ!アンタ何処迄嫌味なんだよ!」
「……、」
「ちょ、土方さん。黙り極め込まないで下さいよ。」
悪びれも無くほざいた兄者に突っ込むも、隣の土方さんはあたしに助け船を出してくれない。
畜生!こいつらあたしの事、何だと思ってんだよ!
仮にも19年間女として生きてきたわ!
……自信無いけど。
「ですので、真選組に迷惑を掛けない様、紅羽が恥ずかしくない様に調教……ゲフンゲフン、再教育致しますので、入隊はどうか2週間程待って頂けませんか?」
「調教って何だよ。わざと言っただろ、わざと言っただろ。」
「分かった。近藤さんにはその旨伝えとく。」
「えええええええええ!!?あたしの意思っつーか発言も無視ィィィィィ!?」
会話に茶々を入れるあたし等物ともせず、兄者と土方さんの話に蹴りが着いた。
何か無償に悔しいんだけど…!
此の話の主人公ってあたしじゃなかったけ?
何此の扱い。理不尽にも程があるぞ、コノヤロー。
「では紅羽、帰りますよ。」
「へぇーい。」
かと言ってそれを口にするなんざ自殺行為はできねぇ訳で、っつーかしたくねぇ訳で、あたしはやる気皆無な返事をする。
その刹那、兄者の口角が微妙に、だが確実に上がっているのを、しかも、あたしに嫌な予感が走る時の上げ方をしているのが目に入った。
「(……大方、予想はつくけど……覚悟はしておこう………)」
To be continued……