エンカウント

あの見た目は子供頭脳は大人な子に会ってしまった。
ていうかここはコナンの世界なのか。

「あはは、ちょっと道に迷っててね」
「やっぱり困ってたんだね! さっきから同じところをぐるぐる回ってるみたいだから心配してたんだー!」
「ウン、お気遣いアリガトウ」

ひぃい私そんなぐるぐる回ってた?!
むしろぐるぐる回ってるのは思考の方なんですが……。

「じゃあ僕が案内してあげるよ! お姉さんどこに行きたいの?」
「えっと、ぎ」

待て。ここで素直に銀行と言ってしまえばこの子と一緒に銀行に行くことになる。
それはつまり。イコールで。事件が起きるということじゃないか。
銀行にコナン君なんて相性が悪すぎる。

「魏志倭人伝を買いに」
「嘘ついちゃダメだよ、お姉さん」

ばっかあああ!私の馬鹿!なんで魏志倭人伝?!

「い、いやいや、嘘じゃなくて、ちょっと魏志倭人伝についてまとめなくちゃいけなくて……、魏志倭人伝の謎を解く、とか売ってるかなぁ」

コナン君がすごく疑いの目で見ていらっしゃる。仕方ない。
魏志倭人伝についてまとめようとする女なんて非常に怪しい。

「……じゃあ本屋さんまで行く?」
「お願いします……」

本屋に行ったところで私無一文だから何も買えないんだけどね。

コナン君に連れられ、本屋にやって来る。
本屋の近くに銀行を見つけた。コナン君、ありがとう。

「じゃあ僕、魏志倭人伝探すの手伝うね!」
「え! いや、大丈夫、で、だす!! これ以上君に迷惑かけられないし、本当にありがとう」

祈りを込めて笑いかけてみる。
すると、その祈りが通じたのかコナン君は一つ息を吐いた。

「僕、江戸川コナン、お姉さんは?」
「笠音日和、コナン君、本当にありがとう」
「……僕お姉さんともーっと話したいから連絡先が知りたいな!」

無邪気にそう言っているはずなのに、何故か断れないオーラが出ている。

「う、うん」
「わーい! やったー!」
「あはは……」

乾いた笑みしか漏れないわ。
でも、間近で見るコナン君可愛いな。
事件さえなければぜひお近づきになりたかった。

「じゃあ僕行くね! 銀行はもう場所わかるよね? お姉さん、嘘はついちゃダメだよ」
「え」

そう言って、ばいばーい、と走り去っていくコナン君。
最後完全に探偵の顔してた。
もしかして、わざわざ銀行近くの本屋に連れてきてくれたのか。
でもなんだあの去り方は……。

前言撤回、やっぱり可愛くないかもしれない。